実践者達が語るマック・ベースの インターネット・サーバー運用ノウハウ
[Saturday, February 21, 1998 星野 純=日経MAC]
MACWORLD Expo/Tokyo初日から行われている各種コンファレンス・プログラムだが,2月20日は「インターネットトラック」と題し,マックを利用したインターネット・サーバーについての講演が行われた。
10:30から2時間近くにわたって行われた同トラックの最初のプログラム「どこまで使えるMacのインターネット技術」では,宮崎医科大学の牧原真治氏,当「NIKKEIMAC.COM」のWebmaster,本誌特約ジャーナリストの渡辺玲氏,アップルコンピュータでサーバー製品を担当する鷲滝薫氏,の3人が日ごろからマックを活用しているノウハウなどを紹介した。
サーバー管理の5原則
牧原氏は,宮崎医科大,現在勤務している日南病院,そして自宅と,大中小3つの規模の,マック・ベースのネットワーク運営を手がけていることで有名な人物。それぞれのネットワークの規模に応じた機器,サーバー・ソフトの構成を詳細に紹介し,古いマシンでも適材適所で十分活かせることを示した。
氏は話の中で,自身の体験に基づいたマック・ベースのシステムの安定性を高める5つの原則を挙げた。
1. 余分な機能拡張は入れない
2. 1台のマシンに複数のサーバー・ソフトを集中させない
3. OSのバグ・フィクスには迅速に対応する。ただし,メジャー・バージョンアップの時は様子をみる
4. 「AutoBoot」のような,ハングアップ時に自動的に再起動できるツールを利用する
5. メール(SMTP)の送信経路をよく考え,負荷を減らす
というもの。これらは,同時にマックを安定させる基本とも言えるポイントだろう。
日経MACの独自サイト管理法を紹介
続いて壇上に登場したのは,当サイトの管理人,渡辺氏。Webサイトの効率的な管理・運営法について,実際に当サイトで活かされているノウハウを実演を交えて紹介。「ホームページを大事に」をスローガンに,レンタル・サーバーをうまく使うポイントから,“特殊な業務”であるWebmasterの再認識,「ルック&フィールとコンテンツを分ける」といった具体的な運用法まで,幅広く解説した。
特に,マックを使った独自のサイト管理システム(スクリプト環境「Userland Frontier」を中心に複数のソフトを組み合わせたもの)で,会場からNIKKEIMAC.COMを実際に更新して見せたデモは,かなりの見もの。講演中の数分間,ダミーの記事がNIKKEIMAC.COMのトップ・ページに上がった。
AppleShare IP 5.0の将来像も
最後は,アップルコンピュータの鷲滝氏。リリースして間もない「AppleShare IP 5.0」,「Apple Remote Access 3.0」の活用法などを紹介した。この2製品は,TCP/IPとAppleTalkの双方の利点を活かしたネットワークを簡単に構築できるのが特徴。セレクタを使った簡単なインタフェースを継承しながら,インターネット越しのネットワーク利用が可能なことなどを説明した。
また,鷲滝氏はAppleShare IPの将来バージョンで予定されている機能についても触れた。Webおよびファイル・サーバーでは,Webブラウザーを使って設定・管理が行えるようになるほか,Open Transport 1.3で実装されたマルチドメイン機能が使えるようになる。メール・サーバーはIMAPに対応。プリント・サーバーはTCP/IP経由のプリントが可能になり,ユーザー認証機能を装備する。
このほか,ユーザー管理を各サーバーごとに分けてできるようにし,IPのフィルタリングやWindowsクライアントがAppleShare資産にアクセスできる機能も装備する予定だという。
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