エリク・ハイデン(アメリカ)レークプラシッド:スピードスケート男子500、1000、1500、5000、10000メートル金 |
陸上競技の選手が、100メートル、1500メートル、マラソンで金メダルを取るというのは、まず考えられない。しかし、スピードスケートでは、
その「考えられないこと」が起こった。氷上のスーパーマンたちが演じた奇跡のドラマ、主役は21歳の若者・ハイデンだった。 五輪初参加はインスブルック。レークプラシッド前、1977年からは3年連続して世界選手権と世界スプリントの500メートルを制覇するなど実力を蓄えた。 レークプラシッドは地元での開催ということもあり、アメリカからスピードスケート初の金メダルを、と期待が高まっていた。 どちらかと言えば苦手の500メートルを五輪新記録で制して波に乗ると、5000メートル、1000メートル、1500メートルと、次々と五輪新記録をたたき出して連勝。 最後の10000メートルでは、当時の世界記録を6秒20も縮める驚異的な記録で優勝し、不可能と思われていた5冠をついに達成した。 4年後のサラエボでも当然活躍が期待されたが、絶頂期とも言えたこのシーズンを最後に、電撃的に現役を引退、医師への道を進んだ。 スピードスケートの5冠達成は、もちろん後にも先にもハイデン一人。史上最強のオールラウンダーは、引き際の鮮やかさでも強烈な印象を残した。 |