▲T o p |
記者の目 |
ホット・ニュース
Nikkei MAC CD目次 |
マック版が早く欲しい! 本格的カーナビ・ソフト「Navin' You」体験記 [Wednesday, April 22, 1998] Windows 95用の地図ソフト「Navin' You Ver.1.0」(ソニー製,1997年11月21日発売,定価1万7800円(Home Pack),5万4800円(Mobile Pack=GPSアンテナ,専用PCカード付き))を購入して使ってみた。Mobile Packはまさにカー・ナビゲーション・システムそのもの。ルートを設定すれば,音声によるナビゲーションも可能だ。ノート・パソコンの有効活用法として注目したい。マック版の登場が望まれる。(大西 順雄=日経BPクリエーティブ) ●写真1 「Navin' You」をインストールしたLibretto 60(左)とGPSアンテナ(右)は,専用のPCカードで接続する。下はインストールに使ったCD-ROM。アプリケーション・ディスクと地図ディスクの2枚組。Navin' Youに関しては,ニュース・リリース,http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199710/97-097/を参照
マック漬けの5年間を編集部で過ごした筆者は,なかなか軽量化の進まないPowerBookに見切りをつけて,1997年9月にとうとう「Libretto 60」(東芝製)を購入してしまった。重さ850gの軽さと片手でむんずとつかめる大きさに満足しつつ,毎日全く苦もなく持ち歩いている。Winに移っても,最大の愛用ソフトは「ファイルメーカーPro」。4.0へのアップデートも行って使っている。もちろんレイアウト設計もLibrettoの上でやってきた。 しかし3月から職場が変わり,これまで以上に社外に出歩かなくなってからというもの,Librettoの活躍場面も減ってしまった。これまでは編集会議やデスク会など,社内でEthernetのつながるところならどこへでも持ち歩いて大活躍していたからだ。 新型地図ソフトと出会う ひょっとしたら,私は“地図ソフト・フェチ”かもしれない。マック用のソフトは2種類,Windows用のソフトもLibrettoにプレインストールされていたものでは満足できず,その上位版を購入した。それぞれ最新版へのアップデートも有償でしてきた。 それでもなかなか満足できなかったのだろう。Win用の新しい地図ソフトを買おうとしてパソコン・ショップに行った。そこで目に止まったのがソニーの「Navin' You」だ。カーナビと同じような交差点表示ができるというので,もう少しパッケージを見つめていると,GPSアンテナとのセットもある,という記述が目に飛び込んできた。パッケージは別のフロアにあるという。早速行ってみた。 そこには有名な「MapFan III」(インクリメントP)のGPSセットとNavin' You + GPSのセットがあった。価格はNavin'の方が少し安いぐらい。MapFanの中身は熟知していたので,いろいろ迷った末,Navin' Youのセットを購入した。
Librettoのハード・ディスクにほぼ全国を格納 Libretto 60は軽くて小さくてとてもいいのだが,2つ欠点がある。キーボードのピッチが13mmと小さく,タッチ・タイピングが苦しいことと,PCカード・スロットがType 2が1つしか使えないことだ。前者は,Libretto 60からわずか5カ月後に14.5mmピッチのキーボードを搭載した「Libretto 70」が発売されたことでLibrettoの欠点ではなくなったが,PCカードは相変わらずType2×1のままだ(Type2×2が使える「Libretto 100」は,本体の大きさが変わってしまったので,筆者は気に入っていない)。 したがって,Navin' YouのCD-ROMを使うためにCD-ROMドライブでPCスロットを使うと,GPS用のPCカードがさせなくなる。ところがNavin' Youのいいところの1つに「おでかけパック」と称する機能がある。希望の地域を地図上で選択してハード・ディスクにコピーできるのだ。関東2〜3県の範囲で50MBぐらい。さて,日本全体ではどうなるか,試してみた。 海の部分を除く日本のほぼ全体の地図情報のコピーには,30分ぐらいかかった。容量は約380MB。結構途中でハングアップしたりして,すったもんだのインストールとなった。ちなみに,筆者のLibretto 60は,内蔵ハード・ディスクを標準の810MBから1.6GBに換装,メモリーは最大の32MBにしている。
使用感はカーナビそのもの 地図は,これまでの「何万分の1」といった概念を越えて,より細かいピッチでズーミングができる。範囲を指定してその部分を拡大する,といった使い方もできる。これは快適だ。 さて,ルート探索をしてみた。経由ポイントを含む/含まない,回避経路を含む/含まない,でさまざまな経路を自動検索できる。なかなか使いやすい。渋滞が予想される環八(環状8号線)を回避ルートに指定すると,首都高速から東名高速道路を使うルートが選択された(首都高速が渋滞する確率も高いのだが・・)。 驚いたのはその次だ。シミュレーション・モードにすると,右に進行方向に対する交差点情報,左に北を上にした地図情報を同時に表示しながら,矢印が移動していく。そして音声による案内が始まる。「あと700メートルで○○交差点,右折です」「あと600メートル」・・。まるでカーナビだ(といっても,実際のカーナビが動いているところを見たことがない--身近にだれも持っていない?--ので,想像だが)。
