vine 入門書
Rev 0.4
25-May-1999
Nobuhide Tsuda≪ソフトウェア作家、某組織 客員××× (1999年末までの任期)≫
▽ 本書の内容
このドキュメントはvineを初めて使用する方のための入門書です。あまり細部にはこだわらずvineの全体像を理解し、基本的な使用方法をマスターしてもらうことを目的としています。
vineの機能詳細を知りたい場合は『vineリファレンスマニュアル』(vineRef.vin)を、目的別使用方法の具体例を知りたい場合は『vineチュートリアル』(vineTutor.vin)を参照してください。
本書の構成は以下の通りです。
## lineSpace
1. はじめに
vineの概要、開発の経緯などについて述べます。
ワープロなど他の文書作成ソフトとの比較なども行います。
2. 簡単な使用方法
セットアップ方法と、vineの使用方法を具体的に示します。vine文書の閲覧、印字スタイルの変更、ユーザが自分でソース文書を作成する例を示します。vineで作成した文書ファイルを第三者に配布する方法についても述べます。
3. おわりに
ファーストリリースでの制限事項と今後の予定です。あくまでも予定ですので、事前の通告なく変更される場合があるので盲信しないでください。
▽ このドキュメントでの表記
・ メニュー
「ドキュメント」−「新規作成」の様にメニューアイテムはカッコで囲み、サブメニューはハイフンで連結して記述します。
・ キー
“Ctrl +”で Ctrl キーを押しながら別のキーを押すことを表します。たとえば“Ctrl + A”は Ctrl キーを押しながら“A”のキーを押すことを表します(“A”は大文字で表記してあるが、Shift キーを押す必要はない)。同様に“Shift +”、“Alt +”でShiftキー、Altキーを押しながら別のキーを押すことを表します。“Shift”と“Ctrl”を押しながら“A”を押す場合は“Shift + Ctrl + A”と表記します。
・ アクセスキー
メニュー操作はキーで行うこともできます。そのためのキーをアクセスキーと呼びます。アクセスキーは「Alt + F, O」の様にサブメニュー以下をカンマで区切って表記します。カンマそのものを入力するのでは無いので注意してください。
下表に特殊キーの表記も含めてまとめておきます。
## table caption="■ キーの表記"
# 25%
表記, 説明
Shift +, シフトキーを押しながら別のキーを押す
Ctrl +, コントロールキーを押しながら別のキーを押す
Alt +, アルトキーを押しながら別のキーを押す
Alt + X\, Y, Alt + X の後、Yを押す
F1 〜 F12, ファンクションキー
↑ ↓ ← →, カーソル移動キー
Space,
Backspace,
Enter,
Home,
End,
PageUp,
PageDown,
## endtable
・ その他
【お試し】 はユーザ(あなた)が実際に操作することをお勧めする個所です。文章を読んで理解した気になっても、実際に操作してみると理解不足であることはよくある話です。ちゃんと試して確認してください。
【高度】 は少し高度な内容で、いろいろな知識を前提とする事項を表します。内容を理解するにこしたことはありませんが、よく解らなくてもあまりこだわらず、先に進んでください(世の中あきらめが肝心なこともあります :-p)。
## newPage
■ はじめに
○ vineで出来ること
vineは長文のレイアウト&印刷ソフトです。この入門書のような体裁の文章を簡単に、効率的に作成することができます。
vineでは文章の原稿をテキストエディタを使って作成します。図1.1はこの入門書のソース文書(もと原稿)ですが、これをvineは本稿のようにレイアウトしてくれます(最初のページと見比べてください)。ほとんど普通に文章を書くと、それをタイトル、著者名は全段で、本文は2段組、欄外脚注ありの様に奇麗に読みやすくレイアウトしてくれるのが解ると思います。
## column drawFrame caption="■ 図1.1 本入門書のソース文書" bottomMargin=100
vine 入門書
Rev 0.2
3-May-1999
Nobuhide Tsuda≪ソフトウェア作家、某組織 客員××× (1999年末までの任期)≫
▽ 本書の内容
このドキュメントはvineを初めて使用する方のための入門書です。あまり細部にはこだわらず……
▽ このドキュメントでの表記
………
## newPage
■ はじめに
○ vineで出来ること
vineは長文のレイアウト&印刷ソフトです。この入門書のような体裁の文章を簡単に、効率的に作成することができます。
## endcolumn
図1.2はvineでレイアウトした文章の例です。この例のようにvineは文章を多く含んだ論文風の長文のレイアウトが得意です。
【全段見出し】
本文は2段組ですが、タイトル、著者名、アブストラクトの部分は全段にレイアウトできます。学術論文の標準的なスタイルが可能です。
【多段組】
2〜16段組が指定可能です。
【段末脚注】
語句の説明を段末にレイアウトすることができます。原稿では図1.1の様に“≪”,“≫”で脚注文字列を指定します。
【奇麗なレイアウト】
和文、欧文フォントをそれぞれ指定可能で、和欧間空白、役物2分など日本語組み版独特の機能をサポートしていますので奇麗なレイアウト結果を得ることができます。
【見出し背景図形】
見出しの背景に図形を指定できます。図形は定義済みのものから選択することも、ユーザ独自に作成することもできます。
【見出し自動連番】
章、節番号は自動生成可能です。順番を入れ替えてもユーザが番号を振り直す必要はありません。
【画像】
本書の様に画像ファイル(BMPファイル、PNGファイル、JPEGファイル)を埋め込むことができます。
【表組み】
CSV(カンマで区切ってデータを並べる)形式でソースを記述することで、表組みを行うことができます(前ページのキーの表記を参照)。複雑なデータも表にするとわかりやすくなります。
【コラム】
補足的な文書をコラムとして記述できます。罫線で囲むことも出来るので、図1.1の様な使い方も可能です。
【GUIでのスタイル設定】
GUIは“Graphical User Interface”のことです。用紙設定や見出しのフォントなどの設定をダイアログで行うことができるので、設定が簡単に変更できます。
## img="vivine.png" note="■ 図1.2 vineでのレイアウト例。" pos=bottom
## newPage
○ 開発の経緯
▽ そもそも
研究者やエンジニアなどの知的生産者は論文、報告書、仕様書などの文書を日常的に作成しなくてはいけません。これらの文書は数ページ以上の長文になることが多く、その作成にいつも頭を抱えている人は少なくないと思います。かく言うわたしもそのひとりで、ViViのマニュアルや内部仕様書、論文、原稿、研究報告、活動報告、配布資料、テニスクラブの会員名簿、テニスクラブの会計報告書と作成しなくてはいけない文書はたくさんあるのですが、筆が遅く文書がなかなか完成しないのが現実です。
1998年の夏に情報処理学会の予稿を書かなくてはいけなかったのですが、これがなかなか進まず困っていました。最初パソコンのワープロソフトで原稿を書き始めたのですが、まるでボクシングのグローブをはめてキーボードを打っているような感じ(または象を背負って障害物競走をしているような感じ)で、「なんて反応が遅いんだ〜」とか「でもクラッシュ≪プログラムがお亡くなりになること≫するのは速いのね」などと、いかり爆発状態になってしまいました。テキストエディタ≪(装飾などのない)文章そのものを作成するためのプログラム≫(以下、エディタと略す)で原稿を作成することも検討したのですが、学会に送った印刷物がそのまま写真製版されて予稿になるため予稿が奇麗にレイアウト&印刷されているかどうかは大変重要≪本文は2段組、タイトル、著者名などは全段、といったレイアウトはエディタでは出来ない≫なので、エディタで印刷するという案はボツにしました。そこで予稿原稿作成から現実逃避して、レイアウト&印刷ソフトの作成を始めてしまいました。予稿原稿作成から目を背け、予稿原稿を美しく印刷するために現実逃避パワーででっちあげたプログラム、それが「vine」なのです≪ちなみにvineのプロジェクト名は「現実逃避プロジェクト」です。≫。
