マルチホーミング対応Open Transport インタフェースは相変わらず無愛想
[Tuesday, January 6, 1998 改井 満=日経MAC]
98年1月6日(米国時間。日本時間7日)に発表されるMac OS 8.1(英語版)には,ネットワーク・システム「Open Transport」の新版1.3が付属する。エンドユーザーにとってはバグ・フィクスと安定性が向上した以外に大きな進歩はなかったものの,インターネット・サイト運営に携わる人にとって見逃せない機能が加わった。1台のマックで,複数のIPアドレスを利用できるマルチホーミングを初めてサポートしたのだ。
マルチホーミングは,複数台のマックで運用していたWebサーバーを1台の高性能マックに置き換えたり,1台のマック上で異なるドメインでWebサービスを行う,といった場合の基盤となる機能だ。もちろんマルチホーミングに対応したWebサーバー・ソフトが必要で,1月中にも出荷される米Quarterdeck社の「WebSTAR 3.0」を使う必要がある。
Open Transoprt 1.3が実装しているのは,1つのハードウエア・インタフェース(例えばEthernetポート)に対して複数のIPアドレスを設定できるシングル・リンク・マルチホーミングと呼ばれる機能である。UNIXの世界では複数のEthernetカードを差して,個別にIPアドレスをサポートするマルチホーミングが普通だが,Open Transport 1.3にこの機能までは備わっていない。
このほか,パケットの扱いを改善した。従来は,前パケットの送出完了を確認したり,パケットがMTU(最大転送ユニット)に達するまで,送信を保留していたが,これを廃止,直ちに送信する方式に変更した。
マックらしかぬインタフェースが不評を買っているOpenTransportだが,1.3版でも改善は加えられなかった。
新機能のマルチホーミングに至っては,IPセカンダリー・アドレス以降を,下の図のようなテキスト・ファイルとして記述し,System FolderのPreferenceフォルダに格納する——つまり,ユーザー・インタフェースがないに等しい。いくらサイト管理者向けの機能とはいえ,だれでも簡単にサーバーが作れるのがマックのいいところだったはず。早急に改善を望みたい。
注)上のマルチホーミングの設定ファイルでは,IPセカンダリー・アドレスを記述したファイルを「IP Scecondary Addresses」という名前のテキスト・ファイルとして保存し,System Folderの「Preference」フォルダに入れる。サブネット・マスクやルーターのアドレスを個別に設定することも可能だ。
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