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「シンプルさへのこだわり。それがiMac」
[Wednesday, July 1, 1998 シリコンバレー支局,山田 剛良=日経MAC]

tom.jpg (4120bytes) Tom Bodger氏,
米Apple Computer社
Product Manager for iMac

●「iMac」は他のエントリー向けパソコンと大きく違ってますね。フロッピー・ディスクや拡張スロットがなかったり,外部インタフェース・ポートの数が極端に少なかったりする。これにはどのような意図があるのですか?

iMacの開発を始めたのは11カ月ほど前です。我々にも1000ドル・パソコンが必要だろう,という考えからです。iMacは1299ドルですがモニターが付いてますから,実際は999ドル・パソコンだと考えています。

開発するにあたり,我々はライバルとなるコンシュマー向けのPC(PC/AT互換機)を研究しました。それで,多くのライバルが3つの問題を抱えていると考えました。

それらは遅く,醜く—まぁこれは私見ですが—とても複雑でした。我々は,こういう問題のないマシンを出そうと思ったのです。すなわち,高速で,かっこよく,シンプルなマシンです。

ライバルたちは価格の製品を下げるために,古いテクノロジーを使っています。しかし我々はコンシュマー製品にこそ速度が必要だと考えました。マルチメディア・タイトルやゲーム,エデュテインメントなど,コンシュマーが好むソフトは例外なく高いCPUパワーを要求します。今後登場するソフトはもっとその傾向を強めるでしょう。

コンシュマーが永く使える製品にするには速度に妥協はできませんでした。それが我々がバックサイド・キャッシュの採用を決めた理由です。ご存じのようにバックサイド・キャッシュ用のメモリーはとても高価なので,我々にとっては大きな投資でした。

スタイルになぜこだわったか? 自宅の部屋に置くパソコンはかっこいい方がいいと思いませんか? 我々はそう思いました。だからiMacが実用的でスタイリッシュであるように注意したのです。

最後はシンプルさです。ご存じのようにiMacは拡張スロットやフロッピー・ディスクを持ってません。これはシンプルさを狙ったからです。我々の調査では市場の多くのユーザーは,これらを実際には使っていないのです。もちろん必要としている人々はいますが,彼らには「Power Mac G3」を提供できます。iMacのターゲットはPower Mac G3では満足しないヒトなんです。

フロッピーの用途は一般的に言って,次の3つがあると思います。バックアップ,ソフトのインストール,データの持ち運びです。iMacは4GBのハード・ディスクを搭載するので,もはやフロッピーによるバックアップは不可能です。ソフトのインストールは多くの場合,CD-ROMがあれば済みます。データのやり取りはネットワーク(インターネット・メールなど)を使うケースの方が多いでしょう。また,「zipドライブ」や「SuperDisk」のようなフロッピーに替わる新しい技術も登場してきました。もはや古い技術に固執する必要はないと思います。

●オール・イン・ワンにしたのはなぜですか?

imac.jpg (8k)オール・イン・ワンのきょう体にこだわったのも,シンプルさを追及したからです。我々はiMacを世界で一番簡単にセットアップできるパソコンにしたかった。実際,iMacは箱から出して,キーボードとマウス,電源ケーブルをつないでスイッチを入れればセットアップ終わり。5分とかからないでしょう。

セットアップだけでなく購入も簡単にしたいという理由から,iMacはコンフィギュレーションを1つに絞って販売します。Apple StoreでもあえてBTO(Built to Order)方式は取りません。「iMacをください」というお客様が,余計なことで頭を悩ませる必要ないようにしたいからです。

オール・イン・ワンにしたもう1つの理由は設置面積を小さくするためです。家庭のユーザーや学校の人々はコンピューターに多くのスペースを割きたくないのです。日本でもそうですね。iMacのサイズは高さ14.8×幅14.6×奥行き16インチ(37.6×37.1×40.6cm)で,重さは37ポンド(約16.8kg)です。これならどこにでも好きなところに置ける。例えばキッチンや寝室などにパソコンを置く,という選択肢が生まれる。

●きょう体に透明なグリーンを使ったのはなぜですか?

