ジャン・クロード・キリー(フランス)グルノーブル:男子回転、大回転、滑降金 |
史上2人目のアルペン3冠達成の陰には、幸運としか言いようのないアクシデントがあった。 当時、「実力世界一」はだれもが認めるところだった。しかし、フランスの英雄と称えられ、地元開催ということもあって寄せられる過度の期待、 直前の大会での不振と、五輪に臨む精神状態は、決して良くはなかった。それでも滑降、大回転は制して3冠に王手はかけた。 ところが最後の回転で、一度、栄誉はその手から完全に滑り落ちたかのように思われた。 2回目を慎重に滑りすぎて、平凡なタイム。この後を滑ったミエーン、シュランツが次々とキリーのタイムを追い抜く。3冠の夢はついえたと、 誰もが思った。ところが、まずミエーンが旗門不通過で失格。続いてシュランツの旗門不通過が問題になり、 2時間にも及ぶ裁定の末、シュランツはついに失格。幸運の女神は、回り回って最後はフランスのエースにほほえんだ。
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