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種子島にて:インターネットというメディア
ストリーミングとQuickTime VR

[Friday, February 20, 1998 松浦 晋=日経MAC]

(18k)
種子島宇宙センターのプレス・センターにて
ダイアルアップ・ルーターでインターネットと接続している

やっと準備が整ったのでここに告知します。

明日2月21日午後3時から5時半の間,種子島にある宇宙開発事業団(NASDA)種子島宇宙センターより,H-IIロケット5号機の打ち上げ状況をReal Videoを使い,生中継します。打ち上げの時刻は午後4時55分が予定されています。

エンコーディングにサブノート・パソコンを使うのでどうしてもCPUパワーが足りず,画像は秒1コマ程度の紙芝居になると思いますが,ラジオ程度の質の音声で打ち上げ現場の生の様子をお届けできると思います。

今回当編集部としても初めての試みなので受信状態などをメールでレポートして頂ければ幸いに思います。

(おかげさまでストリーミング中継は見事に成功しました。<98.2.21>)


(14k) 現在,種子島宇宙センターのプレス・センターでこの原稿を書いている。目的は個人が持ち歩ける程度の装備でストリーミング,そしてQuickTime VRムービーを現地で作成し,インターネットで公開することだ。ここまで取材でつないできた当連載は,この種子島での実践をもって終わることになる。

●写真 ロケットをおさめた射座点検棟(PST)という建物

私事で恐縮だが実は私はここに来るのは初めてではない。かつて航空宇宙関連のニューズレター誌に在籍していた記者はその後も独力で宇宙関係の取材を進め,昨年には「H-IIロケット上昇」(日経BP社:http://www2.nikkeibp.co.jp/books/mecha_books.html)という本を出版した。

またインターネット上では一昨年より「SpaceServer」(http://www.bekkoame.or.jp/~smatsu/)という宇宙開発関係の情報ページを運営している(残念ながら2月に入ってからは当企画のために日本中を駆け回っているので更新が停止している)。過去2年間,このホームページを使ってロケットの打ち上げを舞台に「インターネットを使った少人数によるメディアの可能性」を色々と模索してきた。実践の記録はSpaceServerにそのまま掲載してあるので,興味のある方はどうぞ。

不可能が可能に

その中で最近までどうしても個人レベルでは手が出ない情報の伝達形態があった。1つはビデオ画像のストリーミング,もう1つがQuickTime VRに代表されるバーチャル・リアリティ技術だ。ストリーミングには太い専用線と専用のサーバーが必要,QuickTime VRについては最近まで簡単にVRムービーを作成できるソフトが存在しなかった。ところがここにきてそれぞれの状況が変わってきている。

まずストリーミングだが,レンタル・サーバーを開設するプロバイダーが出てきた。今回はドリーム・トレイン・インターネット(DTI)の場合,1ストリームを1日借りる料金が1000円だ。100ストリーム,つまり同時に100人がアクセスできる権利を1日借りると10万円となる。個人でも手の出ない額ではない。

その気になれば個人でも,例えば結婚式や入学式や運動会などなど,個人的な行事の中継をインターネットでできるようになったのだ。それを見る人がいるかどうかはまた別だが。

今回は種子島のプレス・センターにISDN回線を引き込んでダイアルアップ・ルーターで鹿児島のDTIアクセス・ポイントに接続してストリーミング・データをサーバーに流す。同時アクセス数は50だ。とにかく初めてのことで,「とにかく現場からのストリーミングを実現すること」に重点を置いているので,アクセス数は比較的少なく抑えてある。

QuickTimeVRは,最近になってアップルから「QuickTime VR Authoring Studio」という簡単にVRムービーを作成するソフトが出て,初めて今回のような報道現場でのVRムービー作成が可能になった。

今日,試しにデジタル・カメラで撮影した画像でVRムービーを使ってみたら簡単に作れてしまった。以下に今日作成したムービーを掲載する。おそらく報道目的で現場で作成・公開されたムービーとしては日本で初めてではないだろうか。

●ムービー1
ロケットの組立棟の屋上から見おろした景色(242K)——右方ではすでに新しいロケット「H-IIA」の発射設備の建設が始まっている
http://www.nikkeimac.com/editorial/smatsu/vab.mov

●ムービー2
打ち上げ作業を監督するブロックハウスの中(211K)
http://www.nikkeimac.com/editorial/smatsu/bhouse.mov

残念ながらこれらのVRムービーは現行のQuickTime Plug-in1.1.1では見ることができない。ヘルパー・アプリとして「ムービープレーヤー2.5」以上を使い,見て欲しい。

QuickTime VRでは素材の撮影をきちんとやることが質の高いムービーを作成するためには必要だ。しかしどうやらそこそこの質のVRムービーでよいのなら,さほど撮影の際に神経質にならなくとも良いようだ。

さて,21日の早朝,ロケットが建物の中から姿を現す。おそらく昼前にはそのVRムービーをアップすることができるだろう。

●ムービー3
姿を現したH-IIロケット5号(758K)<98.2.21>
http://www.nikkeimac.com/editorial/smatsu/h2.mov

そして午後3時からはReal Videoによるストリーミングを開始する。是非ともご覧になっていただきたい。

(98.2.20 種子島宇宙センターのプレス・センターにて=松浦 晋)


※この記事のご感想を,smatsu@rr.iij4u.or.jp(松浦)までお寄せください

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This page was last updated on Wed, Apr 15, 1998 at 8:47:13 PM.
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