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Power Macintosh G3は80%のユーザーに
満足してもらえる出来だと思います

[Monday, November 17, 1997 シリコンバレー・オフィス発、山田 剛良=日経MAC]

(3250bytes) Philip Schiller氏
米Apple Computer社Vice President
WW Product Marketing

米Apple Computer社は97年11月10日,待望のニューマシン「Power Macintosh G3」シリーズを米国で発表した(関連記事=「Apple,G3搭載機を発表」)。高速アクセスが可能なバックサイド・キャッシュ機能を持つPowerPC 750(PowerPC G3)を搭載し,完全に新設計のマザーボードを採用した野心作。出荷当日には米国で大きなイベント(関連記事=「Apple,直販と受注生産を開始」)を開催した。イベントでは自らマシンのデモを買って出たWW Product Marketing担当のVice President,Philip Schiller氏にPower Mac G3シリーズと今後のマックについて聞いた。

●Power Macintosh G3シリーズはどのようなユーザーを対象にしているのですか。

ユーザーの中で一番メジャーな層です。大まかな言い方ですが80%のユーザーに満足してもらえる出来だと思います。残りの20%は例えば,大量のメモリーや6基のPCIスロットを必要とするようなごくハイエンドのユーザーです。彼らを除いたほとんどのユーザーは,Power Mac G3シリーズのパフォーマンスと機能に満足するでしょう。

●Power Mac G3シリーズのマザーボードは完全に新設計ですね

PowerPC 750を搭載し,バックサイド・キャッシュ方式を採用しました。2次キャッシュへMPUの動作周波数の半分の速度(2:1)でアクセスします。(PowerComputung社は97年8月に動作周波数と同じ速度でアクセスする互換機を発表しているが),私に言わせれば彼らは正直ではなかった。技術的には1:1でアクセスできる可能性は確かにありますが,IBM社もMotorola社もその状態で動作するPowerPC 750をまだ出荷していないからです。だから彼らは量産できなかったと思う。量産ベースで可能な技術ならAppleは必ず採用します。

メモリー・バスの速度は66MHzです。主記憶に採用したSDRAMは確かにもっと速い速度で使えますが,すべてのユーザーにとってこれで十分に高速だと思います。3次キャッシュの搭載は試作段階で検討しました。ですが,ほんの数%しかパフォーマンス向上の効果がないので,高価なキャッシュ・メモリーのムダだと分かりました。

実はPower Mac G3シリーズはCHRP(PowerPC Platform)の技術(関連記事=「News Eye:CHRP(チャープ)」)を応用して作られています。というのは,OSからハードウエアに依存する部分を完全に分離したからです。また,メモリー・コントローラーやI/O(入出力)関連の周辺チップはCHRP用を使っています。ただし,誤解しないでほしいのですが,CHRP規格に準拠して作ったわけではないので,Windows NTは動作しません。

●DVD-ROM,IEEE1394(FireWire),USB(Universal Serial Bus)といった技術を採用しなかったのはなぜですか?

良い質問ですね。DVD-ROMについては2つの理由があります。

まず互換性の問題があります。QuickTimeチームは先週,Intel社の会議に出席しました。今後のDVDについて話すためです。Windows環境におけるDVD技術の実装はとても貧弱です。ちょうどオーディオの実装と同じ状態になりつつあります。複数の異なる仕様のカードが乱立し,それぞれに互換性が全くない状態です。DVDをパソコンに搭載する場合,MPEGのデコード/エンコード・チップなどが必要になりますから,放っておくとオーディオと同じ状態になってしまう。それではディベロッパーに見放されてしまいます。

我々は今,DVDをパソコンに搭載するアーキテクチャーを作成しています。我々のアーキテクチャーを使えば,アプリケーションは簡単に互換性を提供できる。ユーザーはマックでもWindowsでも,DVDビデオやDVD-ROMを再生できる。今後登場するDVD-RAMとも互換性を持たせてありますから,ユーザーはDVDビデオを見るのと同じくらい簡単にDVDを制作できるようになるのです。

2番目の理由としてAppleのDVD戦略が挙げられます。今,QuickTimeチームを中心にして包括的なDVDの戦略を作っています。美しく統合されて良くできたインタフェースを提供するつもりです。ちょうどCD-ROMの時にそうしたように。

私はCD-ROMコンピューティングはAppleが作ったと考えています。同じことをDVDでもやろうと思います。PCのベンダーは寄ってたかって,この環境をダメにしてしまう。AppleはDVDが98年以降,重要かつ安価になっていくと考えています。だから,納得のいくアーキテクチャーを使いたいのです。下手な発言をして開発チームの足を引っ張りたくないので,今は98年にDVDを提供します,としか言えません。

IEEE1394(FireWire)についても同様の理由で今は98年に製品に搭載する,としか言えません。IEEE1394とDVDのユーザーはかなり重なっていますが,同一ではありませんから,同時に提供する必要はないでしょう。

USBは3番目に重要なテクノロジーです。我々は98年にI/OをUSBに移行しはじめる考えです。ただ,ユーザーが過去の資産をいかせるように,バックワード・コンパチビリティーの方法は何らかの形で提供します。

●PCI拡張スロットの高速化はあり得ますか? AGP(Accelerated Graphics Port)のサポートはどうですか?

AGPについてはメリットが少ないと思います。AGPが効果を発揮するのはグラフィクス・カード——しかも3Dのテクスチャーを主記憶に置く場合だけだからです。通常のグラフィクス・カードなら現在のPCI拡張スロットで十分です。

ただ,PCI拡張スロットの64ビット/66MHz化については検討中です。ハイエンド・ユーザーがより高速な拡張スロットを求めていることを,Appleは認識しています。

●今後はPowerPC 604eシリーズの採用はやめるのですか? マルチ・プロセッサー機はどうですか? また,昨年アナウンスされていたオランダPhilips社の「TriMedia」グラフィックス・アクセラレーション・チップの採用はどうなったのですか?

(PowerPC 604eにあって,PowerPC 750にない特徴の1つがマルチプロセッサーのサポートである。)現在のマルチプロセッサーの適用範囲は残念ながら大きくない。G3(PowerPC 750)の技術のように処理全般を高速化するものではないので,多くのユーザーには関係がない。これが現実です。Appleはマルチ・プロセッサーの開発は続けますが,製品の計画についてはコメントできません。

PowerPC 604eを採用したPower Mac 9600シリーズは現在も販売中ですし,98年も継続して販売します。ただ,長期的に見ると今後は,我々の製品のほとんどがPowerPC 750搭載することになるでしょう。

TriMediaチップの利用法は依然として検討中ですが,適当な用途を見つけられていません。96年は確かにTriMediaチップの必要性をはっきりと感じていましたが,現在はそうは思っていない,ということです。私に言えるのはそこまでです。

(聞き手=山田 剛良,シリコンバレー・オフィス)

(注) IEEE 1394=IEEE(米電気電子技術者協会)が標準化した高速シリアル規格。ビデオのリアルタイム伝送などを前提としており伝送速度は最大50Mバイト/秒。規格策定時点からAppleが主導的役割を果たした。96年米Microsoft社が公表した次世代ハードウエア仕様「PC 97」ではIEEE 1394インタフェース装着が必須と規定されている。

USB=Universal Serial Busの略。米Intel社とMicrosoft社が主導して規格化した。キーボードやマウスなどを接続するためのシリアル・バスで,最大伝送速度は12Mビット/秒。

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This page was last updated on Wed, Apr 15, 1998 at 9:21:46 PM.
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