## 追いつめられた時に別のことに行うと極端に作業効率が上がることがあります。わたしはこれを「現実逃避パワー現象」と呼んでいますが、
## img="vine.png" pos=bottom width=100% note="■ 図1.3 vine でレイアウトした原稿。中身がうすうすでも見栄えで勝負!"
▽ ワープロは長文作成に適さない
一般ユーザに最も良く使われ、親しまれているソフトはワープロソフトです。日本におけるパソコン利用目的は文書作成がもっとも多いと言われていますし、パッケージソフト売り上げはワープロがもっとも大きい比率を占めています≪http://www.infos.or.jp/jpsa/oshirase/ 参照≫。しかし、一般に使用されているワープロソフトが使いやすく文書作成効率の良いものであるかというと、必ずしもそうではありません。特に論文、レポート、報告書、小説などの長文を作成するには様々な問題点があると考えています。これはワープロを開発しているメーカの技術料、企画力、市場分析力が不十分だからというわけではなく、もともとワープロが長文作成を主目的に設計されていないからなのです。
あるワープロのユーザアンケートによれば2ページ以上の文書を日常的に作成するユーザは1割以下だそうです。したがって長文作成ユーザよりも1ページの文書(これを端物と呼ぶ場合がある)を見栄え良く作成することを最優先にソフトを設計することはマーケティング的な観点からは仕方の無いことだと思います≪「MSは自分のいちばん無知な顧客の意見を必ずきく」という見解もあります。http://www.opensource.org/halloween1.html 参照≫。また、一般ユーザは学習を嫌う傾向があるので、習熟した場合の生産性向上よりも初期学習の容易さが重要視される傾向があります。つまり、ワープロは初心者的なユーザをメインターゲットとし、長い文書を効率よく作成するツールとしては設計されておらず、本格的な文書作成には適さない≪この主張はDOSの時代から多くの人に言われつづけてきました。多すぎて参照先を示せないくらいです≫のです。
## たとえば文書内の移動といった日常的に良く使う操作も、初心者ユーザがすぐに実行できることを優先するため、キーストロークの多い操作になっているワープロがあります。一方UNIX標準エディタである vi の様に専門家が使用するものは、単手数のキー操作で文書内移動を行え、かつその方法がいくつか存在していて場合場合で使い分けることが出来るので、初期学習コストはワープロよりも大きいのですが、習熟してしまうと生産性が飛躍的に向上します≪viのエキスパートは編集中ドキュメントのどんな場所にでも3ストロークで移動できると言われています。≫。
▽ エディタで原稿作成、ワープロやTeXで印刷
長文を日常的に作成していてワープロに満足できない中上級ユーザは、以前からエディタを文章作成ツールとして用いてきました。エディタはワープロのように装飾機能やレイアウト機能は持っていませんが、文章作成そのものに特化した機能を持っていて動作も素早く、ワープロよりもずっと効率的に文章そのものの作成が出来るからです。しかしエディタでの文書作成には、レイアウト機能が貧弱≪特に脚注が実現できないのが文系論文執筆者には致命的≫で印刷結果があまり美しくないという問題があります。この問題を解決するために、原稿はエディタで作成し、ワープロやTeX≪原稿をレイアウトするソフト\nhttp://Sunburn.Stanford.EDU/~Knuth/ 参照≫で印刷を行うという人もいます。
しかし、ワープロでの原稿印刷はエディタよりは優れていますが、レイアウト結果が出版品質と言えるほどは美しくありません。ワープロで文章を修正してしまうと原稿とワープロで文章が異なったものになり、管理が大変煩雑になるという問題もあります。
研究機関や大学などの(特に理工系)研究者の間では文書作成にTeXを使うのが一般的です。TeXはコマンドを埋め込んだソース文書をエディタで作成し、それをコンパイル≪コンパイルとはソース文書を目的とする形式に変換するという意味です。≫して美しくレイアウトされた文書を得ることができます。数式、図表、目次、参考文献機能など学術論文、書籍、雑誌に必要な機能はすべて揃っており、印刷結果をそのまま写真製版し出版している書籍、論文誌は少なくありません。このようにTeXは大変素晴らしく実績もあるのですが研究者以外にはいまいち普及していないようです。それはソース文書記述の難しさと使い勝手の悪さにあると筆者は考えています
## (より詳しい比較は 2.3 参照)。
## newColumn
▽ vineの開発
そこで、ワープロの簡便さとTeXの柔軟さと厳密性を備え、かつ処理能力のそう高くないマシンでもストレスなく使える長文作成支援システムの需要があるのではないかと考えました。長文を作成する人口はいわゆるワープロユーザ人口に比べるとそう多くはありませんが、そのような市場はニッチ市場であり、個人でソフトを作成しビジネスする≪筆者はソフトウェア作家での自立を目指しています。2010年までに9億円を売り上げ、5億円貯金して、あとは一生遊んで暮す、というのが楽観的人生設計です(この他に悲観的人生設計、現実的人生設計、現実逃避的人生設計もありますが秘密です)。≫には絶好のターゲットです。それに筆者もプログラムドキュメント、原稿、論文、このような説明文書などの長文を日常的に作成しなくてはいけないので、「自分が使いたいものを作る」、「プログラムを作成し、日々の生産性を向上させる」、「楽をするための苦労はいとわない」という幸せになるプログラム作成三原則にもかなっています。
この章の最初に書いたように最初vineは学会予稿を奇麗にレイアウトし印刷するためのものでした。その後、某組織の公報の原稿作成やこのマニュアルなどをvineを使って作成していく過程で、表組みや目次など自分が必要な機能を実装していきました。また、ViViメーリングリストのメンバの方々に試用していただき、寄せられたご意見ご要望も出来る範囲で実現してきました。その結果、初期に比べれば機能もはるかに豊富になり、いろいろな形式の文書を作成することが可能になってきました。
したがって、現在の仕様でも文書のタイプによっては十分実用的と考えるので、1999年末をめどにいったん安定版をリリースするのがいいのではないかと判断しました。
## もちろん、レイアウトソフトに求められる機能のすべてを実装しているわけではありませんが、それらの要求をすべて満たすものに仕上げるにはまだまだ膨大な工数が必要です
▽ vineとは何か
以上の文章を我慢強く読んでこられた方にはもうお解りと思いますが、vineは知的生産性を向上させる文書作成ツールなのです。端物≪チラシのように通常1ページでレイアウトを重視したもの≫ではない長文の文書を効率よく作成でき、知的生産性を向上させることができます。長文は全体の理解が大変なので、通常は章節などに構造化します。よって、vine は構造化文書のレイアウト&印刷ツールとも言えます。
vineはTeXと同じ様にエディタで作成したソース文書をコンパイルする方式ですが、ソース文書の記述方式がTeXよりも簡単で、一般人の学習負荷を減少させます。つまりvineはやさしいTeXであるということです。
ついでに言うと、vineは有料のソフトウェアです。vineは営利目的のソフトウェアで、複製権を放棄しているので自由に配布が可能で一定期間試用できますが、継続して使用する場合は料金を支払う義務があります。わたしの楽観的人生設計を成就させるたに多大な工数をかけて開発しているものなので、絶対に不正使用などせぬようにしてください。不正使用した場合は刑事告訴≪著作権法違反。罰則は三年以下の懲役または三百万円以下の罰金≫または民事訴訟≪正規料金の3倍の金額を請求します。小額訴訟であれば1回の審理で判決がおり、預金通帳を差し押さえすることが出来る≫を行う場合もありますし、末代まで津田の祟りがふりかかるでしょう。
ただし、vineドキュメントを閲覧できるだけのビューワ版はフリーウェア(無料)です。vineでドキュメントを作成し、ビューワごと第三者に自由に配布できます。
