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ディジタル・イメージング分野における
Adobeの優位はゆるぎません

[Monday, April 27, 1998 シリコンバレー支局,山田 剛良=日経MAC]

(5k) Robert A. Roblin氏,
米Adobe Systems社,マーケティング担当上級副社長

グラフィックス・ソフトの巨人「Adobe Photoshop 5.0」がいよいよ登場する。Adobe Systems社(http://www.adobe.com/)は98年春,アグレッシブな動きを見せた。Photoshopだけでなく「Premiere 5.0」をリリースし,新製品「ImageReady」,「PhotoDeluxe Business Edition」 を追加する。World Wide Web Consortium(W3C,http://www.w3c.org/)には高品質のグラフィックスをWebで扱うための新言語「PGML=Precision Graphics Markup Language」を提案した。マーケティング部門を率いるRoblin上級副社長に,Adobeの戦略について聞いた。

●ディジタル・イメージング分野におけるAdobeの戦略を教えてください。

今まさに,ディジタル・イメージング市場が爆発的に拡大する要素がそろったと考えています。DTPの誕生した時と様子が似ている。あの時はMacintoshというプラットフォーム,「PageMaker」というソフト,キヤノンが開発したレーザー・プリンターというハード,そしてAdobeのPostScriptというカギとなる技術が同時に登場した。ディジタル・イメージング分野で今,同じような状況がある。

画像処理に必要な処理能力を持つマイクロプロセッサー,画質が良いカラー・インクジェット・プリンター,ディジタル・カメラやスキャナーの普及。つまり,入力,出力,処理のためのハードウエアです。これらがすべて安価に提供されている。

とはいえ,市場を引っ張るに十分なニーズが必要です。これを担うのがインターネットの普及です。例えば電子商取引(EC)。ECにより,インターネット上で通販などを行う小規模な商業サイトが増えます。これらは例外なく画像を必要とする。ある調査では小規模な商業サイトの71%はECの機能を持ち,最低7点のディジタル画像を使っている。ディジタル・イメージングへのニーズは,プロの分野とコンシュマーの両方で今後爆発的に増えるでしょう。

我々Adobeに何ができるか? ディジタル・イメージング用のソフトの提供です。Adobeはディジタル・イメージングの分野で絶対の自信を持っています。Photoshopをはじめとして,プロの世界で高い評価を得てきた多くのディジタル・イメージング・ソフトを持っています。

我々はこの土台をいかして,すべてのユーザーに我々の製品を提供する考えです。Adobeは今や同時に3つの市場を見ています。以前から強みを持つ,プロ向けグラフィックス市場だけでなく,コンシューマー市場と企業市場へ製品を投入し,ディジタル・イメージ市場を“牽引”します。

まず4月27日に「Photoshop 5」を発表します。これはいわば我々の基盤であり,この分野でのデファクト・スタンダードです。「無限アンドゥ」などプロの世界で求められる機能を追加しました。バージョンアップでさらに評価を高めるでしょう。

また我々には2年前に出荷したコンシュマー向けの画像処理ソフト「PhotoDeluxe」があります。PhotoDeluxeはPhotoshopの強力な画像処理エンジンに,コンシュマー向けのインタフェースを載せた製品です。Photo Deluxeはこの分野で39%のシェアを持ち,2番手以下に2倍の差を付けています。さらに「PhotoDeluxe Business Edition」を出します。これはPhotoDeluxeと同じインタフェースで,名刺やカタログなど,ビジネス向けの画像を作成する機能を持つソフトです。米国では5月に99ドルで提供します。日本語版も1,2カ月遅れで出荷予定です。

●Web向けの新製品「ImageReady」について教えてください

我々はここ2年間に,広くユーザー・ニーズを知るために集中的な投資を行いました。その一環でWebチームの仕事ぶりをエンジニアが見学しました。そこで発見したことは,Webチームがたった1つの仕事のために,5つや6つのツールを併用している事実でした。エンジニアは「我々の技術を使えばこれを1つのツールにして,彼らの仕事を効率化できる」と考えた。

ImageReadyはPhotoshopのコアテクノロジーに,アニメーションなどWebで必要な機能を加えた製品です。インタフェースはPhotoshopに似ていますし,ファイル読み込みも可能です。Web機能をPhotoshopに統合することも検討しましたが,デザイナーではなくWebチームのツールに最適化するには,単独の製品の方がよいという判断になりました。なぜならプリプレス・デザイナーとWebチームの仕事の進め方や要請が全然異なるからです。ImageReadyはWebチームのワーク・フローを解析し,そこに最適化してあります。

●コンシュマー向けの「Premiere」や「After Effects」を考えていますか?

日本ではディジタル・ビデオ・カメラがすでに市場の主流だと聞きます。遠からず米国も同じ状況になる。つまりディジタル・イメージング市場には,ビデオも含まれるとAdobeは考えています。

PremiereもAfter Effectsもプロの世界で高い評価を受けているソフトです。Premiereは今度のバージョンアップでさらに良くなりました。またAdobeはすべての製品で,Photoshopのようにエンジンとインタフェースを分離できるアーキテクチャーを採用しています。ですから(コンシュマー向けの「Premiere」は)技術的に可能です。

私は未発表の製品について語れません。ですが,我々の持つ技術と(それをすべての市場に提供するという)戦略を考えていただければ「答えは自明」でしょう。

●PageMillの位置づけを教えてください

おっしゃるように以前のPageMillはポジションが不明確でした。そこで「PageMill 3.0」で思い切ってスモール・ビジネスやコンシュマー向けのソフトへ転換しました。具体的にはSiteMillのビルトイン,豊富なテンプレートの追加などを行いました。

●ということは,プロ向けのビジュアルHTMLエディターを別に考えているわけですか? それはPGMLの機能を持つのですか?

プロ向けHTMLエディターの新製品は考えています。まだ明らかにしていない製品なので,これ以上は言えませんけれども。

PGMLは現在,W3Cに規格の提案をした段階です。正式に採用されるまでにこれからいろいろな修正が必要です。まだしばらく時間がかかると考えています。

W3Cが採用を決めたら,AdobeはすぐにPGMLのオーサリング機能を持つ製品を出荷するでしょう。98年末か遅くとも99年の初頭にはお見せできると思います。ただ,それが単独の製品になるのか,既存の製品にアドオンする形になるかは,現時点では分かりません。

●Appleは復活したと思いますか?

復活しようとする意志は感じます。そのために必要なフォーカスはできていると思います。最近のG3マシンの好調な売り上げは良い兆候です。

Appleは我々が力を注いでいるプロ向け市場へ再びフォーカスしてくれました。ですから我々もAppleをサポートし続けようと考え直したわけです。

今後のAppleの課題は新規ユーザーをどのように引き込むかだと思います。それが機能するようになれば,本当に復活したと言えるでしょう。

(聞き手=山田 剛良・シリコンバレー支局)

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