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Virtual PCは 単なる命令コード翻訳機じゃないんだ [Wednesday, November 19, 1997 シリコンバレー・オフィス発、山田 剛良=日経MAC] Virtual PC is lots more than just a translater.(Eric) ●Virtual PCのアイデアはどこから来たんですか? Chad Walters 元々のアイデアは「Speed Emulator」*1から来たんだ。僕はVirtual PCの前にSpeed Emulatorの仕事をしていて,68KをPowerPC上でエミュレーションする技術を学んだ。「コイツを応用するとなにができるかな?」と考えたのが,Virtual PCのスタートだった。だから,2つのソフトの内部はとても似ている。 Virtual PCのコアはDynamic Recompilation Emulator(DRE)*2だ。これはSpeed Emulatorでも使っていた技術。僕はConnectixにいて,DRE(技術を使ったSpeed Emulator)を開発したんだけど,当時AppleでDREを開発していた*3のがEric。彼はあれをたった1人で書いたんだよ。そんなわけで僕は前から彼のことを優秀なエンジニアだと知っていた。だから,Virtual PCのプロジェクトがスタートする前から,彼に一緒にやろうとずっと誘っていたんだ。 Eric Traut 僕は元々大学でコンピューターのアーキテクチャーを学んだ関係で,MPUのエミュレーションにはとても興味があった。AppleでDREの開発を任されたのも,そのような経緯があったから。で,ChadのプロジェクトはAppleでやったDREよりもっとやりがいがありそうだ,と考えたんだ。 ●どの辺にやりがいがありそうだった? Eric Appleの68KエミュレーターはMC68LC040をエミュレートする*4。だから浮動小数点演算ユニットのエミュレーションを省ける。もう1つ,いずれにせよマック上で動かすから,MPU以外の周辺デバイスは共通になる。 一方,Virtual PCは単なる命令コード翻訳機じゃない。Power Mac上でPCをエミュレートするわけだから,浮動小数点演算も必要だし,ビデオ・カードやポート類のエミュレーションも必要になる。Appleでの仕事より数段難しいことは間違いないと思った。
*1 Speed Doublerは,Speed Emulator,Speed Disk,Speed Copyという3つのコンポーネントからなる。Version 2.0から見かけ上1つのコントロールパネルに統合された。Speed Emulatorは68Kエミュレーションを高速化するコンポーネント。 *2 DREは68KコードをPowerPCコードに変換する際に,1.ある程度まとめて変換する,2.変換した結果をキャッシュしておき,2度目以降は変換済みのコードをキャッシュから読み出して実行するという手段で高速化を図る。 *3 Ericが書いたDREは,PCI Power Mac専用のSystem 7.5.2から採用された。第一世代Power Mac(NuBus Power Mac)向けのSystem 7.1.2に搭載された最初の68Kエミュレーターは,DREではなく命令ごとに逐一コード変換を行う方式だった。これは実行速度を犠牲にしても互換性を重視したため。ちなみにこちらはGary Davidian氏というプログラマーがやはり1人で書いた。Davidian氏はその後AppleからPowerComputing社に移り,97年9月のAppleによるPowerComputing社の買収後,独立してコンサルタントになった。ちなみにDavidian氏はEricの師匠だという。 *4 MC68LC040は浮動小数点演算ユニット(FPU)を内蔵していない。マックでは比較的低価格のLCシリーズで採用された。Quadraシリーズなど上位機種はFPU内蔵の68040を採用していた。 記事目次/前のページ/次のページ この記事は、日経MAC97年12月号(97年11月18日発行)掲載記事の抄録です。 |
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