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CHRP(チャープ):
Common Hardware Reference Platform
次世代マルチプラットフォーム・パソコンから,
新Mac OS互換機標準へ再出発,一転中止へ

[Saturday, October 18, 1997 山田 剛良=日経MAC]

(11k) Appleと米IBM社と米Motorola社のいわゆる「PowerPC連合」(PowerPC Alliance,AIM連合ともいう)が提唱したPowerPCを使ったパソコンの規格。Mac OS互換機の普及の切り札と期待されたが,97年9月にAppleがCHRPをMac OS互換機として認証しないと表明したため,事実上幻に終わった。出荷をアナウンスまでした米Motorola社,出荷目前にあった米UMAX Computer社,アキアなどは完全に梯子(はしご)を外された。CHRP準拠のパソコンは結局1台も出荷されていない。

●写真●出荷アナウンスまでされながら,お蔵入りとなった米Motorola社のCHRP機「StarMax 6000」(写真は2点とも97年8月の米MACWORLD Expo/Bostonにて撮影)

対Wintel機の切り札として構想

CHRPは,IBMとMotorolaが制定したPReP(PowerPC Reference Platform Specification)を基に,Mac OSを動作させる機能を追加して作られた。規格化は94年11月にAIM連合で合意されたが,技術面での調整に手間取り,正式版の「CHRP 1.0」の公開は,95年11月まで待たなくてはならなかった。

CHRPはMac OSを含む複数のOSの動作が,当初のうたい文句だった。PowerPCの演算処理能力を,各種のOSで生かせるパソコンを低価格で提供するという,対Wintelパソコンの切り札となるはずだった。

事実上次世代Mac OS互換機に

計画の発表当時,CHRPをサポートする予定だったOSは,Windows NT,AIX,Mac OS,Solaris,OS/2,NetWareの6つ。ただし,実際にCHRP対応として出荷されたのは,PReP時代から存在したWindows NTと,AIXのみ。しかも,95年秋にはIBMがCHRP版OS/2の開発を凍結,続いて97年2月にはMicrosoft社がWindows NT 5.0でPowerPCをサポートしないと表明した。この結果,CHRP対応に積極的なOSメーカーはApple1社となり,事実上Mac OS互換機用の規格として再出発した。

Mac OS互換機向けとして見たときのCHRPの魅力は,
1.Appleから設計ライセンスを受ける必要がなく,独自の設計でマザー・ボードをデザインできる。
2.IBM/PC互換機で広く使われている周辺チップ,パーツ,拡張カードが流用可能でコストが抑えられる
の2点に尽きる。要するに,現行のApple製マックより高性能,高機能なマシンを出荷できるのだ。MotorolaやUMAXといった有力互換機メーカーは,熱心に開発を進め,出荷目前までこぎ着けていた。

(12k) ●写真●台湾メーカーも安価に製造できるMac OS互換機としてCHRPには熱い視線を送っていた。写真はTatung社のCHRP機「TPC-6600」

CHRP対応版のMac OSも実は完成している。CHRP対応版Mac OSは97年3月にMac OS 7.6ベースでβテストに入り,7月には完成をみている(これは評価用として互換機メーカー各社に配布したが,出荷しなかった)。9月26日に日本でも出荷が始まった「Mac OS 8」はCHRP対応機能を含んでいる。Apple自身も97年7月に「Mac OS 8以降でCHRPを標準サポートする」と明言していた。ただ,CHRPパソコンでMac OSを動作させるには,マザー・ボード上にCHRP用Mac OS ROMを装着する必要がある。

Appleの方針変更で日の目見ず

CHRPマシンが出荷されないのは,純粋に政治的な理由によるものだ。Mac OSのライセンス契約上,互換機メーカーはAppleの認定テストを受けないとマシンを出荷できない。ところがAppleは97年9月2日,Mac互換機メーカー最大手の米Power Computing社のMac OS互換機部門を買収すると同時に,CHRPマシンの認定を今後一切行わないと発表した。この時点で事実上,CHRPの息の根は止まった。

CHRP流転の歴史

91年10月Apple,IBM,MotorolaのPowerPC連合(AIM連合)結成
93年10月IBM,MotorolaがPReP構想で合意。Mac OSのPRePサポートに関して発表なし
94年11月PReP仕様がCHRP仕様に進化。目玉はMac OSのサポート
94年末Apple,互換機構想を提唱。ハードウエアとMac OSのライセンスを開始
95年2月米Power Computing社が初のMac OS互換機を出荷
95年秋IBMの「OS/2 for CHRP」開発中止が明らかに
96年12月Steve Jobs氏,Appleにアドバイザーとして復帰。互換機政策に否定的との観測が広がる
97年2月Microsoft,「Windows NT 5.0」でPowerPCサポートを行わないと正式に発表
97年7月初のCHRP機「StarMax 6000」をMotorolaが4000ドル以下で出荷とアナウンス
97年8月MACWORLD ExpoでUMAX,台湾Tatungなどが続々CHRP機を公開
97年9月Apple,CHRP機を認定しないと発表,息の根を止める

注)CHRPは規格が決定するまでの仮称で,発表された正式名称は「PowerPC Platform」だった。ただ,略称の「PPCP」が米国人に発音しにくかったためか,最後までCHRPが一般に使われた。

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