## ● まとめ
## ## ・ ワープロは長文作成には向かない
## vineは、
## ## lineSpace
## ・ 長文作成の新しいアプローチである
## ・ ワープロの簡便さとTeXの柔軟さと厳密性を備え、かつ処理能力のそう高くないマシンでもストレスなく使える長文作成支援システムである
## ・ 知的生産性を向上させる文書作成ツールである
## ## lineSpace
## である。
## ・ 免責
## vineの直接または間接的な原因によりユーザに何らかの損害をもたらしたとしても作者は作者はなんら責任をとりません。これに同意しない場合、vineを試用または使用できません。
## vineは構造化文書のレイアウト&印刷ツールです。構造化文書とはこのドキュメントのように章節などの構造を持ったものです。学術論文、レポート、小説などは文書量が多いため全体の把握が困難になりがちですが、構造化することで文書内容の把握が容易になります。vineは構造化文書の効率的な作成を助け、奇麗な印刷物を得ることが簡単にできます。
## もともとは論文原稿を美しく印刷するために作成を始めたもの。
## パソコンの使用目的で最も多いのは文書作成だと言われています。チラシ、レポート、報告書、企画書、論文、小説などをワープロやエディタで日常的に作成している人は少なくありません。とあるワープロのアンケート調査によれば2ページ以上の文書を日常的に作成する人は1割以下だそうで、
## ○ ライセンスについて
## ・ vineは有料のソフトウェア
## vineは営利目的のソフトウェアです。
## 継続して使用する場合は料金を支払う義務があります。
## ・ 著作権は津田伸秀が保有し、ライセンス購入者に使用許諾を行います。
## 使用許諾はユーザに対し固有パスコードを発行することで行う
## ・ ライセンス料金は2000円程度を予定しています。ただしViViの正規ユーザ(含む無料学生認証者)は無償でvineを使用できます。
## ・ 複製件は放棄していますので、自由にコピー、再配布可能です。
## 再配布はオリジナルの形態でのみ可能です。
## 書籍、雑誌、Webサイト、BBSなどで不特定多数に配布する場合は事後報告をお願いします。
## ・ 一定期間試用可能
## ・ ビューワ機能のみの版はフリーウェア
## ドキュメントをvineで作成し、vine.exeごと第三者に配布できます
## ・ パスコードをWebサイト等で公開した場合は、民事訴訟を行い正規料金の100倍を請求するか、刑事告訴します。
## ・ vineプログラムの一部を作者の許可なく改竄しての使用は著作者人格権の侵害、改竄方法の公開はそれの幇助にあたるとみなし、刑事告訴します。
## newPage
○ どのような人がvineを使用するのか
知的生産者はワープロソフトなどのツール(道具)を使って日常的に文書作成を行います。当然、文章内容で勝負ですから、ツールの使い勝手の悪さにわずらわされることなく、文章の内容そのものに集中したいものです≪逆に美しくレイアウトして、うすうすな中身をごまかしたい、ということもあるかもしれない≫。しかし、実際に使用しているツールにはいろいろな不満があるのではないでしょうか?もし以下のような不満を持っているのであれば、ぜひvineを試してみてください。
## 不満をvineが解決してくれることでしょう。
● 不満:「ワープロ、DTPはパフォーマンスが悪い」
ワープロはエディタに比べるととても重遅です。これはワープロは長文を作成するユーザをメインターゲットにしていないところから来ているものと考えています。
● 解決:vineではソース文書をエディタで作成します。エディタは文章そのものを作成する機能に特化しているので、ワープロやDTPに比べるとはるかに軽快です。文書内移動でいらいらすることも、余計な機能で操作性が落ちることもありません。
● 不満:「アイデアプロセッサは操作性、印刷結果がいまいち」
一般的に、アイデアプロセッサは文書構造の編集に重点が置かれているため、文書そのものの編集操作性が優れない傾向にあります。構造化文書でもほとんどの時間は文章そのものの編集に費やすわけですから、知的生産性をあげるためには大変重要なことです。また、印刷機能に不満があるものが多いのが現状です。
● 解決:vineはエディタでソース文書を編集しますので、編集の操作性、生産性は格段に向上します。また、レイアウト&印刷専門のソフトですから、奇麗で読みやすい印刷結果を得ることができます。
● 不満:「エディタでは脚注が実現できないし、印刷結果がいまいち」
文系の論文では数式や図表が必要無い場合も多いし、学会や出版社に提出する原稿はベタテキストの方が好まれるので、エディタで論文、原稿を執筆されている方も多いと思います。そんな方々の最大の不満はエディタでは脚注が実現できないことでした。
● 解決:vineを使えば脚注を簡単に実現できます。この入門書のような脚注もOKです。
● 不満:「エディタで文書作成し、それをワープロで印刷すると、修正の手間がかかってしょうがない」
原稿はエディタで作成し、ある程度できあがったらテキストをワープロに流し込み、整形し印刷する方も少なくありません。しかし、ワープロで原稿を推敲するとワープロ上で文章を修正したくなります。その結果、元原稿とワープロ上の文書が異なってしまい、エディタで文書を大幅に修正することが出来なくなってしまい生産性が極端に低下した、そんな経験ありませんか?
● 解決:vineは(現在のところ)文章を画面で編集したくても不可能ですので、そのようなことは起こりません。ソース文書とスタイルの情報が分離しているので、論文誌などのようにスタイルが決まっている文書は、いったんスタイルを作成してしまえば、後は原稿をエディタで作成するだけにです。情報の分散と非整合で悩むことはなくなります。
● 不満:「TeXはちょっと難しい、使い勝手がいまいち」
コンピュータの専門家は文書作成にTeXというものを使うらしいので書籍などを購入し勉強してみたが、ソース文書の記述が難しい。または、ビューワが統合化されておらず使い勝手がいまいちである、と感じるユーザも少なくありません。
● 解決:vineは可読性を重視したソース文書書式と、GUIによるスタイル設定を可能にしていますので、TeXと同じコンパイラ方式でありながら、初期学習の難易度を下げ、使い勝手を格段に向上しています。TeXに挑戦したが挫折したという方は一度vineを試していみることをお勧めします。
よーするに、
『論文、仕様書、レポートなどの長文を日常的に作成する人』
はvineを使うと文書の生産性が飛躍的に向上する、ということです。
逆に、vineを使ってもしょうがない人は以下のような人です。
## lineSpace
・ 長文を作成しない
・ ワープロのパフォーマンスが悪いとは思えない
・ いつまでたってもパソコン初心者である
## ・ わからないことがあったら自分で調べないで、すぐ人に聞く
## ・ 学習することは嫌い
○ vineはどのような文書作成に向いているか
以下のような文章を作成する場合にはvineを使用すると良いでしょう。
## lineSpace
・ 学術論文(数式無し)
・ 構造化文書
・ 説明書
・ 画像、表を含む文書
## lineSpace
逆にvineに不向きなものは以下のような文章です。
## lineSpace
・ レイアウト重視の端物
・ 高度なレイアウトの長文記事
・ 数式を駆使した文書
## newPage
○ vineの特徴
vineは様々な機能を持っていますが、大きな特徴としては、
・ コンパイラ方式
・ GUIによるスタイル設定
・ コマンド方式によるソース文書記述
の三点があげられます。
▽ コンパイラ方式
「コンパイラ方式」とはエディタでソース文書を作成し、それを他のプログラムでレイアウトし印刷する(図1.4 参照)という意味です。TeXがこの方式ですのでTeX方式とも呼ばれます。
具体的には以下の手順で文書を作成します。
## column drawFrame
@ ソース文書をエディタで作成する
A ソース文書をvineにバインドする
B 必要があれば印字スタイルを変更する
C 推敲し、必要があればソース文書を変更する
D 印刷する
## endcolumn
## column halign=center caption="■ 図1.4 vineでの文書作成手順"
┌───────┐
│ ソース文書 │エディタで作成
└───────┘
│
│vine にバインド
↓
┌───────┐
│ レイアウト │必要があれば
│ された文書 │レイアウト変更
