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DOS/V Power Report 2002 October
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2002-08-03
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13KB
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109 lines
polyhed
一様多面体、探索プログラム
0. はじめに
本プログラムは一様多面体の構成を見るためのプログラムです。表示は美しいので見るだけでも楽しいと思います。しかし、しっかり操縦するためには本文書を折に触れご参照ください。800x600以上の画面、16bit以上の色表示でご覧ください。3Dアクセラレータがあると、ずっと操作が楽になります。
1. 一様多面体とは
立方体や正十二面体などの正多面体(プラトンの立体)を拡張する手段はいくつもあります。その中で、複数種の正多角形を容認し、面に星形正多角形を認め、面同士の交わりを認め、しかし、対称性は立方体や正十二面体などと同じに限ったものが、このプログラムで取り上げる一様多面体です。
星形正多角形は、星条旗にも見られる星形正五角形、つまり五芒星(pentagram)を思い浮かべればよく、一様多面体には星形正五角形の他に、星形正八角形(正八角形の三つごとの頂点を結んだもの)と星形正十角形(正十角形の三つごとの頂点を結んだもの)が出現します。
辺同士も面同士も交わっていますし、空間内で激しく捩れている立体もあるため、面に覆われた立体というよりは、一様多面体は正多角形の結びつきの様式、と言えます。
2. プログラムの起動と終了
polyhed(.exe)をダブルクリックしてください。一様多面体の立体表示ウィンドウ(polyhed)と、頂点の位置指定のための地図(map)、元になるシュワルツ三角形の選択ウィンドウ(selector)、一様多面体のリストであるウェニンガーのカタログウィンドウ(Wenninger's catalogue)の、4つのウィンドウが現れます。立体と地図は別々に最小化できますが、一方の[×]をクリックすると全て終了してしまいます。
3. ウェニンガーのカタログ
本プログラムはウェニンガーの著書「多面体の模型」に出ている、75種すべての一様多面体を表示することができます。カタログウィンドウのリストに立体名が並んでいます。リストから選び、「表示」ボタンをクリックすると立体ウィンドウに多面体が表示されます。番号は「多面体の模型」によるもので、番号が途中でとびとびになっているのは、星形などの一様多面体でない立体模型の番号を除いたからです。
4. 一様多面体の探索
プログラム開始時には斜方十二・二十面体と呼ばれる立体が回転しています。回転が気になる場合は、立体ウィンドウのメニューの「表示」「自動回転」を選ぶか、(polyhedかmapが選択されている状態で)[7]キーを押して止めてください。もう一度選ぶと回転が始まります。3Dアクセラレータが効いていないマシンでは、回転していると遅くてほとんど他の操作ができません(涙)。回転が速くて目が回る場合は、メニューの「タイマー」の中から長めの時間を選ぶか、[8][9]キーで調節してください。
立体を選ぶのは二段階になっています。
選択ウィンドウのリストには、座標計算の元になる球面三角形(シュワルツ三角形 Schwarz's triangle)が並んでいます。まずは簡単な「400」や「500」を選んでみてください。次にリスト下方の[対称]または[捩れ]ボタンをクリックします。「対称」は左右対称の立体、「捩れ」は非対称の捩れた立体です。「捩れ」で意味のある図形を表示させるテクニックは後述します。
この時点でキーボードの[←][→][↑][↓][Home][End]を押すと、地図上の現在地が移動します。画面中央の現在地を示すカーソルを自動車に見立てて、前後(上下)に移動させるには[↑][↓]、左右にハンドルを切るには[Home][End]、左右にカニ歩きさせるには[←][→]、とキーが割り当てられています。高速なマシンでは矢印キーを押しっぱなしにすると立体ウィンドウで万華鏡のような表示変化が見られます。地図ウィンドウのメニュー「表示」「自動回転」、または[Del]キーを押すと地図が横に自動回転し、万華鏡効果が見られます。
