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Apple,今後のOS戦略を発表
「Mac OS X」は99年第3四半期出荷

[Tuesday, May 12, 1998 シリコンバレー支局,山田 剛良=日経MAC]

米Apple Computer社は98年5月11日(米国西海岸時間)開幕したWWDC(World Wide Developers Conference=世界開発者会議)の基調講演で今後のOS戦略を発表した。

(11k)Mac OSは99年以降,現在のMac OS 8.xの延長線上の「Sonata(コードネーム)」と「Mac OS X 」(10)の2系列に分かれる。基調講演に立ったApple社暫定CEO(最高経営責任者)Steve Jobs氏,ソフトウエア担当上級副社長Avie Tevanian氏が表明したもの(写真)。

注目は,99年第3四半期出荷に出荷される「Mac OS X」(http://developer.apple.com/macosx/)。Mac OS XはRhapsodyをベースに開発され,

  • メモリー保護と高速な仮想記憶
  • プリエンプティブ・マルチタスク
  • マルチスレッド
  • ネットワークの高速化
  • ファイルI/Oの高速化
  • アプリケーション起動の高速化
  • 100%PowerPCネイティブ(PowerPC 750に最適化)

といったモダンOSの要素をすべて提供する。

Mac OS XのAPI(Application Programming Interface)は,現行Mac OS APIのサブセットなので,アプリケーション移行が非常に簡単。しかもMac OS 8対応のアプリはMac OS X上で動作可能だといいことずくめだ。

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今後のApple OS出荷スケジュール。
既存のMac OS 8.xと次世代Mac OS Xは当面並行開発される

Mac OS APIをRhapsodyに移植
既存のアプリも小改良で動作可能

Mac OS XのAPIセットはMac OS 8.xのAPIのサブセットになる。これをAppleは「Carbon API」(カーボン,炭素の意味)と呼ぶ。全部で約8000あるMac OS APIのうち,モダンOS環境への移植が難しい2000を除いた約6000がCarbon APIである。Carbon APIを使ったアプリケーションは,Mac OS X上でメモリー保護,プリエンプティブ・マルチタスクといったモダンOSのサービスを受ける。

Mac OS XのコアはRhapsodyの技術を転用する。つまり,非常におおざっぱに言えば,Mac OS XはCarbon APIをRhapsodyカーネル上に移植したもの,ということになる。

もちろん既存のアプリの多くは,捨てられる2000のAPIを使っている。Mac OS X対応にはアプリの書き換えが必要になる。だが,Jobs氏によると「移行は非常に簡単」だという。Appleの調査によると,非常によく使われる上位1000のMac OS APIのほとんどはCarbon APIに含まれている。平均すると,全体の10%程度のAPIを書き換えるだけでMac OS X対応になるという。「ディベロッパーは,5日で移植を完了し,1〜2カ月で製品を出荷できるだろう」(Jobs氏)。また,Carbon APIで書かれたソフトは「Mac OS 8で完全に動作する」(Tevanian氏)。ディベロッパーは明日からでもCarbon APIへの移行作業に取り掛かれるわけだ。

(8k) 基調講演ではRhapsody DR2上にCarbon APIを移植したMac OS Xのプロトタイプを使ってデモも行われた。SimpleText,MoviePlayer,Claris Worksといったソフトを使い,アプリケーションをわざとクラッシュされるデモも行われた。このほか,後半は米Adobe System社のGraphic Products担当副社長,Greg Gilley氏が登場してPhotoshopを動かして見せた(写真)。Gilley氏によると,移植は2週間で行われたという。

コーシングラフィックシステムズの小池邦人氏は「Rhapsody対応に比べて移行が非常に楽になった。大歓迎です。おそらく弊社のソフトは何も手を加えなくてもMac OS X対応になるはず」とコメントする。

AppleはCarbon APIのドラフトを会場で配布。近日中にWeb(http://developer.apple.com/macosx/)でも配布する。デベロッパーがアプリケーションにどれくらい「非Carbon API」が含まれているか解析するツールも配布する。

疑問はいくつか残る。まずRhapsody(YellowBox API)はどうなるのか? 基調講演では「Rhapsody 1.0」は98年第3四半期に登場し,その機能はMac OS Xに統合されると説明された。しかし,Macintosh以外にのプラットフォーム向けのRhapsodyや「YellowBox for Windows NT」といった製品については一切説明がなかった。また,Mac OS XにYellowBox APIが実装されるかどうかも未確認だ。

もう1つは「既存のMac OS 8アプリはMac OS Xで動作可能」という部分。これは具体的には「BlueBox」の存在を示唆する。ただ,どのような形でMac OS 8アプリが実行されるかは分からない。これらの疑問のいくつかは今回のWWDCで明らかになるはずだ。

今回のAppleの決定はおそらく正しい方向である。デベロッパーにとっても,ユーザーにとってももちろんAppleにとってもハッピーな内容だ。ただ,今回の内容はかつて「Copland」と呼ばれたプロジェクトにそっくりだ。Jobs氏は「我々の開発チームはこれまで約束通り仕事を仕上げてきた。今回もそうだ」と言う。そのとおりにことが運ぶと信じたい。

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This page was last updated on Sun, Jun 21, 1998 at 2:13:52 PM.
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