└───────┘
## endcolumn
ソース文書を作成するためのエディタは何でも構いません。後で説明しますが、ソース文書は行頭に記号を記述することで段落種別を指定する行頭記号記法で記述するので、それを支援するViViを使うとソース文書作成効率が向上すると思います。ソース文書が出来上がったらそれをvineにバインドします。バインドとはvineドキュメントとソース文書を結合させることで、操作としては、
・ ソース文書をvineにドロップする
・ vineから「ドキュメント」−「バインド」を実行する
の2種類の方法があります。
バインドを行うとソース文書がデフォルトのスタイルでレイアウトされ、画面に表示されます。必要があればスタイルを変更します。文章を変更したい場合はエディタでソース文書を修正します。ソース文書ファイルを更新し、vineにフォーカスを移すと、ソース文書を再読み込みし、レイアウトを行います。
文章もレイアウトも満足する状態になれば、印刷をおこないます。印刷結果で推敲し、不満があれば、B、Cを繰り返します。
このようなvineの方式に対しワープロは画面でレイアウトを確認しながら編集を行うことができるので「インタープリタ方式」と呼ぶことができます。 どちらにも一長一短がありますが、簡単な文書の場合は「インタープリタ方式」の方が、本格的な長文の場合は「コンパイラ方式」の方が優れていると思います。これはプログラム開発において、大または中規模プログラムではインタプリタ言語ではなくコンパイラ言語が使用されるのと同じ様な状況です。
文書作成方式としてのコンパイラ方式がインタプリタ方式に優る点は以下の通りです。
・ 文章作成に集中できる
・ エディタを自由に選べる
・ 高度なレイアウトが可能
・ レイアウトプログラムの規模は小さくて済む
逆に劣る点は以下の通り
・ 文書編集時にレイアウトを確認しづらい
・ 初期学習コストが大きい
▽ GUIによるスタイル設定
vineでは、ページスタイル(用紙サイズ、用紙方向、段組、ヘッダフッタ等)、各段落の印字スタイル、組み版ルールをGUI(Graphical User Interface)で設定することができます。TeXではすべての設定をソース文書(またはソース文書が参照するマクロ)で行いますが、設定変更を自由に行うにはTeXコマンドに対する充分な理解とそれをちゃんと覚えておく必要があります。しかし、上記のような設定は頻繁に変更するものではありませんので、具体的なコマンドは忘れてしまうことがままあります。vineではそのような設定をダイアログ画面で確認しながら行うことが可能なので、簡単に設定を変更することが可能です。
スタイル設定に関するメニューは「設定」にあります。詳細はリファレンスマニュアルを参照してください。
▽ コマンド方式によるソース文書記述
図1.1 の本入門書の最初の部分のソース文書を見ると解るように、ソース文書はほとんど印刷イメージの様に文章を記述するだけです。大中小見出しは行の初めに“■”、“○”、“▽”の記号を記述します。この記述方式を「行頭記号記法」と呼びますが、この記法はソース文書が読みやすく、文書編集中に思考が寸断されることがないので、編集効率が向上します。
行頭記号記法だけでも、かなりの文章を作成することができますが、改行や表組みなどを使用したい場合があります。vineではそのような場合に対応するため、コマンドをソース文書に記述することが出来るようになっています。
コマンドはコマンド有功オプションが有効になっているメモ段落を使用します。デフォルトでは“## ”がコマンドが有効なメモ段落ですので、“## newPage”の様な形式でコマンドを記述します。
コマンドには“## newPage”の様に1行で完結するものと、“## table”、“## endtable”の様にコマンドの開始行と終了行を持ち、その間にコマンドを指定できるものの2種類があります。前者のタイプのコマンドを表1.1に示します。
## ・ コマンド方式
## コマンドを覚えることで高度なレイアウトが可能になる
## 画像表示
## 表組み
## コラム
## ・ 行頭記号記法
## ソース文書は可読性に優れる行頭記号記法で記述する
## 単純な文書であれば、エディタで作成した文書そのままでよい
## スタイルをソース文書に合わせることも出来る
▽ その他の特徴
上記の3つの大きな特徴以外にも、以下のような特徴があります。
・ WYSIWYG
レイアウト結果を画面で確認できる
・ アウトライン
章節などの見出しをアウトラインバーに表示
・ 罫線図形
・ 目次自動生成
▽ なぜvineは画面で編集が出来ないのか
・ 人間は頻繁に参照することがらは忘れないが、たまにしか参照しないことは忘れる
・ 習熟した場合の生産性をあげる設計では、その学習コストが上がってしまう傾向にある
・ 初期学習コストの低さと習熟した場合の生産性の高さを求めることは、矛盾した設計目標となる場合が多い
・ ユーザが頻繁に行う操作は学習コストがかかっても、習熟した場合の生産性向上の度合いを大きくすることを優先して設計する
・ ユーザがあまり頻繁に行わない操作は学習コストが最小になるようにする
・ ユーザ進化型
## ## newColumn
## table caption="■ 表1.1 文書作成ソフトウェアの比較" note="注: 7段階評価。4が中位 数字が大きいほど優れる" pos=bottom
# , 10%, 10%, 10%, 10%, 10%
, 発想, 入力, 編集, 印刷, 容易
# l, c, c, c, c, c, c
ワープロ, 4, 4, 4, 4, 6
エディタ, 6, 7, 7, 2, 4
アウトラインプロセッサ, 7, 4, 5, 2, 4
DTP, 2, 2, 3, 7, 4
エディタ+ワープロ, 6, 7, 3, 4, 4
エディタ+TeX, 6, 7, 7, 7, 2
エディタ+vine, 6, 7, 7, 6, 4
## endtable
## table caption="■ 表1.2 野口悠紀雄氏による文書作成ソフトウェアの比較" note="注: ◎ 優れている ○ 普通 △ 劣る" pos=bottom
# , 10%, 10%, 10%, 10%, 10%
, 発想, 入力, 編集, 印刷, 管理
# l, c, c, c, c, c, c
ワープロ, ○, ○, ○, ○, ○
エディタ, ◎, ◎, ◎, △, ○
アウトライン・プロセッサ, ◎, ○, ◎, △, △
DTPソフト, △, △, △, ◎, △
メーラ, △, △, △, △, ◎
## endtable
○ 他の方法との比較
文書作成に使用されているソフトとしては、ワープロ、エディタ、アウトラインプロセッサ、DTPがあります。また文章そのものはエディタで作成し、それをワープロに流し込んでレイアウトするという複合技や、TeXを使ってレイアウトするという方法もあります。このように文書作成には様々な方式のソフトがあるので、この節ではそれらの方式とvineの方式との比較を行ってみます。
比較項目としては「発想」、「入力」、「編集」、「印刷」それに「容易」に使用できるかどうかの5項目を考えます(最初の4項目は野口悠紀雄著『「超」知的生産とパソコン』による比較項目です)。
文章、特に長文を書くには文章の内容、構成を考えなくてはいけません。つまり「発想」が重要になります。したがって文章作成プログラムには著者の「発想」を支援する機能が必要になります。発想支援機能として一般的なのは文書全体の構造把握を容易にし、文書構造の編集が可能なアウトライン機能です。また、grepで大量の文書から検索できるかどうかも大変重要です。したがって、「発想」支援としてはアウトラインプロセッサがもっとも優れ、ついでエディタ、ワープロ、DTPの順であると考えます。
入力は頭の中などで出来上がった文章をパソコンに入力する過程です。この時はひたすら文章を入力するわけですから、ソフトの応答性がもっとも重要になります。通常、エディタやアウトラインプロセッサは規模が小さく文章編集以外の機能も限られているので、応答性は非常に優れていますが、ワープロは標準的な応答性です(人によってはかなりストレスを感じる)。DTPはワープロよりもさらに高度な機能を持っているので、応答性は劣っています。