主要地点に即座に移動するには、選択ウィンドウの[中心点]と[回転]のボタンをクリックします。「中心点」はカーソル位置、つまり画面中央にそれぞれ球面三角の、Q: 頂点、C: 辺の対角二等分点、D: 内心、F: 傍心、E: 辺の延長線上の対角二等分点、を持ってくる指示です。「回転」は三角のどの辺に注目するかの選択です。
立体図形の手動回転が可能です。地図と同様に、キーボードの[J][L](左右)、[I][K](上下)、[U][O](旋回)を押して回転させます(自分が立体の上空にいるとして見てください)。長く押すと、リピート機能で速く移動できます。[M]キーで初期位置に戻ります。
5. 立体の表示について
「対称」の多角形は種類ごとに、紫(マゼンタ)、黄色、水色(シアン)に塗り分けられています(色は変更可能)。「捩れ」には余分な三角形(変形三角形)が出現し、灰色表示されます。基本的にはすべての色の多角形が表示されていますが、二角形になったり(つまり線分 = 見えない)、点につぶれたりすることもあります。多角形が同一平面上で重なる場合は、表示色がぶれることがありますが、異常ではありません。
光はほぼ正面からとほぼ裏から当たっていて、裏の照明の輝度は表の半分弱です。多角形の裏側が見えている場合は、面が暗く見えます。
6. 地図について
内心(中心点: D)をクリックすると、地図ウィンドウの中心部にひときわ明るい三角が現れます。これが座標計算の元になる球面三角(シュワルツの三角形)です。三角形といっても、球面上に張り付いているので、辺は外部から見ると曲線(大円)になっています。しかし、球面上の住人には直線に見える、ということです。
三角形の辺は延長され、球面を一周しています。結局、球面は8つの球面三角形に分割されます。これらの球面三角形は、明暗の表示で表現されています。
6.1 「対称」での操作
「対称」では、角の二等分線で色が塗り分けられています。つまり、頂点Aの内角二等分線と外角二等分線は頂点Aで直交しており、球面を4つの部分に分けます。対称な2つの月形が赤で彩色されています。同様に、頂点Bには緑、頂点Cには青が対応しています(よく見ないと分かりませんが)。赤と緑が同時に彩色されると黄色に、緑と青では水色(シアン)に、青と赤では紫(マゼンタ)に加色されています。
つまり、色の境界上の点は二辺からの距離が等しい点です。また、赤緑青の三色が集合している点は、内心や傍心であり、三辺からの距離が等しい点です。一様多面体として意味のある点は、内心などの距離関係が特別な点に地図カーソルを移動させるQ, C, D, F, Eのボタンで網羅されています。なお、点の命名は「多面体の模型」という本に準拠しています。
6.2 「捩れ」での操作
「捩れ」の場合は色分けの意味が異なります。ある点に対し、各辺を鏡と見立てた対称の位置に3点が取れ、その三点間の距離で色分けされています。三点間の距離が等しい場合、(球面)正三角形(上述の変形三角形)になりますから、その場合にのみ一様多面体としての意味があります。その点には、赤緑青の三色が集合しているはずです(以下、正三角点と表記)。400番や500番三角では自明ですが、他の球面三角の場合には、正三角点を内部に持つものと持たないものがあります。この座標は簡単には計算できないため、本プログラムではコンピュータの試行錯誤による探索ルーチンを用意しています。地図カーソルを正三角点の近くに設定したら、メニューの「表示」「自動追尾」をクリック、あるいは[Ins]キーを押してください(コツを要するものあり)。三角リストの左に位置のずれが計算されており、d = 0.000000と表示されたら自動追尾成功です。
あらかじめ計算された座標が登録されています。選択ウィンドウの[中心点]の[T]ボタンをクリックしてください(正三角点がない場合は内心に移動します)。
