Back to Home
T o p
ホット・ニュース
ホット・ニュース

ホット・ニュース
ホット・ニュース

バイヤーズ・ガイド
バイヤーズ・ガイド

日経MACレポート
日経MACレポート

記者の目
記者の目

日経MACから
日経MACから


Nikkei MAC CD目次
Nikkei MAC CD目次

NIKKEIMAC.COM
NIKKEIMAC.COM

日経BP社 BizTech
日経BP社 BizTech

開発者に安堵感広がる
予想以上によくできたMac OS X

[Friday, May 15, 1998 編集長,林 伸夫=日経MAC]

Mac OS X(テン)は4つもの異なるアプリケーション実行環境を持ち,それぞれの環境ごとに異なる画面描画機構を備える。話を聞いただけでは,まさに複雑きわまりないOSになるのではないかと誰もが心配した。

米Apple社の暫定CEO,Steve Jobs氏がMac OS Xを発表したとき,多くの開発者は,落胆を隠せなかった。中には席を蹴って退席したOpenStep開発者もいたほどだ。

しかも,Mac OS X上でのアプリケーションの動作の仕方には,大きな疑問符を誰もが感じたものだ。

なにしろ,これまでのマック向けアプリを持ってくればそのまま動き,同時に新しく追加されたCarbon向けアプリも,Yellow Box用向けに最適化して開発されたアプリケーションも同時にダブル・クリックすると立ち上がる,などという説明がされたら,「これは嘘をついている」と思わざるを得ないだろう。極端に言うと,昔の68Kマック用のアプリケーションもUNIXベースのアプリケーションも,一緒の環境の中でシームレスに統合されると説明しているのだから。

よく考えられたマックらしい統合環境

しかし,そんな心配は全く杞憂だと思わせるセッションがあった。「Blue Box: An Overview and Status」。

百聞は一見にしかずだ。まずは次の写真を見ていただこう。

(17k)

さて,このマックの画面何がどうすごいのか,分かったら偉い!

何の変哲もない,マックの画面だ。しかしここにはたくさんの秘密が隠されている。

まず,このデスクトップに見えるFinder。これはCarbonの上に新しく作り替えられたFinderだ。なーんだ,全然変わらないじゃないか,と思った方はMac OS Xを理解したことになる。

次に左上に見えるQuickTimeムービー。これはYellow Boxの上に新しく作られた「Movie Player」で動いている。フォルダの中にごく普通のアイコンとして置かれていたものをダブルクリックして立ち上げたものだ。

右の上に見えるのは,なんら手を加えていない,現在市販されている「Microsoft Office 98」だ。これはBlue Box環境で動いている。

さらに中央上に何やら見覚えのあるブルーの風船状の物体。何を隠そう,これは日本の読者にもおなじみのお楽しみ系のユーティリティー「Kingyo」。今まで通り,金魚鉢が画面上をスーっと移動し,何事もなかったかのようにYellow Boxの上で動いているQuickTimeムービー上でも動き回る。きちんとムービー画面を覆いながら移動する。異なる実行環境の上に作られたWindowが正しく物体に沿って切り抜かれながら動いているのを見るのは,感動的でさえある。

要するに99年,Mac OS Xが出荷された暁には,さまざまな環境向けに作られたアプリを無造作に内蔵ハード・ディスクに持ってくれば,どれもダブルクリックするだけで普通に立ち上がるというわけだ。ちょうど,今私たちがPowerPCマック用のアプリも68Kマック用のアプリも,全く意識せずに取り扱っているのと同じことだ。

プルダウン・メニューを開くと,Kingyoはストップしてしまうが,ムービーはそのまま動画と音を流し続ける。Kingyoはそもそも新しい環境には対応していない現行バージョン,すなわちプリエンプティブ・マルチタスクには対応していないが,新しいMovie Playerは対応を済ませてあるからだ。

次の瞬間「こんなこともできるんだぜ」とやって見せたのは強制的なシステムエラー。

Blue Box環境がシステム・エラーを起こし,デバッガー(プログラムのデバッグをするためのソフト)に落ちても,何事もなかったようにデバッガーの裏でまだQuickTimeムービーが動いている。これは面白い!!

今のマックの使い勝手と同じ感覚

全く今のマックと変わらない使い勝手を提供することで,既存のマック・ユーザーには全く違和感を感じさせない。

起動ディスクを切り替えるとBlue Boxのなかでリブートが起こり,システムが切り替わる。現在使っているハード・ディスクやJaz,MO,Zipなどのリムーバブル・ディスクも,SCSI マネジャー4.3対応になっていさえすれば,問題なく使える。

Blue Boxが必要なければファインダー・メニューからShut Downを選べばいい。

現在のMac OSと同等のスピードまたはそれ以上

肝心のパフォーマンスはどうだろう。新しいOSの上にもう一つMac OSを動かす仕組みを作るのだから遅くなるのではとの心配が生まれる。しかし,スピードはだいたい現行のMac OSと同等,ファイルの読み書き,ネットワークへの接続などはネイティブ(PowerPC用にコンパイルし直したもの)の入出力ソフトを使うから,はるかに速くなる場面が多くなるという。

■

日経BP社 Copyright 1993-1998 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.
This page was last updated on Sun, Jun 21, 1998 at 2:12:48 PM.
Site Developed by Rei Watanabe