編集は入力した文章を推敲し、修正する作業です。ワープロ、DTPは画面で確認してすぐに修正できるという点では優れていますが、応答が遅いのは難点です。grep機能や編集操作の効率性ではエディタにはかないません。
画面での情報量には限りがあるので、文章は印刷して推敲する方が効率が良いものです。したがって、美しい印刷結果が得られるかどうかは大変重要です。エディタ、アウトラインプロセッサは印刷能力が低いものが多く、ワープロの印刷能力は平均的です。DTP、TeXはプロの使用に耐えうるよう設計されていますので、文句のつけようがありません。
どんなに優れた機能であってもユーザがそれを使いこなせないと意味がありません。プログラムを使い始めるときの初期学習の容易さは大変重要です。この点ではワープロがもっとも優れており、TeXはかなり難易度が高いと考えます。
以上はわたしの評価で、まとめると表1.1の様になります。参考のために、「超整理法」で有名な野口悠紀雄氏による評価(前掲書25ページ参照)を表1.2に示しておきます。vineがエディタ単体での文書作成の弱点である印刷機能をカバーし、長文作成ツールに最も適したものの一つになっていることがご理解いただけると思います。
【まとめ】
・ vineは本格的な文書作成を日常的に行っている知的生産者の生産性を向上させるツールです。
・ 初期学習コストは必要ですが、習熟した場合の生産性は飛躍的に向上し、いままで以上の美しい文書を得ることができます。
## newPage
■ 簡単な使用方法
この章ではvineの使用方法を具体的に説明します。
## 【お試し】 の部分はユーザ(あなた)が実際に試してみることを記述しています。文章を読んで理解した気になっても、実際にやってみるとちゃんと理解していなかったのでうまくいかない、ということはよくあることです。なので、実際に試してみることを強くお勧めします
○ セットアップ
## この章では配布しているアーカイブファイル(vineXXXX.lzh)から、vineを実際に使用できる状態にする方法を具体的に示します。
▽ セットアップ方法
vineのセットアップ手順は以下の通りです。
## lineSpace
## column drawFrame
1) vineXXXX.lzh を適当なディレクトリにコピーする(“XXXX”は4桁の数字でビルド番号≪開発中のバイナリを識別する通し番号≫を表す)。
2) Lhasa などで解凍≪サイズ圧縮され一つにまとまっているファイル群をもとの状態に戻ること≫する。
## endcolumn
## ## lineSpace
vineプログラムは標準的な圧縮プログラム;LHAで圧縮されて配布されています。Lhasa, LHA, WinZip などの一般的なアーカイブソフトで解凍することができます。
vineXXXX.lzh には表3.1のファイルが含まれています。解凍後に以下のファイルが存在していることを確認してください。
## lineSpace
## table pos=here caption="■ 表2.1 vineXXXX.lzh に含まれるファイル"
ファイル名, 説明
vine.exe, vine プログラム本体
vine.txt, vine 説明文書
vine.spr, SPR(Software Problem Report)文書
bgfigure, 背景図形ファイル
vineDocs/, vineサンプルディレクトリ
vineFirst.vin, 入門書(このドキュメント)
vineRef.vin, リファレンスマニュアル
vineTuter.vin, チュートリアル
bill.vin, vivi 請求書
table1.vin, 表組みサンプル
## endtable
vine.exe はvineプログラム本体です。これを別のディレクトリに移動することも出来ますが、その場合はbgfigureもいっしょに移動してください。bgfigureは背景図形ファイルでvine.exe と同じディレクトリに置く必要があります。
【補足】SPR は Software Problem Report のことで、ユーザ側からみたソフトウェアの問題一覧です。問題を開発者側から見ると、バグ、仕様の問題、要望などに分類できますが、ユーザ側からはあまり意味のある分類ではありません。なぜなら、ユーザにとっては意図したことが出来ないという事実が重要であり、それがバグなのか仕様なのかという区別はどうでもいいことだからです。
【高度】vine.exeはMFC(Microsoft Foundation Class Library)というものをダイナミックにリンクして使用しており、MFC DLL≪ダイナミックリンクライブラリ。複数のプログラムから実行時に共有されるライブラリのこと≫ を参照します。vine.exeを起動するとなんらかのエラーが発生する場合、MFC DLL が存在しないか、バージョン不一致問題が発生していることが考えられます。その場合は、http://www.vector.co.jp/authors/VA007799/vc6dll.lzh をゲットし、vine.exe と同じディレクトリで解凍してください。
## newColumn
▽ 環境設定
vineを実際に使い始める前に、オプション設定で環境設定を行いましょう。vineを起動し(起動方法が解らない場合は次章参照)、「設定」−「オプション」を実行し、オプションダイアログ(図3.1 参照)を開きます。オプションダイアログの上部にはタブと呼ばれる部分があり、見出し部分をクリックするとダイアログ内のページを切り代えることができます。まずは“環境”タブをクリックし、ディレクトリの設定を行いましょう。
## column halign=center pos=top caption="■ 図2.1 オプションダイアログ 環境タブ"
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃オプション ×┃
┠──────────────────────────┨
┃┌──┬──┬───┐ ┃
┃│表示│環境│起動時│ ┃
┃├──┘ └───┴──────────────┐┃
┃│┌デフォルトスタイル─────────────────┐│┃
┃││ ページ:__________【参照…】 ││┃
┃││ 組み版ルール:__________【参照…】 ││┃
┃││ 段落スタイル:__________【参照…】 ││┃
┃││ ページobj:__________【参照…】 ││┃
┃│└──────────────────────┘│┃
┃│┌ ディレクトリ──────────────────┐│┃
┃││ ドキュメント:____ @ ____【参照…】 ││┃
┃││ ソーステキスト:____ A ____【参照…】 ││┃
┃││ スタイル:__________【参照…】 ││┃
┃│└──────────────────────┘│┃
┃│ 外部エディタ:__________【参照…】 │┃
┃│ │┃
┃└────────────────────────┘┃
┃ 【 O K 】 【 cancel 】 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
## endcolumn
ディレクトリセクションの『ドキュメント』、『ソーステキスト』(図2.1 の@、A)の部分が空白になっているはずですので、vinドキュメント、ソーステキストを置くディレクトリを指定します。これらは同一にする方が便利な場合がありますので、同じディレクトリに設定することをお勧めします。ディレクトリ名を直接入力してもOKですが、すぐ右の【参照…】ボタンを押すと、ディレクトリ一覧が表示されるので、そこから選択することもできます。
vineでドキュメントを閲覧中にF10を押すとエディタが起動され、ソース文書を編集できます。起動されるエディタは『外部エディタ』の部分で指定できます。ViViが既にインストールされている場合は自動的にViViが外部エディタとして設定され、そうでない場合はNotePadが設定されます。これら以外のエディタを使用したい場合はそのエディタを設定してください。
オプションダイアログには“環境”以外に、“表示”タブ、“起動時”タブがあります。前者では画面表示に関する設定、後者ではvine起動時のウィンドウサイズなどの設定ができます。詳細はリファレンスマニュアルを参照してください。