いわゆる変形多面体は、リスト中の400, 500, 510, 530, 540, 580, 531, 590, 581, 583, 512番(*が付いているもの)の球面三角内の正三角点に対応します。中には表面で多角形が重なっているために、パソコンによっては表示がぶれる立体がありますが、異常ではありません。
7. その他の操作
立体表示ウィンドウも地図ウィンドウもサイズ変更が可能です。[X]キーでウィンドウの選択が移動します。
立体表示ウィンドウの動きを速くしたい場合(描画スキップ)は、メニュー「加速」の中から「x2」や「x5」を選択します。キーでも操作でき、[5]キーで加速、[4]キーで減速になります。
立体の中心とカメラの距離は立体の外接円の半径の5倍に固定されています。しかし、ズーム効果で図の拡大はできます。[T]キーで画角が狭くなり(望遠)、[G]キーで画角が広くなります(広角)。望遠すると回転速度は自動的に減速します。
立体以外に、カメラの向きも変更することができます。[S][F]で左右に振り、[E][D]で上下に振ります。左右に傾けるのは[W][R]です。傾きは[V]でキャンセル、振りは[C]でキャンセルされます。傾ける速度は上述の「加速」で調節します。
[Y]キーを押し続けると表示開始位置(近位面)が立体に向かって後退するので、断面が見られます。逆に[H]キーで近位面がカメラに近づきます。[6]キーで近位面後退がキャンセルされます。
立体の表面色は変更できます。メニューの「表示」「面色」「A面色」などを選んでください。「表示」「A面表示」などを選ぶと、その面が消えます。[F1]~[F4]キーでも面の表示が変更できます。他の面の具合を見る場合にご利用ください。もう一度選択すると面が現れます。[F5]キーを押すと全面が表示されます。
ちょっとマニアックですが、シュワルツ三角形の折り返し具合を見ることができます。メニューの「表示」「シュワルツ」、または[2]キーを選んでください。300, 400, 500番以外は、あまり意味はなく、趣味の表示です。「表示」「多面体」、または[1]キーを押すと元の立体表示に戻ります。
[PgDn]キーを押すと地図上の細かな移動が可能となります。逆に、速く移動したい場合は[PgUp]キーを押します。移動速度は選択ウィンドウの左下にv 1.0000000などと表示されています。v 1.0なら約1度の角度が移動単位ということです。
地図ウィンドウのカーソルは消すことができます。メニューの「表示」「カーソル」を選べば、消したり表示したりできます。
地図ウィンドウのメニュー「表示」「統計」を選ぶと、シュワルツ三角の枚数、次行にA,B,C面の角数*枚数が表示されます。見た目が三角でも、隣接する頂点を共有していたり二周していたりすると、6(角形)と表示されます(矢印キーで頂点を少し移動させると分かる)。変形三角の数はシュワルツ三角の半数です。
選択ウィンドウの左下にはカーソルの位置(球面上のx, y, z)が表示されていて、入力することも可能です(数字を打って[移動]ボタンをクリック)。ただし、向きは指定できません。
選択ウィンドウは[×]ボタンのクリックで一時的に消すことができます。再表示するには、立体表示ウィンドウのメニュー「表示」「セレクタ」を選択します。
カタログウィンドウは[×]ボタンのクリックで一時的に消すことができます。再表示するには、立体表示ウィンドウのメニュー「表示」「カタログ」を選択します。
8. 地図プログラム (map)
地図ウィンドウの作りが凝りすぎに見えた方は、お目が高いです。このプログラムはもともと独立して開発されたもので、その目的はすべての一様多面体の数え上げでした。
[図法]と[縮尺]は地図の表示法の選択です。「縮尺」が効くのは、平射図法または心射図法のみで、正射図法には効果がありません。図法は[F7][F8][F9]キー、縮尺は[F11][F12]キーでも変更できます。
平射図法では大円、つまり球面上の直線は円または直線で表現されます。また、球面上の円は円に写像されます。角度が保存される等角写像の一種です。
心射図法では、最大でも球面の半分しか表示されません。大円は直線に写像されます。つまり、球面上の最短距離が直線で表されます。角度は保存されません。[捩れ]で中心点[C]を選ぶと色の円(ぎざぎざですけれど)が出現するのが面白いと思います。
