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「Windowsのディベロッパーにも
QuickTimeをアピールしていく」

[Wednesday, July 1, 1998 シリコンバレー支局,山田 剛良=日経MAC]

mitchell.jpg (4637bytes) Mitchell Weinstock氏,
米Apple Computer社
Senior QuickTime Product Manager

●最近,QucikTime 3(QT3)のディベロッパー向けライセンスの条件を変えましたね。その理由を教えてください

今回の変更で一番大きな部分は,QT3のライセンスを得れば,旧バージョンのQT2.1.2の配布も可能になったという点です。これは(Windows 3.1向けの)製品を出荷し続けるベンダーの要求に答えた結果です。もう1つの大きな変更点は無料のQTをインストールした際に表示されるAppleの宣伝ムービーを,表示させないオプション契約をライセンスに盛り込んだ点です。

我々はQT3の出荷前にもディベロッパーにヒアリングを行いました。ただ,我々の予想よりWindowsユーザーの3.1から95/NTへの移行が遅れていた。だからライセンス条件を変更したのです。今後もディベロッパーからの意見には真剣に耳を傾け続けます。

とはいえ,今回の変更で問題の90%は解決したと思います。実際,ライセンス条件を変更して以来,一日に平均20件のライセンスを発行しています。ほとんどはフリー版のライセンスですけどね。これはディベロッパーが我々の変更を受け入れてくれたサインだ,と解釈しています。残りの10%はそれぞれ個別に対処すべき性格の問題だと考えています。

●QT3にはフリー版とPro版があります。Appleとしてはどちらのバージョンをディベロッパーにバンドルしてほしいですか?

Pro版かフリー版の宣伝ムービーを抜いたバージョン(注:1コピーあたり1ドルのライセンス料)ですね。Appleにライセンス料が入りますから(笑)。

ディベロッパーは製品1コピーあたり2ドル払うことで,Pro版をバンドルできます。ユーザーがPro版を購入するためには1コピーあたり29.99ドルが必要です。もしマック版とWindows版が1パッケージの製品にQT3 Proが含まれていれば,ディベロッパーは製品に約60ドル分のオマケが付いているとユーザーに宣伝できるわけです。

とはいえ,単に再生機能だけが必要なアプリケーションにPro版を付けるのはナンセンスだと思います。ユーザーは1ドルだってムダには払いたくないでしょう?

●今のところ,QT3をサポートしているディベロッパーはマック育ちのところがほとんどです。Windows専業のディベロッパーについてどう考えていますか

非常に興味があります。我々はQT3だけのソフトウエア開発キット(SDK)を現在製作中です。というのは,現状でQT3SDKを手に入れるには,Appleのディベロッパー・プログラムに入会する必要がある。これはWindows専業ディベロッパーにとって,多くの情報が必要ない上に高価すぎる。QT3だけのSDKがあれば,この問題は解決するからです。2カ月以内にリリースします。

さらに我々はWindowsユーザー・グループなどをこまめに回って,AppleがPCユーザーに対して何ができるか説明しています。

QT3をリリースしたのはまだたった3カ月前です。この段階で受け入れてくれるのはやはりマックに親近感のあるユーザーやディベロッパーです。Windowsユーザーに知ってもらうにはまだまだこれからだと思ってください。

ことし後半からはWindowsのディベロッパーが集まる会議——例えばWinHECやPDC,Intelの主催するディジタル・ビデオの会議など,にも積極的に顔を出して,我々が何をお手伝いできるか開発者と話し合いたいと考えています。最初はコンテンツ・レベルの開発者に対するアピールが多いでしょうが,最終的にはボードやチップの開発者にまでアクセスしたい。

とはいえ,この2週間でだいぶ動きは出てきたんですよ。例えば,米Truevision社(http://www.truevision.com/)はWindows向けキャプチャー・ボードでもQuickTimeを使い始めたし,アイルランドSkylark Associates社(http://www.skylark.ie/)はQuickTime 3をコントロールできるActive X control「Skylight Active X control」を発表しました。あと2カ月たったらもっともっとアナウンスがあるはずですよ。

●Windows環境にはDirect ShowのようなMicrosoft社純正の対抗技術がありますが

QTに完全に対抗できる技術はないと思います。MicrosoftのDirect ShowやNet Show,RealNetworks社の技術,これらは個別にQTと対抗します。が,QTのように広い範囲を包括的に含んでいる技術はない。この包括性がQTの強みだと考えています。

●マック環境でもQT3固有の機能をサポートしているベンダーはまだ少ないですね

そんなことはないですよ。だって正式版が出てからまだ3カ月しかたってないんです。その割にはずいぶんと登場していると思います。

米Lari Software社(http://www.larisoftware.com/)の「Electrifier Pro」,米MacSourcery社(http://www.macsourcery.com/)の「BarbaBatch」,米Terran Interactive社(http://www.terran.com/)の「MediaCleanerPro」など,言い出したらキリがないほどです。

ことしのクリスマスまで待ってみてください。その時には数え切れないほどのソフトが出荷されていると思います。DVDムービーだって最初はたった12タイトルで始まったんですから(笑)。

●QT3のエフェクト・プラグイン・アーキテクチャーは優れていると思います。ですが現状の業界標準はAdobe Systems社の「AfterEffects Plug-in」や「Photoshop Plug-in」です。この状況はどう改善していきますか

QT3のプラグイン・アーキテクチャーには技術的な優位性があります。まず完全なクロスプラット・フォームであること,ハードウエア・アクセラレーションの利用に個別の対応が必要ないこと,異なる種類のアプリケーションでも1つのプラグインで対応できることなど。要するに開発者はQT3プラグインだけ作ればすべてに対応できる。これはメリットだと思います。

Adobe社のプラグインは確かに業界標準ですが,QT3プラグインのような技術的なメリットは少ない。この件に関してはAdobeとも話をしています。我々はAdobeが将来,QT3プラグインをサポートしてくれると信じてますよ。

●最後にMacromedia社から買収した技術についてお伺いしたいのですが...

申し訳ないがその件に関しては何もコメントできる段階にないんです。もう少し時間がたったら話せると思うので,その時にまたお会いしましょう。

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