日本語版Officeには,Windows版にも 英語版にもない“特別”な内容を盛り込む
[Saturday, February 21, 1998 星野 純=日経MAC]
Ben Waldman氏
米Microsoft社 マッキントッシュ・ビジネス事業部ゼネラル・マネジャー |
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●「Microsoft Office 98 Macintosh Edition」の日本語版はいつ出荷されますか?
98年の夏頃の予定です。
●今回は日本向け仕様をしっかり盛り込むということですが,ローカライズ作業は主にどこで行っているんですか?
ローカライズは単なる翻訳作業ではありません。“日本語版”というのは,機能だけでなく,マニュアルやテンプレートなどのコンテンツも含みますし,どちらに重きがある,と一概には言えません。また,今回の日本語版パッケージには,Windows版にも英語版にも含まれていない“特別”な内容を盛り込む予定です。
●米国の開発チームはかなり大きな規模ですが,マイクロソフト株式会社側のチームの規模はどのくらいなんですか?
20〜25人くらいです。
●日本語版の新機能で特徴的なものは何ですか?
いろいろありますが,例えば「Excel 98」では,セル内でふりがなを付けられます。ソートも日本語のルールで行えるようになりました。
「Word 98」では,禁則処理や縦書きが強化されたほか,JISの組み版ルール(JIS4051)にも対応しました。また,ヘルプや文章作成支援など自然言語機能は,日本語版でも英語版と同じように装備します。日本語の文章構造を解析するのは難しいので,新たに相当多くの作業が発生しました。この部分は日本の開発チームが担当しています。
日本ならではの表組みをサポートするWord
“自発的”にヘルプやワンポイント・アドバイスを行う「Office Assistant」
●Windows版では「MS-IME」(Windows標準装備のかな漢字変換ソフト)との連携が強化されていますが,マック版MS-IMEを開発する計画はあるのでしょうか?
マック版MS-IMEは,面白いアイデアだと思います。ただ,インプット・メソッドはアプリケーションに比べてかなりシステムに近いレベルになりますから,開発は難しくなります。いずれにせよ98年夏に出荷するパッケージでは無理ですね。
●我々が英語版のβ版をテストしたところ,従来のバージョン4.2に比べて全体に高速化したな,との印象を受けました。特に「Word Count」が劇的に速くなっていましたが,どんな仕掛けなんですか?
とにかく一所懸命働きました。(笑い) パフォーマンス向上は非常に重要視しています。我々のチームには,パフォーマンス向上のための作業を専門に担当しているグループもいるんです。
●過去のバージョンとの互換性についてはどうでしょうか?
100%完ぺきなものを提供します。マック版とWindows版の間に関しても同様です。
●新機能のアイデアはユーザー調査を基にしている部分が大きいと思います。新版の,例えばExcelなどはどちらかというとマック・ユーザーにとって「Windows版に追いついた」という印象が強いと思いますが,今後マック版とWindows版は同じように進化していくんでしょうか?
YesともNoとも言えますね。それぞれニーズは異なっていますから。もし双方のニーズが同じものなら,マック・ユーザーは旧版(4.2)を気に入ってくれたでしょう。今後は基本的に,それぞれにない機能を搭載しながら交互に進化していく予定です。
今回は,調査を基にとにかくマック・ユーザーのニーズを満たせるよう努力しました。例えば,グラフィックス機能(OfficeArt),インターネット連携機能,WYSIWYGのフォント・メニュー,新しいインストール機能(Self-repairing Application)などです。これらは,Windowsユーザーのニーズはそれほど高くないんです。また,「Outlook Express」(インターネット・メール・ソフト)とWordとの連携機能はマック版のみです。
●ところで,「Visual Basic」(VB)のマック版の計画はありますか?
新しいマック版Officeでは,共有ライブラリの形でWindows版とほぼ同等のマクロ言語「Visual Basic for Applications」(VBA)を実装しました。クロスプラットフォームでの利用も可能です。ただし,スタンドアロン版の計画はありません。なぜならVBはWindowsのOSの機能を多用しているからです。現在Windows版はバージョン5.0になっていますが,マック版を作るとなると1.0程度の機能しか実現できないんです。
●Officeが今後マックにバンドルされるという噂がありますが,どうなんでしょう?
現在Appleとは常に緊密な協議を行っていますが,そういう計画は特にありません。
(聞き手=星野 純)

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