色の境界がぎざぎざなのは球面を小さな三角形で分割して表示しているからです。高速に表示する目的で解像度を落としました。数学的には滑らかな円や楕円などです。
9. 単純に表示できない一様多面体
本プログラムで関心のある75個の一様多面体のほとんどは、[対称]で球面三角の頂点(Q)、辺の対角二等分点(C)、内心(D)を指定する、あるいは[捩れ]で「*」の付いた三角を選ぶと見ることができます。しかし、8個はそのような操作では表示できません。最後の一様多面体を除く7個は内心を利用し、ある一面を消すと見ることができます。
86番 401 D-BC B面
(401番三角を選び[対称]、[D]をクリック、B面を非表示に。以下同様)
103番 403 D-BC B面
74番 501 D-BC B面 または 530 D-BC B面
90番 560 D-AB A面 または 521 D-BC B面
96番 502 D-CA C面 または 580 D-BC B面
101番 511 D-BC B面 または 590 D-BC B面
109番 583 D-CA C面 または 533 D-CA C面
カタログウィンドウでは、番号の後ろに星印(*)が付いています。こうした立体を選択すると一部の面の表示が消えますので、他の操作を続ける場合はメニューの「表示」「B面表示」などで再表示させるなどの注意が必要です。
カタログウィンドウの番号の後ろにマイナス(-)が付いている立体は、芸術的見地から、正確な座標から頂点を一万分の一ほど地図上でずらせた立体です(カタログは参照のための機能です)。これらの立体ではいくつかの多角形が同一平面上にあって、正確に表示するとぶれて見えることがあります。パソコンの3Dシステムによっては、それでも多少ぶれます。
超拡大表示などで正確な表示が必要な場合は、選択ウィンドウの左上の表示の2行目を見て、たとえば「C-BC」なら「中心点」のCボタン、「T-AB」ならTボタンなどとクリックします。No.119多面体の場合は、[3]キーを押してください。
「多面体の模型」に出ている最後の多面体、No.119は通常では表示できません。これは他から孤立した変形一様多面体で、専用の位置計算が必要です。したがって、本プログラムでは、姿を見るだけになってしまいました。
[3]キーを押すとNo.119多面体が表示されます。元に戻すには、[1]キーを押します。
▼ さらに詳しくは、developフォルダ内のReadMeD.txtをご覧ください。
▼ バージョン履歴
v1.0 (2002-06-28) これで完成、と思って発表したバージョン。
v1.1 (2002-06-30) 付録の入れ忘れに気づき、急遽差し替えたバージョン。誤植も修正。
v1.2 (2002-07-13) 内部タイマーの扱いを変更。Win9x/Meで動きがよくなったはず。
メニューでしか操作できなかったいくつかの操作にキーを割り振る。
ReadMeD.txtに探索のヒントの一項目追加(第14項(現第15項))。
v1.3 (2002-07-23) カタログウィンドウで表示した場合の、色ぶれ防止策をとった。
選択ウィンドウを少々コンパクトにした。
v1.4 (2002-08-03) 一部システム上での地図表示の不具合を修正。
シュワルツ三角の頂点方向を多角形の表と定義。
▼ 参考文献
1) MJ ウェニンガー。茂木勇、横手一郎、訳。多面体の模型―その作り方と鑑賞―(Polyhedron Models)。教育出版株式会社、1979。
2) HSM Coxeter. Regular Polytopes. Dover Publications inc, New York, USA, 1973. ISBN 0-486-61480-8.
3) PR クロムウェル。下川航也、他訳。多面体(Polyhedra)。シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社、2001、ISBN 4-431-70925-8。
4) 関口次郎。多面体の数理とグラフィックス、ザルカラー多面体とMathematica。牧野書店、1996。
5) 宮崎興二。かたちと空間。朝倉書店、1983。
2002年8月3日
岡田好一 (Yoshikazu OKADA)
e-mail: pfb00710@nifty.com