バイヤーズ・ガイド

インターネット広場

日経MACレポート

記者の目

日経MACから

Nikkei MAC CD目次

NIKKEIMAC.COM

日経BP社 BizTech

世界最大のパソコン展示会「COMDEX/Fall '97」が97年11月17日に米Las Vegas市で始まった。展示会開催前日の16日夜に行われた，米Microsoft社会長兼CEO（最高経営責任者）のBill Gates氏の基調講演で97年のCOMDEXはスタートした。

ジョークを交え，大いに盛り上がるが
内容自体には新味はないGates氏の講演

会場は開演の30分前から満員。改めてGates氏の人気を証明した。Gates氏は，最近の講演の集大成といえる盛り沢山な内容で，観客の期待にこたえた。半面，新味はまったくなかった。

講演の前半は「Top 10 Reason I Love My PC」と題したカウントダウン形式で進んだ。仕様の自由さと引き換えに，依然残る使い勝手の悪さといった欠点を率直に認めたうえで，成長を続けるPC業界の現状を述べた。

後半は「Digital Nervous System（ディジタル神経系）」「Web Life Style（Webのある生活スタイル）」といったキーワードを使って，今後ますます新しい領域に踏み込んでいくPCの世界を印象づけた。

途中，開発中のWindows NT 5.0やNet PC，海兵隊の技術士官によるWindows CEマシン活用，Back Officeを小規模ビジネスで使った事例のデモや副社長のSteve Ballmer氏と共演したビデオなどを交えて，観客を飽きさせなかった。ただし，大半はどこかですでに上演した内容だった。

ちょっと面白かったのが，高名なプロ・バスケット・ボール選手Kareem Abdul Jabbar氏を壇上に上げて，デモをさせて見せた場面。マウスによるクリック操作がおぼつかないJabbar氏を見兼ねたGates氏が，自らデモを代行する成りゆきになったからだ。

講演の端々やビデオの中で，米Sun Microsystems社や米政府司法省を皮肉ったジョーク，有名なコマーシャルのパロディーが連発され，会場は大いにわいた。そもそも「Top 10 Reason...」という形式自体が，SunのScott McNealy会長がMicrosoft社を皮肉る内容の講演でよく使うプレゼンテーションのパロディーなのである。

会場の話題は強いていえばWindows CE
対抗勢力の衰退でいまいち盛り上がらず

Gates氏の講演から明けた17日，いよいよ展示会がスタートした。会場は朝から超満員。だが，これといった大きな話題はなく，盛況だが例年に比べて話題性に欠ける，というのが初日の印象だ。

話題がないわけではない。特にカラー・サポートなどの機能を強化した「Windows CE」の新版2.0に関連して展示が，おそらく今回のショー最大の目玉。各社から搭載機が続々登場した。

一方，マックにも関連する話題としては，初日に発表された「Microsoft Exchange Server 5.5」だろう。

Exchange Server 5.5は「Back Office」の中核となるメール・サーバー・ソフトである。新版の5.5では，クラスター対応によるスケーラビリティーの向上，S/MIMEやX.509 v3のサポートといったセキュリティー面，IMAP4やLDAP v3への対応といった機能強化が行われた。もちろんマックでExchange Serverが動作するわけではなく，注目すべきはマック版クライアント「Outlook for Macintosh Exchange Server Editon」が初めて登場した点にある。

ただし，マック版クライアントは機能的に16ビットWindows版相当で，電子メール・クライアントとしてはExchange Serverにしか接続できない。Exchange Serverをゲートウエイとしてインターネット・メールなどを利用する。最新の「Outlook 97」に比べると機能は劣る。また，記者会見でBill Gates会長が語ったところによると，単独でインターネット・クライアントとして機能する簡易版の「Outlook Express」はマック版「Internet Explorer 4.0」に同梱して出荷される。Outlook for Macintosh Exchange Server EditonとOutlook Expressとは98年中に統合される見通しである。