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Appleの前四半期は4500万ドルの黒字 Jobs氏,基調講演で上向きの業績を強調 [Wednesday, January 7, 1998 山田 剛良=日経MAC] 1時間にわたったキーノートスピーチが終わりにさしかかった。降壇しようとしたSteve Jobs氏(米Apple Computer社暫定CEO)がステージ中央に引き返し「言い忘れたことがある」と思わせぶりにつけ加えたとき,一気に観客の期待は高まった。だが,表示されたスライドには「Think Profit.」。「言い忘れたこと」とは,98年第1四半期(97年10月〜12月)のAppleの好調な業績のことだった。 Jobs氏は,Appleが前四半期,15億7500万ドルの収益を上げ,4500万ドルの黒字を計上したと発表し,約1時間の講演を締めくくった。事前に流れたさまざまなウワサ——新しいハードウエア,米Oracle社との広範な業務提携,NC(Network Computer)マシンの計画,ビジネス向けeMate,Rhapsodyの出荷といった発表は一切なし。予定されたとおり「Mac OS 8.1」と「QuickTime 3.0」の発表が行われたにとどまった。
過去6カ月の努力の成果を説明 98年1月6日,午前9時(米国西海岸時間)を10分ほど過ぎて,「MACWORLD Expo/San Francisco」の基調講演は始まった。会場となったSan Francisco Marriottホテルの周囲は30分以上前から長蛇の列。多数の報道陣がごった返し,多数の聴衆を集めた。 Jobs氏の講演は,6カ月前に就任してからこれまでの努力の成果を説明する内容だった。聴衆にAppleの業績が上昇基調にあると印象づけた。97年11月から出荷を開始した「Power Macintosh G3」が,8万台の出荷予想に対し実際は13万3000台売れた事実。97年9月末に発表した米国の大手販売チェーン「CompUSA」との提携で,同店でのマック関連製品の販売比率が提携前の3%から一気に14%まで向上したこと。Webによる直販「Apple Store」が,100万ヒット/日を超える人気サイトであることなどを説明した。 97年9月から始まったキャンペーン「Think different.」については(3大ネットワークの)ABCなどが制作したパロディーCM「Think dharma.」「Think funny.」を紹介,「たった51日で大衆文化になった」と自賛した。
QuickTime 3.0はプロ・バージョンを用意 製品の発表で目玉になったのはQuickTime 3.0だった。Jobs氏はQuickTimeが競合技術に対してすべての面で優れていると説明し「OpenDocのキャンセルではずいぶんと嫌がらせメールをもらったが,それはこの技術に集中するためだったんだ」と述べた。 続いて壇上に招かれたQuickTime ArchitectのPeter Hoddie氏はソフトウエアのみによるフルスクリーン・ビデオ再生,ストリーミング技術,ドラッグ・アンド・ドロップによる編集が可能なDVサポート,ハイクオリティー・オーディオといったデモを行い,観客の喝采を浴びた。 QuickTime 3.0からは2つのパッケージが用意される。「Basic」バージョンはこれまで通り無料で配布する。オーサリング機能などの追加機能を含む「Pro」バージョンはWebサイトを通じ,29.95ドルで販売される。いずれのパッケージもマック版とWindows版が用意される。 Mac OS 8.1も正式に発表された。新しいファイル・システム「HFS Plus」,DVDの標準サポート,パフォーマンスの向上が目玉。98年2月に出荷する。米国ではMac OS 8.0からの無料アップデーターを用意する。
Office 98 for Macが予定通り発表 講演の後半,Jobs氏は協力サード・パーティーを次々と壇上に招き「多くの素晴らしいベンダーがまだAppleに協力してくれている」と述べた。登壇したのは米Microsoft社,米Oracle社,米Macromedia社,「RIVEN」で有名な米Cyan社の面々。 最初に登場したのは米Microsoft社Macintosh Business Unit,General ManagerのBen Waldman氏。もちろん「Microsoft Office 98 for Macintosh」(Office 98 for Mac)の発表のためだ。Office 98 for Macは表1の製品を含んだスウィート・パッケージである。スタンダード版が店頭推定で499ドル,これに「Microsoft Encarta 98」(マルチメディア百科事典),「Microsoft Bookshelf 98」(CD-ROMレファレンス・ライブラリー),「Microsoft FrontPage 1.0」(Webサイト構築・管理ソフト)を加えた「Gold版」が店頭推定で599ドル。いずれも98年3月には店頭に並ぶ予定である(関連情報はhttp://www.microsoft.com/macoffice/)。
Waldman氏は「僕らも『Think different.』した」と述べ,「Office 98は完全なマック製品。Windows版からの移植ではない」と最初に強調した。 インタフェース周りのデザイン,コンテクスト・メニュー,ドラッグ・アンド・ドロップ,QuickTime VRのサポートといった「マック・ライクな」機能やマック版だけの機能を次々と見せ,自身の言葉を証明していった。その上で「自然言語技術」をベースにしたOfficeの新機能——自動スペル・構文チェックやあいまい検索,アクティブ・ヘルプ機能などを紹介した。 Microsoftは約束通り,Office 98 for Macに含まれる「Internet Explorer 4.0 for Macintosh(IE4)」とインターネット・メール/ニュース・クライアント「Outlook Express」などのパッケージを即日,Webで公開した(http://www.microsoft.com/ie/mac/)。 続いて,米Oracle社のFinancial Application担当Vice President,John Wookey氏が壇上に招かれ,同社の40以上のアプリケーションがマック上で動作するとデモした。これらはJavaで書かれており,MRJ(Mac OS Runtime for Java,Mac OS付属のJava実行環境)などを介して動作する。 |
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