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バイヤーズガイド:Mac OS搭載機 デスクトップ型の動向 [Saturday, October 18, 1997 星野 純=日経MAC] 97年7,8月号でMac OS搭載機の状況をまとめてから,市場に出回っている製品のラインナップ自体には大きな変化はない。基本的にコスト・パフォーマンスの高い製品のボリューム(20万〜30万円)も変わっていない。最も大きな“事件”は,後述するAppleの互換機戦略の方針変更だ。 型落ちのミッド・レンジ機,コンシューマー機のお買い得感がアップ 前回に習い,参考として61ページに9月下旬時点のコスト・パフォーマンス相関図を掲載した。この図は,ハードウエアの装備や,バンドル・ソフトなど“付加価値”の部分をまったく考慮していない。はっきり言って少々乱暴なものだが,大ざっぱに各機種のコスト・パフォーマンスの傾向をつかむことはできる。 9月に新CPUを搭載したPower Mac 9600/350,同9600/300,同8600/250の3機種が登場し,その他の機種が型落ちの格好となったため,全体に低価格化している。 今お買い得感が高いのは,Appleならバンドル・ソフトの豊富なオール・イン・ワンの「Power Mac 4400/200」,ミッド・レンジの「同7300/180」,「同7600/200」,1世代前のハイエンド機「同9600/233」,アキアなら「MicroBook Power 604e/233SP」,Motorolaなら「StarMax 400/200T」,UMAXなら「Pulsar 2330/VR」,ラディウスなら「SUPERmac J700/225AV」といった辺りだ。特に,装備は多少異なるが,Pulsar 2330VRは他の604e/233MHz機に比べ10万円ほども安く,今最もお買い得な機種の1つだ。 PowerPC 603e/180MHz搭載のコンシューマー向け低価格機でも,かなり値ごろ感が出てきている。Appleの「Performa 6410」,Motorolaの「StarMax 3000/180D」,UMAXの「Apus 3000/180」,ラディウスの「SUPERmac C500/180」といった機種は,同じボード・デザインで同等スペックのマシンだが,今や実売15万円程度で手に入る。 これらの機種(StarMaxを除く)はバンドル・ソフトも豊富なので,「とにかく速くなくては」という場合以外は,始めの1台として意外にお買い得である。 また下表には入っていないが,最近StarMaxベース(604e/200MHz)のショップ・ブランド機が激安で販売されている。15万円ほどの製品もあるので要チェックだ。 互換機—いまが買いどき このところ,最も劇的な変化あったのは,製品ラインナップを賑やかにしてきた互換機市場だ。Appleは9月,主要互換機メーカーの1つである米Power Computing社のMac OS機部門を買収し,これまで進めてきた互換機戦略に事実上の終止符を打った。 この衝撃的なニュースを皮切りに,“PowerPC連合”の同志,米Motorolaとの間のMac OSライセンス交渉も決裂し,CHRPも含めた“Mac OS互換機”市場そのものの先行きが,極めて不透明な状態になっている。 では,互換機を買うのはもはや得策ではないのだろうか?そうとばかりは言えない。互換機とは言っても,もともと実質的な差は価格設定と“リンゴ・マーク”くらいである。 現在Mac OS搭載機は,Appleの認定テストを経た3種類のボード(Apple製のミドル〜ハイエンド向けの「Tsunami」,コンシューマー向けの「Alchemy」と,AlchemyをベースにしたMotorola製の「Tanzania」)がベースとなっており,製品の互換性に問題はない。加えて,メーカー独自の付加価値でコスト・パフォーマンスは高い。 むしろこれから,予想,そして期待されるのは,将来性に対するイメージ・ダウンから,投げ売り状態で価格が大幅に下落し,結果としてさらに買い得感が増すことだ。 9月下旬時点での価格調査では,互換機の状況にまだそれほど大きな影響は現れていない。狙い目はこれから年末辺りと思われる。 ただし,これから互換機を購入しようという場合,OSのアップデートという留意点がある。現時点で,製品にMac OS 8Jを付属して出荷できる権利を持っているのはユーマックスジャパンのみ。今後将来に渡って互換機メーカーが最新のMac OS(例えば今ならばMac OS 8)をバンドルして製品を出荷できるという可能性は低い。 