【高度】 閲覧中テキストのカーソルがある行の行番号を引数で渡すことができます。書式は“$(CurLine)”です。ViViであれば起動時引数(“/line=行番号”)で指定行にジャンプできるので、“vivi.exe /line=$(CurLine)”のようにしておくと、vineからViViを呼び出したときに、行カーソルがある行にジャンプしてくれるので大変便利です。
## newColumn
○ 起動と終了
▽ 起動方法
vineプログラムを起動するには以下の5つの方法があります。場合場合で使い分けてください。
## lineSpace
・ エクスプローラで vine.exe をダブルクリックする
・ vine.exe のショートカットをダブルクリックする
・ vine に関連付けられたドキュメントをダブルクリックする
・ スタートメニューの「ファイル名を指定して実行」でvine.exeを指定する
・ コンソール(DOSプロンプト)から“vine.exe”を起動する
## lineSpace
vine が起動すると図2.2の様なウィンドウが表示されます。
▽ 終了方法:
終了方法も以下の様にいくつかの方法があります。
## lineSpace
・ 「ドキュメント」−「vine の終了」メニューを実行する
・ Alt + F, X を実行する
・ Alt + F4 を実行する
・ フレームウィンドウ右上の“×”をクリックする
## lineSpace
ドキュメントを修正している場合、保存するかどうかを尋ねるダイアログが表示される。意味が分からない場合は【いいえ】を押すのが無難でしょう。
【高度】 vinファイルをダブルクリックしてvineが起動するのは、vinドキュメントがvine.exeに関連付けされているからです。関連付けはvine.exeを実行した時、自動的に行われます。したがって一度もvineを実行していない場合はvineが起動しないことになります。
【お試し】 vineを起動し、終了してみましょう。ちゃんとできますか?起動・終了方法はWindows標準の方法ですので、これが出来ない場合はWindowsのマニュアルや解説本を読んで出直してきてください。
## ○ 画面説明
## 図2.2はvineの画面です。表2.2に画面の各部分の簡単な説明を示しておきます。
○ ドキュメントの閲覧
起動、終了方法が理解できたところで、次にvineで作成したドキュメントを閲覧してみましょう。ドキュメントをvineで開くには以下の様な方法があります(ドキュメントファイルのファイル名を“XXX.vin”とします)。
## lineSpace
・ XXX.vin をダブルクリックする
・ vine から「ドキュメント」−「開く」または Alt + F, O または Ctrl + O でオープンダイアログを開き、XXX.vin ファイルを選択し、【開く】を押す
・ 「ドキュメント」メニューのMRUファイル≪Mostly Recent Used Files; 最近開いたドキュメントファイル≫からオープンするドキュメントを選択する
## lineSpace
これらもWindows標準の方法ですから、簡単ですね。
【お試し】 vineXXXX.lzh に同梱されているサンプルドキュメントを開いて(オープンして)みましょう。サンプルはvine.exeのあるディレクトリ下の vineDoc/ に展開されているはずです。
## column halign=center pos=top
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃V @ _□×┃
┠─────────────────────────┨
┃ドキュメント 編集 表示 設定 その他 A ┃
┠─────────────────────────┨
┃□□□□ □ □□□ [ ]□□□□ B ┃
┠─────┬─────────────────┬─┨
┃ │ │▲┃
┃ │ │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ C │ D │E┃
┃ [アウトライン] │ [レイアウト結果] │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ │ │▼┃
┠─────┴─────────────────┼─┨
┃< E >│ ┃
┠───────────────────────┴─┨
┃ F ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
■ 図2.2 vine画面
## endcolumn
## table caption="■ 表2.2 画面説明" pos=top
# 5%, 32%
, 名称, 説明
@, タイトルバー, フレームウィンドウタイトルです。右端には【非表示】、【最大化】、【終了】ボタン
A, メニュー, メニューコマンドを実行できます
B, ツールバー, アイコンクリックでコマンド実行できます
C, アウトラインバー, 見出しのアウトラインが表示されます
D, ビュー, 文書のレイアウト結果が表示されます
E, スクロールバー, ビューをスクロールできます
F, ステータスバー, 表示中のページ番号などが表示されます
## endtable
▽ 表示スケールの変更
vineドキュメントを開くとドキュメントの内容が図2.2Dの部分(この部分を「ビュー」と呼びます)に表示されます。ドキュメントは図2.2Aのツールバーの部分に表示されているスケール(拡大縮小率)にしたがって表示されます。「100%」の場合は印刷結果と同じサイズで画面に表示されます≪画面設定などによっては正確なサイズに表示されない場合もある≫。スケールはツールバーのドロップダウンリストで選択、スケールを直接入力、または虫眼鏡のアイコンをクリックすることで変更できます。この他に z または s キーで拡大縮小することもできます。
画面サイズに合うようにスケールを調整することもできます。F4 を押すとページの横幅が画面にフィットするように、Shift + F4 でページ全体が表示できるようにスケールを調整します。文章を読む場合、または全体のレイアウトを確認したい場合に便利です。インテリマウスを使用している場合、Ctrl キーを押しながらホイールを操作することで拡大縮小することもできます。いろいろな方法がありますが、場合場合または好みで使い分けてください。
【お試し】 上記の方法を使って、画面を拡大縮小表示してみましょう。
▽ スクロール
表示スケールが大きい場合、印字イメージ全体を画面に表示できないので、スクロールを行って、全体を確認します。スクロールを行うには図2.2Eのスクロールバーを使う方法、インテリマウスのホイールを使う方法、上下左右矢印キーを使う方法の3種類があります。
【お試し】 表示スケールを大きくし、スクロールをさせてみましょう。
▽ ページ移動
ドキュメントが複数ページあっても通常表示では1ページのみが表示されるので、ドキュメントのすべてを閲覧するにはページ移動を行う必要があります。
ツールバーの三角アイコンを押すと1ページ移動が可能です。三角に縦棒のアイコン(“|<”、“>|” こんな感じ)はドキュメントの最初のページ、または最終ページにジャンプします。
「表示」メニューの「次ページ」、「前ページ」でページ移動するこも出来ます。「表示」−「指定ページ」を実行すると指定ページダイアログが表示されるので、ジャンプしたいページ番号を入力し、そこにジャンプすることもできます。
上記の操作はキーでも可能です。Ctrl + Home でドキュメント先頭、Ctrl + End でドキュメント末尾に移動できます。PageUp または Ctrl + B は前ページ、PageDown または Ctrl + F は次ページです。指定ページジャンプダイアログは g で開くこともできます。これらを一度に覚えるのは大変なので、vineに慣れてきてから徐々に覚えるといいでしょう。
vineは見出しを認識し、それを図2.2Cのアウトラインバーに表示します。そこに表示される見出し部分をクリックすると本文のその位置にジャンプします。特定の見出しの部分を閲覧したいときに便利です。
【お試し】 メニュー、ツールバー、キー、アウトラインを使ってページ移動をしてみましょう。どの方法が一番楽ですか?
