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iMac発表会リポート
Jobs氏,「Appleは再び飛躍する」と宣言

[Thursday, May 7, 1998 シリコンバレー支局,山田 剛良=日経MAC]

(7k)新しいPowerBook G3発表会も半ばを過ぎ,製品説明があらかた終わっても,ステージ中央の置かれた製品はカバーをかぶったままだった。

あれは一体なんだ? 記者も聴衆もみんなが疑問に感じ始めたとき,Jobs氏が告げた。

「Appleはコンシューマー市場に再挑戦します」。

会場が歓声に包まれる。説明が続くが多くは気もそぞろだ。いよいよその時が来た。

「これがiMac(アイ・マック)です」。Jobs氏自らの手で覆いが取り去られる。照明が落ち,画面に文字が浮かび上がる。

「Hello (Again)」。それは1984年にマックが登場したときと同じメッセージだった。

製品系列を大幅に整理
4つのセグメントに最良の製品を

(9k)新しい一体型マック「iMac」の製品発表会は米California州Cupertino市,De Anza大学内のホール「Flint Center」で行われた。ここは初代Macintoshが初めて紹介された由緒ある場所。昨年11月にオンライン・ストア「Apple Store」をスタートさせた発表会も同じホールで行われた。9時30分過ぎの開門とほとんど同時に,会場は満員の聴衆で埋められた。

98年5月6日(米国西海岸時間)。予定の10時を少し過ぎて登場したJobs氏は珍しくスーツ姿。「新しいマネジメント・チームが就任して10カ月たちました。今日は我々の製品戦略のすべてを紹介しようと思います。その前に少しだけ,『Back to the track』という話をさせてください」と話し始めた。パソコン市場の競争に復帰するという意味も込めて,Appleの経営が正常に戻りつつあることを説明した。

Jobs氏は,社員の離職率が就任直後の33%からシリコン・バレーの平均を下回る15%に下がった,販売店チェーンCompUSAでのApple製品の販売が3%から15%まで上がった,市場シェアが3.4%から4%も上がった,2四半期連続で黒字を計上したといった数字をあげ,Appleが「正常な状態」に戻りつつあると説明した。

「ですが,問題は製品です」。Jobs氏はAppleに戻って3週間で,あまりに製品ラインが複雑すぎると気づいたと続けた。「僕の友人にどれを買ったらいいか,勧められない。我々ができないのに世界のどこに製品を選べる顧客がいるでしょうか?」。

そこでJobs氏は,製品ラインを整理すると決めた。「どれもよい製品でした。しかしAppleを再び前に進めるには力不足だった」。そのためには全面的な方針変更が必要だったという。

新しい製品計画は,プロとコンシューマー,デスクトップとポータブルという2つの軸で分けた4つのセグメントに,それぞれ最良の製品を投入するというもの。

プロ向けデスクトップはすでに発表済みの「Power Macintosh G3」シリーズ。プロ向けポータブルが今回発表した「PowerBook G3」だというわけだ。

Jobs氏は米Byte誌の「Byte Mark」によるベンチマーク結果を見せながら「PowerBook G3が地上最速のノート・パソコンです」と紹介した。続いて「Adobe Photoshop」と「Macromedia Director」を使い,Pentium II 226MHz搭載の「Compaq Armada 7800」を比較対象にデモを行った。結果は言うまでもなく圧勝。「みなさん,これはWintelの世界で一番早いノート・パソコンなんですよ」。

Jobs氏は「steamrollar」という新しいCM(Wintelノート・パソコンをロード・ローラーがどんどん踏みつぶしていく)を流して,PowerBook G3の紹介を締めくくった。

次のコンシューマー向けポータブルに関しては「eMateという優れた製品があった。99年の早い時期にMac OSが走る素晴らしい製品を提供する」と述べるにとどまった。

Appleはパソコン界で唯一の
コンシュマー・ブランドを持っている

最後に残ったセグメントがコンシューマー向けデスクトップだ。Jobs氏は「復帰宣言」に続きこう述べた。「Appleがコンシューマー市場に復帰するのは不思議じゃない。Appleがこの市場を最初に作ったのだし,多くのユーザーはAppleが帰ってくるのを待ち望んでいたはずだ。なぜならAppleだけが(コンシューマー市場に適合する)非常にユニークな特質を持っているからだ」。

ユニークな特質とはJobs氏によるとこうだ。Appleが20年の歴史を持ち,1億人以上のユーザーがマックを触った経験があるほどの著名なブランドであること。全体で2200万台のマックが設置されていること,このうち1000万のコンシューマー・ユーザーの多くは,自分のマックを超えるマシンが提供されないゆえに,アップグレードをしていないこと。加えてコンシューマー市場と直結する600万の教育市場ユーザーを抱えていること。コンシューマーに向けた効果的なマーケティング手法を知っていること。ファッションになり得る製品をつくり出せる工業デザイン・チームを抱えていること。いまだに「断然,設置が簡単な(Easy to Set-up)」パソコンであること。

Jobs氏は,Compaq Presarioをやり玉にあげた。いわく,とても遅い去年のプロセッサー,ひどく見にくいディスプレイ,古いI/O(入出力系),そして醜い外観。

「Appleならこんなモノを作らない。我々の回答,それがiMacです」。

400MHzPentium IIマシンに完勝
この製品で改めて飛躍の時を迎えると宣言

iMacをお披露目したJobs氏は改めてByte Markの結果を持ち出し「iMacはAMD K6/233MHzを搭載した『Compaq Presario 4540』より,ちょっとだけ速いのです。いや実は,今あなたが購入できるどんなWintelパソコンより速いんだ」と言って,再びDirector上でムービーを再生するデモを行った。

まず,Presario 4540には問題なく圧勝。次にPentium II/400MHz,100MHzのシステム・バスを持つ最新マシン「Presario 4880」を持ち出して,改めて完勝して見せた。聴衆は大喜びだ。

8月の出荷と1299ドルという価格の発表は最後に行われた。聴衆が製品を十分に気に入り,問題は価格と考えるのを見すかしたようにだ。続いて,会場に集合したPowerBook G3,iMacの開発チームを聴衆に紹介し,苦労をねぎらった。

Jobs氏は「来週のWWDCではとても興味深いソフトウエア戦略を発表する」と宣伝を忘れなかった。そして最後に「このような製品を発表できたことで,Appleがただ正常に戻っただけでなく,新たに飛躍する未来をつかんだと信じている」と結んだ。

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