まず,あれはグリーンではなく青です。オーストラリアにある有名な海岸にちなんで「Bondai Blue」と名付けました。白い部分は「Ice」と呼んでいます。

透明な素材を選んだのは「eMate」の経験から。透明な素材には人を引き付ける力がある。触ってみたくなるんですね。また「コンピューターっぽさ」を消す効果がある。それを踏まえて,デザイン・チームがいろいろな色の組み合わせを試し,最終的に「透明な青と白」を選んだわけです。

私たちはiMacをできるだけ安価に提供したいし,先ほど言ったように販売方式もシンプルにしたい。だから(要望があるのは理解しているが)カラー・バリエーションは設けません。

●グラフィック・チップにカナダATI社の「3D Rage II」を採用したのはなぜですか? 最新のPower Mac G3ではすでに最新の「3D Rage Pro」を使っているのに。

コストの問題です。3D Rage Proは確かに良いチップですが,3D Rage IIより高価です。しかも能力を生かすには2MBのビデオRAMでは不足で最低でも4MBが必要になる。この2つの理由からiMacに採用するにはコストが高すぎるのです。

●56kbpsではなく33.6kbpsモデムを採用したのはなぜ? IEEE1394(FireWire)の搭載や液晶ディスプレイの採用は検討しなかったのですか

IEEE1394と液晶ディスプレイはこのクラスの製品に搭載するにはまだコストが高過ぎます。例えば,液晶パネル単体でiMacと同じくらいしますからね。IEEE1394については,現時点ではちょっとオーバー・スペックだとも思います。

モデムのお話ですが....。我々がまだiMacを出荷していない事実をお忘れなく。つまり,まだ仕様変更の可能性があるという意味です。まぁ当分の間,我々に注目していてください(笑)。

●外部I/OとしてUSBを採用しましたね。USBキーボードはADBキーボードと同様に使えるのでしょうか。また周辺機器はiMac発売と同時にそろうのでしょうか

iMacのUSBキーボードにはパワー・オン・キーもあるし,動作はADBキーボードとまったく同じです。PC/AT互換機用に販売されている製品も多くはそのまま使えると思います。ただし,Appleがテストするわけには行かないので,他社製品の保証はできかねますけれども。

周辺機器についてはすでにいくつかのメーカーが出荷に名乗りをあげています。iMac出荷と同時に一通りの周辺機器がそろうのが目標なので,そうなるように努力はしています。

USBを採用した理由はいくつかあります。高速である,一度にたくさん(最大127)のデバイスが接続できる,ホット・プラグ・アンド・プレイが可能,周辺機器に電力を供給できる。業界標準でサード・パーティーが参入しやすい,といったところが主な理由です。

●iMacのターゲットはだれですか?

一番に挙げられるのは,すでにマックを持っている人たちです。全世界で1000万以上のマックが家庭で使われています。彼らの多く(40%以上)は4年以上前の古いマックをいまだに使い続けている。アップグレードに値する魅力的なマシンをAppleがリリースしてこなかったからです。iMacはそういうユーザーにようやくアピールできる。

もちろん,新しいユーザーやWindowsマシンからの乗り換えも見込んでいます。ビジネス・ユーザーもあり得るでしょう。だって実際は,多くの「ビジネス」ユーザーはコンシュマー製品を購入していますからね。iMacのスペックは彼らにも十分アピールすると思います。

●Steve Jobs氏が就任して以来,Appleは未出荷の新製品に関してアナウンスすることを謹んできましたね。iMacに限って出荷の3カ月以上も前に発表したのはなぜですか?

iMacを発表したのは5月6日は「WWDC 98」(Appleの年次世界開発者会議)の1週間前でした。我々はWWDCに集まる開発者に我々の将来計画を明確に見せたかった,というのが理由の1つです。

Appleが本気でコンシュマー市場に復帰する計画を明らかにすることで,開発者に意欲を持ってもらえると考えた。また,iMacはUSBなど新しいI/Oを採用するので,開発のリードタイムを設ける必要があった。

同時に5月は,ディシジョン・メーカー(会社の方針を決める人)が次の年度の計画を考え始める時期です。彼らにAppleのコンシュマー製品計画をできる限り早く知らせる必要があった。

この2つが発表を前倒しにした主な理由です。


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