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アップル,iMacの販売店を絞り込み
販売提携の第1弾は楽器販売,島村楽器

[Tuesday, August 4, 1998 松野 浩之=日経MAC]

アップルコンピュータ(http://www.apple.co.jp/)は98年7月23日,「iMac」の販売で,楽器販売の島村楽器(http://www.shimamura.co.jp/)と提携すると発表した。島村楽器は全国に展開する国内最大手の楽器販売店。店舗のほとんどを家族向けのショッピング・モール内に構える。iMacの発売と同時に,全国54カ所の直営店を通じてiMacの販売を展開するという。

アップルは「iMacを投入するに当たって,従来の常識に捕らわれない新しいビジネス・モデルを構築したい。島村楽器とは両社の販売戦略や企業理念が合致,パソコンと音楽分野でコンシューマー市場を新規に開拓し,拡大していく狙いが一致した」とする。

一方,島村楽器の島村元紹社長は「パソコン販売に参入して既存の販売店と戦うのではなく,ほかにはない価値をiMacに持たせる。具体的にはiMacを音楽環境の中心に据えたソリューション。楽器店ならではの付加価値つけてiMacを販売したい」と意気込む(写真はアップルの原田永幸社長=右と島村楽器の島村元紹社長)。

島村楽器以外との提携も検討
狙いは新たなコンシューマー層の開拓

米Apple Computer社(http://www.apple.com/)がiMacを発表したのは98年5月6日だが,それから2カ月もたたない6月末にはアップルコンピュータ原田永幸社長と島村楽器島村社長のトップ会談が実現し,その場で提携が決定したという。

アップルにとっては,従来のマック・ユーザーがあまり訪れない家族向けの店舗でiMacを販売できる。このことは,新たなコンシューマー層を開拓するうえで大きな意味がある。さらに最近Windowsに浸食されつつある音楽分野で,マックのシェアを回復させることも期待できる。パソコン販売店や家電販売店を販路の中心にしていた以前の「Perfoma」シリーズとは違ったコンシューマー市場を開拓しようとしている。

またアップルは,島村楽器との提携はあくまでもiMacの販売に関する提携の第1弾に過ぎず,今後もアップルの戦略,理念を十分に理解してもらえるパートナーとは積極的に提携するという。

発売日は8月20日から31日の間
供給不足を噂されるiMac

さて,気になるのはiMacの出荷時期と価格だ。米国では8月15日出荷で,価格も1299ドルと決定しているが,日本国内については発表していない(8月3日現在)が,原田社長は「8月中に10万円台で出荷」と公言している。

出荷時期のポイントとなるのは,アップルが,いつまでに十分な台数の日本向けiMacを確保できるかだ。ある流通関係者によると「iMacの初期ロット数は20万台,7月末現在で米国での受注は7万台だ」という。

残りの13万台が米国,欧州,日本に配分される計算だ。欧州での出荷は9月1日と公表されている。となると8月15日の米国での出荷時にどの程度iMacが売れたかを見極めたうえで,残りの台数から日本に入荷できるiMacの台数と出荷日を決めることになる。

ある関係者は,日本向け初期出荷代数の見極めは8月20日までに行われ,発売日はそれ以降になると予想。ただ,十分な台数が確保できなくても8月中には出荷するだろう。「アップルは需要を満たす十分な台数のiMacを確保できない。だから販売店を絞り込むのではないか」と分析する流通関係者までいる。

価格は,1ドル145円換算で計算すると19万円弱。通常,日本国内での価格は,米国での価格を円に換算してから数万円程度が加わる。よって,iMacを20万円以下で販売するのは現在のレートでは難しいのではないか。

島村以外は未定のiMacの出荷先
安売り避けるために販売店を選別

東京・秋葉原の主要マック販売店の多くは,既にiMacの購入予約を受けている。半面,「7月が終わろうとしているにもかかわらず,8月中に発売する予定のiMacに関する情報が一切入ってこない」(某販売店)と不安をあらわにしている。7月31日現在,パソコン販売店にも入荷台数はもとより,出荷時期も価格も明らかにされていない。

かといって,手をこまねいているわけでもない。各店とも,ディストリビューターに働き掛けて必要な数のiMacを入荷できるように水面下で動いている。

マックの大手ディストリビューターであるキヤノン販売も,情報不足という点では例外ではない。7月30日の段階では出荷時期も入荷台数も決まっていない。さらに「我々は,iMacの販売店としての許可をアップルからもらっていないので,iMacを扱うとも扱わないとも,現時点(7月30日)では言えない」(キヤノン販売)。したがって,販売店からのiMac注文を公式には受け取れないでいる。また別のあるディストリビューターはアップルから「iMacはすべての販売店から注文を受けていいわけではない」と釘を刺されたという。

アップル原田社長は「iMacという製品の特徴を理解している販売店で,iMacを売る」と宣言している。かつてコンシューマー機の「Performa」シリーズが安価で投げ売られた苦い経験を踏まえた上で,ディスカウント販売を避けたい,というのが本音だろう。

だが,ディストリビューターにとって,取引関係がある各販売店を選別して,iMacを卸すことは事実上不可能である。従来のディストリビューター経由でiMacを販売する限り,原田社長の考えを実現することは難しい。

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