Seybold San Francisco 97ハイライト 主役はWindows NT,AppleはColorSync 2.5を発表
[Tuesday, October 7, 1997 シリコンバレー・オフィス発、山田 剛良=日経MAC]
97年9月29日から米San Francisco市でディジタル・パブリッシング関連の展示会「Seybold SanFrancisco 97」が開催された。会場の注目展示や記者会見からハイライトをお届けする。
展示会の雰囲気はWelcome Microsoft
展示会全体の雰囲気は「Welcome Microsoft」。主役は「Windows NT」である。展示会開幕初日に行われたBillGates氏の基調講演を見る限り,ユーザーの多くはマック・ユーザーのようだが,米Compaq社,米DigitalEquipment社(DEC)といったPCベンダーが大きなブースを構えて目立っていた。Windows NT上のアプリケーションを展示するベンダーが目立ったし,Microsoft社のブースも人だかりは多かった。
多くの観客を集めていた米Adobe Systems社のブースでもほとんどのアプリケーションのデモをWindows NTで実施。デモ機の中でマックは数えるほどだった。総じてベンダー側は「PC + Windows NT + Internet」というソリューションの提案が多かった。ただし,ユーザーは今一つ付いていけていないという感じがした。
Apple,ColorSync 2.5を発表
AppleはSeybold初日の9月29日,Mac OSのカラー・マネジメント・システムの新版「ColorSync 2.5」を発表した。98年第1四半期に出荷する。98年夏に予定されているMac OSのメジャー・アップグレード「Allegro」でOSに統合する予定だ。 ColorSync 2.5はディスプレイ調整用のプラグイン・アーキテクチャーを用意したのが最大の目玉。マルチプロセッサーやAppleScriptに対応した。その新機能を,会場のAppleブースでデモした。
AppleのブースではQTML関連の展示も注目を集めていた。中核となる「QuickTime 3.0」はWebを使って,10月11日までに公開β版の配布を始める。「QuickTime Plug-in 2.0」も同時に公開する。マック版と同時にWindows版も登場する。正式版の出荷は年内を予定している。このほか,QuickTime VRムービーを制作する「QuickTime VRAuthoring Studio」も注目を集めていた。こちらは年内に米Claris社からパッケージ・ソフトとして出荷される。価格は395ドル以下の見込み。
だが,QuickTime 3.0のオーサリング・ツールとして注目される「HyperCard 3.0」については発表がなかった。当面「Madromedia Director」に依存することなりそうだ。
FlushPixが業界標準へ
新しい画像フォーマット「FlashPix」を推進する4社(米Eastman Kodak社,米Microsoft社,米Hewlett-Packard社,米Live Picture社)が中心になり,賛同する全9社が集まって「Digital ImagingGroup(DIG)」なる非営利団体を結成した。FlushPixとこれをインターネット向けにした「Internet Imaging Ortocol(IIP)」をコンシュマーからプロフェッショナルまで使える次世代の標準画像フォーマットにするのが目的だ。
集まったのは前述の4社のほか,米Adobe Systems社,富士写真フイルム,米IBM社,米Intel社,キヤノンの全部で9社である。
FlushPixの長所はポータビリティーの高さである。用途はとりあえずインターネットだが,写真フィルムとディジタル・データの良いところを合わせ持つ万能のフォーマットであると説明。
Kodakは「フォトCD」の記録フォーマットとして採用する。ただし,従来のフォトCDも残るだろうが,プロ向けになって行くだろうとコメント。フジフィルムもフォトCDと同様のサービスをFlushPixを使って行う。
集まった顔触れをみると「これで次世代画像フォーマットは決まり」という印象を受ける。
面白かったのはQ&Aセッションで「Appleが蚊帳の外なのはなぜ?」と記者から質問があったこと。DIG首脳は「我々はAppleにも声を掛けているし,彼らも非常に興味を持っている。参加の意向があれば大きく手を広げて歓迎したい」とコメント。LivePicture社のRobert Blumberg氏から「Appleは8月にFlushPixを将来のQuickTimeでサポートすると発表している」とフォローが入る一幕があった。
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