エンドユーザーとクリエーターの 両方にアクセスできるのはAppleだけなんです
[Friday, November 14, 1997 シリコンバレー・オフィス発、山田 剛良=日経MAC]
Peter Hoddie氏 米Apple Computer社QuickTime Architect
Peter Hoddie氏はAppleでQuickTime全体の技術的な方向性を決める立場のエンジニア。Apple本社で完成間近のQuickTime 3.0について聞いた。
●QuickTime 3.0で一番重要な機能はなんですか?
QuickTimeのファンタスティックな機能のすべてがWindows環境で使えるようになったことでしょう。QuickTimeは異なるメディアを一緒に扱えるのが最大の特徴です。Windowsでは複数の異なる形式のムービーやサウンドを同時に扱えるようなオーサリング・ツールはありません。OSにその機能がないからです。
開発に当たってマック版をベースにしたのは確かです。マック版からWindows版を作りやすいようにコードを書き換えていきました。この書き換え作業が最大の難所でした。我々にはWindows版のソフトの開発経験がありませんでしたから。当初の発表よりも出荷が遅れているのは,Windows版のチューニングにてこずっているのが理由の1つにあります。
確かに最初のアナウンスではQuickTime 3.0でインタラクティブ機能を含める予定でした。3.0ではWindows対応に全力を挙げることにしたので,先送りになったんです。次のメジャー・バージョンアップで提供します。98年の終わりごろになると思います。
●今後はどのような機能がQuickTimeで重要になるのですか?
DV(Digtal Video)フォーマットのサポートです。AppleはマシンにFireWire(IEEE1394)インタフェースを標準搭載していく予定です。ここにつながるのはDVです。DVのデータを取り込んで編集するソフトが絶対に必要になります。マックにはQuickTimeをベースにしたエレガントなビデオ編集ソフトがたくさんあります。QuickTimeがDVとFireWireをサポートする3.0になるだけで,すぐにDVの編集ソフトとして使えるのです。3.0以降も,もっとどんどん機能を追加してDVファイルの編集機能を充実させていきたいと考えています。
●改めて聞きます。QuickTimeとはなんですか?
QuickTimeの開発に当たって,我々は2つのことを実現しようと考えました。単なるメディアの配布ツールではいけない。制作をする環境だけでもダメ。両方が同時にできることが重要だ,と。
エンドユーザーにとっては最もリッチなマルチメディアを実現する手段であるべきです。すべてを含んでいて,使うのが面白い環境であるべきです。クリエーターにとってはすべてのメディア,すべてのファイル,すべてのツールを統合的に扱えるパワフルなツールでないといけない。ドライバーをインストールするといったムダな作業にかかわることなく制作に集中できるのが重要です。
それこそがQuickTimeで,クリエーターに提供するツールとエンドユーザーに提供する環境を同時に開発できるのは我々だけなんです。
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