常識(?)では選択しないルートを選択 買った翌々日,東京都八王子の方まで出かけることにしていたので,早速ルートを設定してみた。これまで使っていた国道16号を全然通らないルートが選択された。とにかく渋滞の激しい16号だけに,いちおう頭で考えていたコースだ。しかし,最後の交差点の近くの道路は,実際はギリギリ対面通行できるような細い道だった。地図上もほとんど路地のような道。地図を見ていただけなら絶対選ばなかった道だろう。しかし結果は(対向車がちょっと怖かったけど)実に素直な道で,あっと言う間に到着してしまった。 ●写真2 車載状態。ダッシュボードの上にGPSアンテナ,助手席にLibrettoとインバーター電源を置いた。急停車時の工夫はしていない。安全運転を心がけている 付属のGPSアンテナは,わずか5cm各のアンテナをダッシュボードに置いただけ(本当は車の屋根にくっつけるように結構強力な磁石が入っている)。途中何度か衛星を見失ったみたいだが,結果としては実に正確に道をトレースして行った。
●写真3 ナビゲーション中の画面。黄色いラインが設定ラインだが,図はルートから外れたために元々の設定ラインがピンクに変わった。その後,ルートの再設定を行い,元のルートに戻るところを示している。画面右上のアイコンは電波の受信状態を示している。この時は衛星4個を捕捉して3次元的にも正確な位置を示している 走行距離との連動をする最近のカーナビ・システムよりは不正確だろうが,ルートから外れると「ルートを外れました」というアナウンスもされる。100m単位で交差点への接近をアナウンスするのがうるさいと言えばそうだが,なかなか的確な指示でもあった。画面を途中で見る(もちろん運転中ではなく信号待ち中など)ので通常より集中して運転していなかったが,分からなくなれば車を止めて確かめればいいので,安全は確認して乗ったつもり。 実際にナビゲーションしたコースは,自動的に記憶される。後から表示もできるので,どこで道に迷ったかとか,どこで寄り道したとか,全体で何時間,何kmドライブしたか,といった情報も表示できて,実に面白い。
なぜない?標準カー・バッテリー・アダプター 片道約40分のドライブだったが,Librettoの標準バッテリーは帰りまでは持たなかった。本体を触ると結構発熱している。アンテナやPCカードへも電力を供給しながらの連続運転は,過酷な条件だったかもしれない。ということで,Librettoの標準オプションにないカー・バッテリー・アダプターを購入することにした。 各所で聞き回ったが,秋葉原のチチブデンキ(03-3253-3443)では,箱に英語で説明のあるカー・バッテリー・アダプターを取り扱っていた(1万2000円)。東芝ノート・パソコン各機に使えるようだ。結局は,その他の100V電気機器にも使えるようにインバーター式の電源を某所で購入した。7500円〜1万5000円ぐらいであちこちに販売している。 交通情報ATISもキャッチ 関東地域と高速道路の工事,渋滞などの情報を提供しているATISを取り込めるのも特徴だ。ダイヤルQ2を使った情報提供もある。1回の情報料は50円。手元にあったポータブル・モデムは14.4kbpsしか出ないので課金が心配だがどうだろうか。たまたま夜中に接続したので,渋滞情報がほとんどなかったせいかもしれないが,接続時間は20秒ぐらいだった。首都高速の出口封鎖情報などが入っていた。携帯電話などを持っていれば,旅行の途中でもデータをキャッチできるだろう。とりあえず,出掛ける前にQ2で一度つなげば,それなりの情報はつかめそうだ。
Navin' You Mobile Packは,実売で税込み約4万5000円だった。地図ソフトとしては高いかもしれないが,久々に感動を覚えたシステムだったことは間違いない。車の中以外で旅行計画を立てられるなんて,カーナビじゃできないはず,というのも,気に入っている(最近はポータブルなシステムも出てきたが)。ちなみに,ベストセラー・ノート・パソコンとなったソニーの「VAIOノート」シリーズには,Navin' YouのLite版が同梱されている。カバー範囲は関東地域だけである。 カーナビは,安くなったとは言ってもモニター込みで20万円コース。もしCD-ROM内蔵のWinノートが眠っているのなら,買ってみるといいかもしれない。また,G3にアップデートしたPowerBook 1400や2400cなら,PCエミュレーション上でも快適に動くかも知れない。ぜひ評価してほしいという方は,日経MAC編集部にメールを出そう(あて先はplaza@nikkeimac.or.jp)。もっとも,カーナビと違って車の助手席はパソコンに占有されてしまうので念のため。また,くれぐれも運転中のパソコン操作はなさらないように。 |
Copyright 1993-1998 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved. This page was last updated on Sun, Jun 21, 1998 at 2:09:54 PM. Site Developed by Rei Watanabe |