Mac OS 7.6を所有していれば,Mac OS 8に有償(1万2000円)でバージョンアップ・サービスを受けられるが,逆に言えば互換機を購入すると,今後は必ず最新OS分のコストが加わってしまうということになる。 新機種のポイントは“G3チップ”と新しい2次キャッシュ・システム 現在の最上位機種グループは,300MHz超の“G3(第三世代)”PowerPC 604e(開発コード名「Mach 5」)を搭載した「Power Mac 9600/350」と「同9600/300」,「同8600/250」。9月に登場したばかりの製品だ。CPU自体の高速化に加えて,「インライン・キャッシュ」という新しい2次キャッシュ・システムを搭載したことで,さらにパフォーマンスを向上させている(97年9月号MacScope「ハイエンド・ユーザー向け高速マック登場」参照)。 今後新機種のスペックでポイントとなるのが,このG3チップと新しい2次キャッシュ・システムだ。G3チップには,前述のMach 5と呼ばれる高クロック周波数のPowerPC 604eと,「Arthur」と呼ばれるPowerPC 603e後継の「PowerPC 750」の2種類がある。 現時点では,Arthurチップを搭載した機種はAppleから登場しておらず,国内でも販売されていない。米国では,PowerTools社やPowerComputing社といった互換機メーカーが搭載製品を発表している。また,後述するサード・パーティー製のPCIマック用PowerPCプロセッサー・カードも,Arthurを搭載した製品が登場している。 2次キャッシュ・システムには,Appleが採用したインライン・キャッシュ方式と,「バックサイド・キャッシュ」方式がある。共に,マザー・ボード(システム・バス)上にCPU用の2次キャッシュ・メモリーを置くこれまでの「ルックアサイド・キャッシュ」方式と異なり,CPUと2次キャッシュの間のアクセス速度を高速化する。 インライン・キャッシュは,システム・バスとCPUの中間に2次キャッシュとCPU側,システム・バス側の同期を取る専用コントローラーを置く。CPUと2次キャッシュ間のアクセス速度をクロック周波数の1/2程度まで高速化できる。このやり方は従来のCPUと互換性があるため,例えば,UMAXは同社のPowerPC 603e搭載機「Apus」シリーズ向けに追加オプションとして出荷している(97年8月号新製品フラッシュ参照)。 一方,バックサイド・キャッシュは,CPUにキャッシュコントローラーを内蔵し,CPU—2次キャッシュ間を専用バスでつなぐ。システム・バスとの同期を取る必要がないため,アクセス速度をCPUのクロック周波数まで引き上げられる。ただし,当然CPUが対応している必要があり,現時点ではArthurチップでしか利用できない。今後Arthur搭載機では標準装備となるだろう。 9600/350は現時点の最速機種だが,Appleからこの年末にも登場すると言われているArthur+バックサイド・キャッシュ搭載次世代機への“つなぎ”である感が否めない。店頭の在庫状況も品薄が続いている。「今最速機が欲しい」というのでなければ,様子を見た方がいいだろう。 “Arthurチップ搭載のプロセッサー・カードでパワー・アップ”も手 G3 PowerPCのような最新CPUは,現状ハイエンド機種にのみ搭載されている。だが,そのためだけにマシンを買い替えたくはない,というユーザーも多いだろう。また,互換機市場が先行き不透明な現状では,今後の活発な新機種投入ももはや期待薄だ。 そんなPCIマックのユーザーには,最新のPowerPCプロセッサー・カードによるアップグレードという手がある。PowerPC 750を搭載した米Newer Technology社の「MAXpowr Pro」シリーズ,インタウエアの「BOOSTER 750」シリーズなどの製品が登場しつつある。 これらの製品は,前述のバックサイド・キャッシュを装備しており,劇的なパフォーマンス向上が望める。 実際,本誌97年9月号の新製品フラッシュでNewerのMAXpowr Proのベンチマーク・テストを行ったが,Power Mac 7500/100に装着したところ,最上位のPower Mac 9600/350に匹敵するスペックとなった。 極端な話,新規購入でも,型落ちの機種を安く購入して,こうしたカードで最上位機種と同等にするというのも手である。例えば新品なら,21万円程度のPower Mac 7300と15万円程度のArthurカード,合わせて36万円程度で最上位機種に迫るマシンが手に入るのだ。 記事目次/前のページ/次のページ この記事は、日経MAC97年11月号(97年10月18日発行)掲載記事の抄録です。 |
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