不忍池のタワー



 いつのころからか、工事がはじまり、長らく緑色のネットをかぶっていた。初めて見たときは、平壌にある柳京ホテルの偉容が連想されたので、我が家では“上野柳京ホテル”と呼ばれている。

 いまでも上野動物園や不忍池周辺から、池之端方面を見て、これが目に入るとちょとおどろいてしまい、慣れることができない。高さも図抜けているが、その異様なデザインが周囲の情景を圧している。

 設計者の菊竹清訓の作品には、江戸東京博物館もあり、柱に支えられた空中都市型のモチーフに固執しているのがうかがえる。

 元は法華クラブといって、むかしTOKON 6というSF大会の宿舎になったので、泊まったことがある、普通のホテルで特に印象に残っていない。名前が変わった今でも、そばによってみるとごく普通に結婚式場や宴会場としての案内ポスターなどが張ってあるが、自分の中のイメージがこわれるのが惜しくて中に入らなかった。('95/10/08)


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