▽ カーソル移動
ビューでは、行の直下に赤色の直線が描画されている場合があります。この直線を行カーソルと呼びます。行カーソルはキー操作により移動することが出来、行カーソルが画面外に移動した場合は自動的にスクロールまたは表示ページを切り替えて、行カーソルのある行が画面内に入るようにスクロール位置を調整します。
行カーソルをドキュメントの終わり方向に移動するコマンドは、j または + または Enter です。逆に、ドキュメントのはじめ方向に移動するコマンドは k または - です。H はページの最初に、L は最後に、そして G はドキュメントの最後に移動します。
## お気づきの方も多いでしょうが、これらのコマンドは vi≪UNIX で標準的に使用されるテキストエディタのひとつ。≫ と互換性があります。
閲覧に使用するキー操作を表4.2にまとめておきます。
## table caption="■ 表2.3 閲覧に使用するキー操作" pos=top
キー, 機能
g, ページジャンプ
G, ドキュメント末尾にジャンプ
H, ページ先頭に移動
j, 行カーソル下移動
k, 行カーソル上移動
L, ページ最後に移動
s, 縮小表示
z, 拡大表示
Ctrl + B, 前ページ移動
Ctrl + F, 次ページ移動
-, 行カーソル上移動
+, 行カーソル下移動
Enter, 行カーソル下移動
Space, 次の領域に移動
Home, ページ先頭に移動
End, ページ最後に移動
PageUp, 前ページ移動
PageDown, 次ページ移動
Ctrl + Home, ドキュメント先頭にジャンプ
Ctrl + End, ドキュメント末尾にジャンプ
↑ ↓ ← →, スクロール
F4, 画面幅にフィット
Shift + F4, 画面にフィット
## endtable
【蛇足】 Home, End などの特殊キーは Windows の標準的な割付です。j, k, G などの英字キーはviコマンドとの互換性があります。:-p
## ・ ハイパーリンク
## ハイパーリンクはまだ実装されていません
## ・ 検索
## 検索はまだ実装されていません
## newColumn
○ 印刷
閲覧しているドキュメントの印刷は、「ドキュメント」−「印刷」または Alt + F, P または Ctrl + P で行います。これらのどれかを実行すると印刷ダイアログが表示されるので、【OK】ボタンを押すとドキュメントが印刷されます。
印刷イメージを確認したい場合は「ドキュメント」−「印刷プレビュー」を実行します。vineはWYSIWYG≪画面で見たものがそのまま成果物になる。“What You See Is What You Get”の略。≫なので通常画面でも印刷イメージとあまり変わりませんが、プレビュー画面は印刷結果そのものなので、より正確に印刷結果を確かめることができます。
【お試し】 ドキュメントを印刷してみましょう。
【注意】 プリンタの設定を忘れないでください。
## 以上で、vineで作成されたドキュメントを閲覧する方法についての説明は終わりです。次の節からはvineのドキュメントを作成または修正する方法について説明していきます。
## newColumn
○ スタイル変更
## vineには「スタイル」という考え方があります。「スタイル」とは何かをこれから説明しますが、ちゃんと理解しないとドキュメントの体裁が思ったようにならない場合があります。きっちり理解しておくようにしましょう。
## 長文は文字どおり文章量が多いので、全体を把握するのが大変です。そこで章節などをつけ文章を階層化することが普通です。これを「文章の構造化」と言います。だらだらとした文章ではなく、それぞれの段落の全体に対する意味を明確にし、全体的な文章バランスを明確にし、読者と著者双方の文書理解を助けます。
## 文章は段落で構成されます。段落とはひとまとまりの文章のことで、改行で区切られる単位と定義します。各段落は「タイトル」、「大見出し」、「本文」などの様にタイプ分けすることができます。これを段落タイプと呼びます。各段落タイプは、その文章を印字するときにどのようなフォントを使うか、サイズはどの程度か、水平アライメントはどうか、などの情報を持ちます。vineではこれを「段落スタイル」と呼んでいます。
## つまり段落の印字形式は段落タイプが持つ段落スタイルによって決まります。たとえば、大見出し段落スタイルが“MSゴシック”で高さ5ミリだとするとき、ある文章が大見出しであれば、“MSゴシック”で高さ5ミリで印字されるわけです。すぐ後で説明するように段落スタイルは簡単に変更することができますが、この操作は指定された段落の印字スタイルを変更しているのではなく、段落が属するタイプのスタイルを変更しているのです。
▽ 段落スタイルの変更
見出しなどのスタイル変更は、見出し部分(この文書であれば、すぐ上の「段落スタイルの変更」の部分など)をダブルクリックすることでオープンされるスタイル設定ダイアログ(図2.3 参照)により行います。
ここにはたくさんの設定項目があるので混乱されるかもしれませんが、よく使用するのは下方の“フォント”の部分です。ここで見出しのフォントフェース名、高さ、行間を指定できます。フォントフェース名は和文と欧文別々に指定します。和文は固定ピッチのものだけが指定可能ですが、欧文はプロポーショナルなものも指定可能です。
【お試し】 適当なvineドキュメントをオープンし、見出し部分をダブルクリックし、スタイルプロパティを開き段落スタイルを確認してみましょう。次にフォントサイズを変更してみましょう。ちゃんと意図したように変わりましたか?
【高度】 見出し文字列のスタイルが直接変更されているのではなく、スタイルに属する段落の印字スタイルはすべて変更される。
スタイルには見出し以外に、“本文”、“脚注”などがあります。それらも見出しと同じようにフォントサイズなどを容易に変更できます。
## column halign=center pos=here
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃プロパティシート × ┃
┠───────────────────────────┨
┃┌──┬───┬───┬──┬───┬─┬─┬──┐ ┃
┃│全般│本分類│見出し│脚注│インライン │メモ│表│コラム │ ┃
┃├──┴───┘ └──┴───┴─┴─┴──┴┐┃
┃│ │┃
┃│ 種別:____▼ │┃
┃│ マークアップ書式:_____ │┃
┃│ 印字書式:_____ 背景図形:_____ │┃
┃│ 左余白:_____ 段数:____▼ │┃
┃│ 右余白:_____ 行数:____◆ │┃
┃│ 見出しレヴェル:____◆ 連番初期値:____◆ │┃
┃│ │┃
┃│┌水平アライメント─────┐┌目次─────────┐│┃
┃││ ◎ 左 ○ 中央 ○ 右││ □ 自動生成 ││┃
┃│└──────────┘│ 左余白:_____ ││┃
┃│┌垂直アライメント─────┐│ 右余白:_____ ││┃
┃││ ◎ 上 ○ 中央 ○ 下││ リーダ: ◎ 点線 ││┃
┃│└──────────┘│ ││┃
┃│ └───────────┘│┃
┃│┌フォント─────────────┐ │┃
┃││ 和文:___▼ □ bold │ 【新規作成】 │┃
┃││ 欧文:___▼ □ italic │ 【 削 除 】 │┃
┃││ 高さ:___ □ underline│ 【 保 存 】 │┃
┃││ 行間:___ │ 【 読 込 】 │┃
┃│└───────────────┘ │┃
┃└─────────────────────────┘┃
┃ 【 OK 】【 Cancel 】 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
■ 図2.3 スタイルプロパティ
## endcolumn
▽ ページスタイルの変更
「設定」−「ページ設定」または、Alt + C, P または Shift + F8 で図2.4のページ設定ダイアログが開きます。ここではページサイズの指定、用紙方向、上下左右余白、段組指定、ページの上部または下部にページ番号などを印字するヘッダ、フッタの指定が可能です。
【お試し】 ページ設定ダイアログを開いて、用紙方向や段組数などを変更してみましょう。
## column halign=center pos=here
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ページ設定 ×┃
┠────────────────────────┨
┃ ┃
┃┌用紙サイズ───────┐┌────────┐┃
┃│ □ 規定サイズ:____▼││ │┃
┃│ ┌用紙方向─────┐││ │┃
┃│ │ ◎ 縦 ○ 横 │││ │┃
┃│ └─────────┘││ ページイメージ │┃
┃│ □ 指定サイズ ││ │┃
┃│ 縦:_____ ││ │┃
┃│ 横:_____ ││ │┃
┃└────────────┘└────────┘┃
┃┌余白────────┐┌ヘッダ・フッタ──────┐┃
┃│ 上:____ ││ ヘッダ:____ │┃
┃│ 下:____ ││ フッタ: ____ │┃
┃│ 左:____ ││ 和文:____▼ │┃
┃│ 右:____ ││ 欧文:____▼ │┃
┃└──────────┘│ サイズ:____◆ │┃
┃┌段組────────┐└──────────┘┃
┃│ 段数:___◆ │ 始ページ番号:____ ┃
┃│ 段間:____ │ □ 上部余白線【線種】 ┃
┃│ □ 段間線 【線種】│ □ 下部余白線【線種】 ┃
┃└──────────┘ ┃
┃ ┃
┃ 【 O K 】 【 cancel 】 ┃
┃ ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
■ 図2.4 ページ設定ダイアログ
## endcolumn
▽ 組み版ルールの変更
組み版ルールとは文字をレイアウト(組み版)するときの規則のことです。「設定」−「組み版ルール」を実行すると図2.5のダイアログがオープンされます。ここでは、行頭行末禁則処理、右端揃え(ジャスティフィケーション)等の設定が可能です。
【お試し】 vineドキュメントを開き、右端揃え設定を変更してみましょう。右端揃えを行った場合と、行わない場合、どちらが読みやすいですか?
