CEOがいなくてもしばらくは大丈夫 ─Q&Aセッションより─
[Wednesday, January 7, 1998 平沢 真一=日経MAC]
米Apple Computer社暫定CEO(最高経営責任者)のSteve Jobs氏による基調講演の後,Mitch Mandich上級副社長(ワールドワイド・セールスおよびサポート担当),Jon Rubinstein上級副社長(ハードウエア担当), Fred Anderson執行副社長兼CFO(最高財務責任者),Avie Tevanian上級副社長(ソフトウエア担当)の4人が参加して40分間のQ&Aセッションが行われた。
まず,Mandich上級副社長が,同社の収支に関する質問に答えた。G3シリーズを予定通りのスケジュールで出せたことと,Mac OS 8が好調に売れていることから,前期(98会計年度第1四半期,97年10〜12月)は4500万ドルの黒字に転換する。収益は15億7500万ドルとなる見込み。正式には98年1月14日に発表する。
新CEOの選定が未だに行われないことについてAnderson氏が説明した。「引き続きCEOの候補者を探しているが,該当者が見つからない。Jobs氏は暫定のCEOとはいえ,97年からフルタイムに近い体制で取り組んでくれている。社としての今後の方針も固まってきたので,あと6カ月や12カ月はCEOなしでもやっていけるだろう」。今後もJobs氏の体制で行くというわけだが,彼はあくまで“暫定”であると強調した。
販売体制についてはMandich氏が答えた。大手パソコン販売店CompUSA社が全米に持つ147店舗のうち,54店舗にマック専門のコーナーを試験的に設けたところ,効果が上がっている。「CompUSA社の全売り上げのうち,マック製品の内訳が3%から14%に上がった。100名を越える同社の販売員に向けた教育も行っている」。アジア全域に波及した通貨危機や金融市場の暴落が販売状況に影響を与えているかとの質問については「アジアでの売り上げの実績が,予定より14%も下がっている。日本市場を単体で見た場合でも13%以上下がった」(Mandich氏)。日本市場の重要性に言及し,「Appleの総売り上げのうち,日本を含めるとアジアの比率は20〜25%に上るが,日本を抜くと10%に満たない。欧州,米国が予想以上に好況なのが幸いし,トータルとしては目標の売り上げを達成できている」と語った。逆に,アジアの通貨が下落することで,アジア製の部品を安く調達できるメリットも考えられるが,その効果はまだ出ていないと述べた。
Jobs氏の基調講演ではほとんど触れられなかったRhapsodyや次期Mac OSについての質問も出たが,明確な回答を避けた。ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)を搭載するPower Macは98年前半に登場する。
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