Expo/NYC'98基調講演フォト・レポート Jobs氏自らがiMacをプロモート
[Thursday, July 9, 1998 New York特派,改井 満=日経MAC]
98年7月8日,米New York市のJacob K. Javits Centerで「MACWORLD Expo/New York '98」が開幕した。午前9時(日本時間8日午後10時)からの基調講演は,衛星中継でしか参加できないとしていたStebe Jobs氏(米Apple Computer社暫定CEO:最高経営責任者)が会場に急きょ駆けつけた。予定の1時間を大幅にオーバー,正午近くまで,聴衆を釘付けにした。基調講演のハイライトを写真でお届けする。
Jobs氏,生で登場,基調講演者に
当初予定された衛星中継ではなく,会場に駆けつけ基調講演を行ったSteve Jobs氏。せっかくの重要イベントにJobs氏が登場しないのは,Jobs家でおめでたが近いためとうわさされていた。しかし,聴衆の予想に反して本人が現れると,会場から万雷の拍手が巻き起こり,しばらくなりやまなかった。壇上にはiMacが置かれ,両者が主役を演じた。
Appleの今を5つのキーワードで解説
Jobs氏は氏はApple Computer社のボード・メンバーに就任してから,現在までを振り返り,そして近い将来までAppleの経営,製品,技術を紹介した。
ステップ・バイ・ステップでAppleのキーワードをスクリーンに映し出す。まず最初にやるべきことは「1 Survival」(生き残ること)と切り出して,会場は爆笑。続けて「2 Stable Business」(安定経営)と近く発表する98会計年度第3四半期(98年4〜6月)も黒字となったことを明らかにした。そして,「3 Product Strategy」(製品戦略)として,「iMac」,次期OS「Mac OS 8.5」,次世代の「Mac OS X(テン)」を紹介した後,「4 Applications」(ベンダーがマック市場に帰ってきた),「5 Growth」(これからは成長の時代)と締めくくった。
基調講演のもう1つの主役がiMac
上のスライドの「製品戦略」のパートでは,プロ向けデスクトップ「Power Mac G3」,プロ向けノート「PowerBook G3 Series」,コンシューマー向けデスクトップ「iMac」,99年初めに登場するコンシューマー向けポータブルの4製品で勝負すると改めて語った。
講演の中心は何と言っても「iMac」だ。
「iMac」は8月15日出荷。新たに56kbpsモデムを装備することがアナウンスされた。値段は変わらず1299ドル。このiMacはベンダーからも注目されており,「発表後63日で新たに177のマック用ソフトがアナウンスされた」とJobs氏が力説したのが印象的。スライドのキーワード「Application」はこのことを差す。
IBM PC AT互換機用米Intel社製「Cerelon 266」チップ搭載機とiMacの写真を並べて,「PowerPC 750対セロリ」と題して,笑いを誘った。
このほか,ネットワーク・ボリュームへ100MBのファイルをコピーするデモも公開。Jobs氏とSchiller氏が「よーい,ドン」でデモ。最初はトラブルでiMacが負けてしまったが,2回目はあっと言う間にiMacがコピー終了。面目を保つ一幕も。
基調講演でのこのほかのトピック
●USB(Universal Serial Bus)周辺機器
「iMac」のUSB(Universal Serial Bus)周辺機器がぞくぞくアナウンスされた。発表ずみの米iMation社のスーパー・フロッピー・ディスクばかりでなく,キヤノンと米Hewlett Packard社からカラー・インクジェット・プリンターが登場することが明らかにされた。Connectix社はUSB版の「QCam」を出荷する。
すでに会場に展示されていた米Hewlett Packard社のカラー・インクジェット・プリンター(奥)。手前はImation社のスーパー・フロッピー・ディスク装置。
Microsoft社のUSBジョイ・スティックもiMacに接続できるようになる。
●「PowerBook G3 Series」用の内蔵DVDユニット
基調講演で,実際にデモが行われたのがムービー再生が可能なPowerBook G3 Series用の内蔵DVDドライブ。既存のCD-ROMドライブの代わりに装着する。おもしろいのはDVDビデオ再生用のハードウエア・デコーダーをPCカードの形で装着する。これとドライブを連携させ,映画などのDVDムービーを再生可能にする。Card Bus,Zoomed Video対応の利点を上手に生かした。
写真は再生中のDVDビデオ。中央部はコントロール・パネル。
●Mac OS
基調講演では近く登場するMac OS 8.5のデモが行われた。新しいテキスト処理機能を使って,ファイルの中の文字列を検索したり,長文をサマライズするデモ(写真)が公開された。会場ではMac OS X(テン)のデモも。
●RhapsodyはMac OS X Serverに名称変更?
基調講演でJobs氏が表示したOSのマイルストーンでは,これまでRhapasody 1.0があった場所に「Mac OS X Server」の文字。Mac OS X時代のサーバー・ソフトとしての位置づけが明確になった。
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