ドラッグ・アンド・ドロップで圧縮と暗号化 Aladdin Systemsの「Private File」
[Saturday, October 18, 1997 平沢 真一=日経MAC]
「DropStuff」や「StuffIt Expander」などの圧縮解凍ソフトで知られる米Aladdin Systems社は,ファイルの圧縮に加えて暗号化もできるソフト「Private File 2.0J」の英語版を米国で発売した。97年10月中旬の発売を目指して日本語版の開発を急いでいる。価格は1万2800円。Windows版とマック版の両方を1枚のCD-ROMに同梱する。1つのパッケージにID番号の異なる2枚のユーザー登録カードを入れ,2ライセンス分の登録を可能にする。
同ソフトは,インターネット上ですでにマック用ファイル圧縮のデファクト・スタンダードになりつつある「StuffIt」シリーズの圧縮エンジンに暗号化の機能を加えたものだ。使い方はDropStuffと同じ。同ソフトをインストールすると,デスクトップ上に暗号化用と復元用の2つのアイコンが出現する。暗号化用のアイコンに目的のファイルをドラッグ・アンド・ドロップすると,暗号を解くためのキーワードを聞いてくる。キーワードは6文字から255文字までの英文字を使う。キーワードを入力すると,それをきっかけにファイルの圧縮が始まり,続いて暗号化が行われる。暗号化済みのファイルは,インターネットを通じて送信相手に送っても安全だ。インターネットを介してファイルを受け取った人は,それを復元用のアイコンにドラッグする。キーワードを正しく入力しないと,ファイルを復元することができない。
同ソフトは1つのキーワードを使ってファイルの暗号化と復元を行う。このため,ファイルを送る際,暗号を解くキーワードを電話やファクスなどで相手に伝えなければならない。これに対し,キーワードを相手に伝える必要のない方法もある。WWWのショッピング・サイトなどでよく使われている「公開カギ方式」と呼ばれる方法だ。例えば米RSA社のSSL(Security Socket Layer)と呼ばれる技術などだ。しかし,「インターネットの世界では,だれにでも簡単に使えるものだけがスタンダードになれる。公開カギ方式は複雑過ぎるので採用しなかった」(Aladdin Systems社プロダクト・マネジャーのPeter Thomas氏)。
同社では,インターネットで絶大な普及率を誇る無償配布の解凍ソフト「StuffIt Expander」の次のバージョンから,Private Fileで暗号化したファイルを復元する機能を組み込む考えだ。インターネット上での暗号ファイルのスタンダード化を狙う。
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