展示会前日のSIGGRAPH Electronic Theaterは大盛況
[Thursday, July 23, 1998 シリコンバレー支局,改井 満=日経MAC]
展示会開幕を翌日に控えた98年7月20日夜7時,SIGRAPHの目玉イベントの1つ,「Electronic Theater」が2時間に渡って開催された(23日まで連夜開催)。恒例の最新のCG映像の上映会で,作品は粒揃い。
演出も凝っている。まず入場者に柄杓(ひしゃく)大の“手旗”が渡される。表裏で色が異なる手旗を使って,客席左右に分かれて対戦型ブロック崩しを行ったり,協調して迷路やフライト・シミュレーターを操作させるゲームで場を盛り上げた。
●来場者に手渡された電子手旗。表が赤,裏に緑の反射テープが貼り付けてあり,正面スクリーン脇の不可視光線に反応して,客席のだれがどちらの色を掲げているかをリアルタイムで表示,集計が可能。作品評価に使わないのが粋
シアターは映画「Titanic」の出航シーンで幕が開いた。なにもない海に岸壁や船体,ふ頭の建物,船上や見送り客などが次々とレンダリングされ,最後にはもやに包まれてすべてが動き出す。米Digital Domain社の看板映像である。続いて数十秒の短編アニメから,テレビCM,ミュージック・ビデオ・クリップ,モーション・キャプチャー,テーマパークの体感アトラクション映像,映画の特殊合成などが44本,立て続けに上映されが,まったく飽きない。内容も数学モデルのコンピューター映像,実写の雰囲気を極限まで追及した映像,キャラクターの表情や動きを追及したものとさまざま。
中でも大きな喝采を浴びたのがカナダAlias | Wavefront社の「Bingo」と,特別出展の形をとった米Pixer Annimation studiosの「Geri's Game」。前者はAlias社の主力3D CGソフト「Maya」で作られたアニメ作品。当日20日の午後,ユーザー会が6時間に渡って開催され,その中で制作過程が細かく紹介されただけに,プロのクリエーターからの注目度も高かった。内容もピエロにいきなり「お前はBingoだろう」と問い詰めれて困惑する主人公(?)を全編3D CGで描いたもの。幕引き後もあちこちで「You are Bigngo?」との声が聞かれた。
後者は秋の木漏れ日の中,Geri老人が1人チェスを楽しむ様をコミカルに描いた数分のアニメ作品。フォトリアリステックな背景やチェス盤の中にに,いかにも3D CGアニメ然とした表情豊かなキャラクターがうまくマッチしていた。
●特別出品のPixer Annimation Studios「Geri's Game」。翌日から始まった展示会ではそのビデオが配布された
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