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Mac OSエミュレーター:
いろいろある“マックの物真似”ソフト
CPUエミュレーションとROMがポイント

[Friday, September 11, 1998 服部 雅幸=日経MAC]

日経MAC 98年10月号(98年9月18日発行)に掲載する「VAIOマック誕生」(132ページ)の実体は,PCでマックの真似(emulation)をする「Mac OSエミュレーター」だった。マックでDOS/Windowsを真似る「VirtualPC」や「SoftWindows」など「PCエミュレーター」の逆だ。

「VAIOマック」で紹介した「FUSION」以外にも,従来からMac OSエミュレーターは存在した。代表的なのは,アップル自身が開発した「MAE(Macintosh Application Environment)」で,SUNとHPのUNIXマシンでMac OS環境を実現する。PC用では,Windowsの窓の中でマック環境を実現する「Gemulator」(http://www.emulators.com/)や,いろいろなプラットフォームでMac Plusをエミュレーションする「vMac」(http://www.vmac.org/),NextStepでも動作する「Executor」(http://www.ardi.com/)などがある。いずれもエミュレーション対象は68k(680x0)で,PowerPCには対応しない。

FUSIONとSheepShaverの違いは大

パソコンはCPUの種類が異なると,機械的には全く別物だと思ってよい。CPUは「いろいろな命令コードを読み込んでいろいろな動作(演算やメモリー・アクセスなど)を行う機械」だが,命令や動作の体系はCPUごとに全く異なる。だからPentiumの命令(プログラム)はPowerPCでは実行できないが,Pentiumの命令をデータとして読み込んで該当する動作を真似るソフトを作れば,あたかもPentiumを内蔵しているかのように振舞う。ほかのCPUの命令をネイティブな“命令”としてではなく“データ”として読み込む点が大きな違いだ。日本人が辞書を見ながら英語の命令書を読んで外人と同じ動作をするようなもので,外人(ほかのCPU)が直接命令を実行するよりも動作速度ははるかに遅い。

Power Macで68kマックのプログラムを実行する「68kエミュレーター」もCPUエミュレーションである。FUSIONはPentiumマシンで680x0(68k)のエミュレーションを行うが,両者の原理は全く同じと言ってよい。680x0は,PowerPCともPentiumとも全く構造の異なるCPUだ。

一方,Be OSでMac OS環境を実現する「SheepShaver」(http://www.sheepshaver.com/)や,Rhapsody(Mac OS X)のMac OS互換環境「BlueBox」はエミュレーションではない。これらは“Power Macで動くMac OS以外のOSとMac OSを共存させる仕組み”であり,CPUエミュレーションを伴わない。

PCの基本回路(CPUやROMなど)を拡張カード上に載せた「PCコンパチブル・カード」も,CPUエミュレーションとは本質が異なる。これは乱暴に言えば“1台のきょう体で2台のパソコンを共存させる仕組み”だ。

Mac OSではROMがネック

ほかのパソコンを真似るには,CPUエミュレーションのほかに,ROMが必要だ。パソコンはソフトの一部をROM(読み出し専用メモリー)として内蔵している。WindowsやMac OSの市販パッケージは簡単に入手できるが,ROMチップとして実装されたソフトはそうはいかない。

仕様がオープンなPCにはROMの互換ソフトがあり,VirtualPCやSoftWindowsはそれを組み込んでいる。だがマックのROMは非公開なうえ,アップルは他社にライセンスしていない(かつて互換機メーカーに供給した時期はあったが)。従って,アップル以外のMac OSエミュレーターのメーカーは,このROM内のプログラムを製品に添付できない。

解決策としては,互換プログラムを独自に開発して組み込むか,マックを保有しているユーザーが自身でアップル純正ROMプログラムを組み込むような仕様にするしかない。Executorは前者であり,FUSION,Gemulator,vMacなどは後者の方法を取っている。前者には互換性と最新システムへの対応の問題,後者にはROMの調達と組み込みという難があり,MAEのようにスマートではない。

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