Claris分割を 開発者や大口ユーザーはどうとらえたか
[Tuesday, February 3, 1998 松浦 晋=日経MAC]
今回の米Claris社のリストラに伴う社名変更と主力ソフトのAppleへの移管について,国内でクラリス製品上で動くアプリケーションやテンプレートを供給している開発者は意外と冷静な態度を保っている。ユーザーも公正なサポートさえ受けられるなら問題はないとする。
意外と冷静な開発者
「ファイルメーカーPro」を使ったソリューション・ビジネスを幅広く手掛けるオッズ(本社島根県大田市)の西原由実代表取締役は,新生FileMaker社が「主力商品へ注力することは正解。マイナスの影響はない。FileMaker社がファイルメーカーに注力することにより,より高性能化する一方で使いやすいデータベース・ソフトとして今後も発展するだろう」とコメントした。
また,同じくファイルメーカーProをはじめ,クラリス製品向けのテンプレートを販売しているジェイシーエヌランド(本社東京)の平山成保社長は「かつてクラリスドローやクラリスインパクトのテンプレートなども出したこともあるが,売れ行きはさほどでもなかったため,現在の主力はファイルメーカーProとクラリスワークス向けの製品になっている。(仮にインパクトなどの新版開発が中断されたとしても)ビジネスに大きな影響はないだろう」としている。共に今回のClaris再編をむしろ好ましいこととして歓迎する姿勢を見せている。
ユーザーはサポート継続を希望
一方クラリス製品の大口ユーザーである大成建設土木情報技術部の木内里美部長は本誌の取材に対して「私的コメント」と断りつつも,「Appleの置かれている現状は厳しく,Claris社のリストラも必要なことと理解できる。しかし(ソフト)を商品として供給したのだからユーザーに対してきちんとした後始末をすることは開発会社の責任であり義務だろう」と,ユーザー・サポートの貫徹を求めた。
今後既存のクラリス製品ユーザーに対してどこまで公正なサポートができるかで,新生FileMaker社,ひいてはAppleのイメージが上下するであろうことは間違いない。
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