## column halign=center
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃組み版ルール ×┃
┠──────────────────────┨
┃ ┃
┃ ┌禁則─────────────────┐ ┃
┃ │ ◎ 無効 ○ ぶら下げ ○ 追いだし │ ┃
┃ └───────────────────┘ ┃
┃ 行頭禁則文字:_____________ ┃
┃ 行末禁則文字:_____________ ┃
┃ ┃
┃ □ 右端揃え 【詳細…】 ┃
┃ □ 英字ワードラップ ┃
┃ □ 数字ワードラップ ┃
┃ ┃
┃ ┌和欧間空白──────────────┐ ┃
┃ │ ◎ 無処理 ○ 無 │ ┃
┃ │ ○ 2分 ○ 3分 ○ 4分 │ ┃
┃ └───────────────────┘ ┃
┃ ┃
┃ 【 O K 】 【 cancel 】 ┃
┃ ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
■ 図2.5 組み版ルール
## endcolumn
## newColumn
○ ソース文書作成
これまでは作成されたvineドキュメントを閲覧する方法、スタイルを変更する方法を説明してきましたが、この節ではドキュメントのソース文書を作成し、それをvineでレイアウトする方法について説明します。
▽ ソース文書をバインド
vineはレイアウトされた画面で文章を編集することが出来ないので、元になる文書(これをソース文書と呼ぶ)をテキストエディタで作成し、それをvineドキュメントにバインドする、という操作になります。
## column drawFrame
@ ソース文書をエディタで作成
A ソース文書をvineドキュメントにバインド
## endcolumn
ソース文書の作成は任意のエディタで行います。原稿は次節で説明する書式で記述します。ソース文書ができたらファイルに保存し、それをvineドキュメントにバインド≪バインドとはドキュメントとソース文書を対応させることです≫します。操作は「ドキュメント」−「バインド」を実行、またはエクスプローラでソース文書ファイルをvineウィンドウにドロップです。これでソース文書が現在のスタイルにしたがってレイアウトされます。
【お試し】 適当なテキストファイルをvineドキュメントにバインドしてみましょう。そのままでも結構奇麗にレイアウトされるでしょ。
▽ ソース文書書式
ソース文書書式の基本は2つです。
## column drawFrame
@ 見出し段落では“■”などの記号を行頭に記述する。
A タイトルと本文の間には空行を入れる。
## endcolumn
vineのソース文書では行頭に“■”や“▽”などの記号を記述することで段落種別を指定します。たとえば、本稿では“■”を大見出しの、“▽”を小見出しの記号にしています(図2.6参照)。このような記法は一般的な雑誌でよく見かける記法で、文書構造を分かりやすくしてくれます。
文章は、最初にタイトルがあり、次に著者名を記述するのが一般的です。ソース文書では空行によりそれらを区別しています。
【お試し】 以下の内容のソース文書ファイルを作成し、バインドしてみてください。思ったようにレイアウトされますか?
## column drawFrame
タイトル
■ 大見出し
ほんぶん
ほんぶん
ほんぶん
■ 大見出し
ほんぶん
ほんぶん
ほんぶん
## endcolumn
行頭記号と空行によるタイトル指定はソース文書書式の基本で、これだけでもかなりの文章が作成できます。しかし、本格的なレイアウトの文章にはちょっと機能不足です。そこでvineではこれ以外にも、脚注、画像、表組み、改ページなどを指定する機能があります。
## 以下、簡単に説明します。
脚注は語句等の説明を本文以外で行う機能です。図2.6の著者名のところの様に脚注文字列を“≪”と“≫”で囲むと、それが脚注になります(このような書式はソース文書を読みづらくすると思われるかもしれませんが、ViViであれば“≪”と“≫”で囲まれた部分をブロックコメントとし、画面での表示色を通常の文字とは異なる色に設定できるので、ソース文書の読みやすさを損なわないようにすることができます)。
“## newPage”の様に“## ”で始まる行でコマンドを指定することができます。コマンドには改ページ(newPage)や改段(newColumn)などがあります。コマンド以外の文字列は無視されるので、文章をコメントアウトしたり、メモや履歴などを記述することもできます。
BMPファイル、PNGファイルなどの画像表示は先のコマンドで指定します。書式は“## img="ファイル名"”です。タイトルや注釈を付けたりすることもできます。
ソース文書書式の詳細はリファレンスマニュアルを参照してください。また、この入門書のソース文書を読んでみるのも参考になると思います。
【お試し】 新規にソース文書を作成し、vineでレイアウトしてみましょう。
## column drawFrame caption="■ 図2.6 本入門書のソース文書" bottomMargin=100
vine 入門書
Rev 0.2
3-May-1999
Nobuhide Tsuda≪ソフトウェア作家、某組織 客員××× (1999年末までの任期)≫
▽ 本書の内容
このドキュメントはvineを初めて使用する方のための入門書です。あまり細部にはこだわらず……
▽ このドキュメントでの表記
………
## newPage
■ はじめに
▽ そもそも
研究者やエンジニアなどの知的生産者は論文、報告書、仕様書などの文書を……
## endcolumn
## newColumn
○ ドキュメントを第三者へ配布
vineで作成したドキュメントを配布する場合の注意点は以下の通りです。
## column drawFrame
(1) vinファイル、ソース文書を配布する
(2) 画像ファイルを参照している場合は、それもいっしょに配布する
(3) ソース文書とvinファイルは同一ディレクトリに置き、相対指定にする
(4) 配布先がvineを持っていない場合はビューワ版もいっしょに配布する
## endcolumn
基本的にはvinファイルとそのソース文書をいっしょに配布します。画像ファイルを参照しているドキュメントの場合は、画像ファイルもいっしょに配布します。通常はこれらをアーカイブして配布するのがいいでしょう。
重要なのは「ソース文書を相対パス指定にしておく」ということです。たとえば、vinドキュメントファイルが“c:/docs/hogehoge.vin”、ソース文書が“c:/docs/hogehoge.txt”であれば、ドキュメントプロパティのソーステキストのとことは“hogehoge.txt”とします。vinドキュメントとソース文書は必ず同一ディレクトリに置くようにし、「設定」−「ドキュメントプロパティ」または Ctrl + F8 を実行し、ソーステキストの指定が絶対パスではなく相対パスになっていることを確認してください。
これで、vineで作成したドキュメントを第三者に配布できますが、配布先もvineを持っていないとドキュメントを閲覧することができません。vineは有料ソフトですが、ビューワ機能だけを使用するのは無料ですので、vineビューワもいっしょに配布してください。
## newColumn
■ おわりに
○ ファーストリリースの制限事項
vineはまだまだ開発途上です。以下の機能はファーストリリースでは実現しません。それ以降のお楽しみです。
・ 数式
・ グラフ
・ 索引
・ 段幅以外のレイアウト
・ 複数段見出し
・ ハイパーリンク
・ インタラクティブ機能
○ 今後の予定
・ 1999年7の月の頃からFF (Feature Freeze)、遅くとも年内にはリリースしたい
・ 要望、ご意見はまだまだウェルカム
○ 謝辞
・ MLメンバの多くの方々は不安定で機能が不十分な時期からvineを試用してくださった。バグレポートや鋭いご意見をたくさんいただき、とても感謝している。
・ 見出しの文字列連番処理のアルゴリズムは、佐武由三郎氏に御教授していただいたものを使用している。氏には大変感謝している。
・ MKさんはわたしのつたない原稿を読んで、貴重なアドバイスをしてくれた。感謝感謝である。