ヨハンオラフ・コス(ノルウェー)リレハンメル:スピードスケート男子1500、5000、10000メートル金アルベールビル:スピードスケート男子1500メートル金 |
アルベールビルに臨んだコスは、必ずしも万全のコンディションではなかった。地元開催によって生じるプレッシャー、
直前に左ひざを故障したことによる大スランプ。それをはねのけて達成した3冠の偉業には、
さらに2つの栄誉が加わり、その輝きは永遠になった。 まず、五輪2連覇。スケート競技においては至難の業である。コスはそれをやってのけた。まず5000の金メダルを世界新で飾り、 勢いに乗って1500も世界新で2冠達成。アルベールビルに続く同種目2連覇を達成した。これは実に、五輪史上66年ぶりという快挙だった。 最後の10000メートル。地元の大声援を受けながら飛ばしに飛ばし、自己の世界記録を13秒も縮める圧勝。 3冠、2連覇だけでも偉大な記録であるのに加え、3冠のメダルすべてが世界新記録という、まさに超人的な快挙だった。 ボランティア活動にも積極的で、ボスニアの難民を救おうと五輪期間中から「オリンピック・エイド」を始めた。金メダル獲得の報奨金もすべて寄付、 五輪後も、難民救済などを訴えて世界を回った。 このノルウェーの英雄には、五輪精神をもっとも引き継いだアマチュア選手に贈られる「ジェシー・オーエンス・インターナショナル賞」が寄贈されている。 商業五輪の流れが定着する中で、「アマチュア」の意味を深く考えさせてくれる選手だった。 |